「平成30年7月豪雨」災害レポートNO45

今日もお位牌の救出作業は続きます。今日は女性チームです。2014年の広島豪雨水害で設立したコミサポ広島の女性メンバー2名とその時からボランティアで参加している大阪からのKさん、みなさんのパワーはとても心強くて、お位牌の救出の話をしたら快く応援に来てくれました。

大阪からのKさんは、長期滞在のボランティアの一人で、現場に出ているうちに床下の泥出しの技術を身に着け、毎日のように床下に潜り、泥出しをしています。ある日住民さんに「あんた~まるで“ぬれねずみ”やな~」と言われてから、冗談交じりに「ぬれねずみ!!」と呼ばれています。ボランティアが被災者にこのように言われるのは“勲章”のようなものです。
そんなメンバーでの救出作業は、黙々と土砂をかき出し、大きな岩や流木を少しずつかき出し、土砂を家屋の外へ運びだします。延々と続く泥出し作業に、時には気持ちも萎えてきます。それでも黙々と泥出しが進みます。

みんながあきらめかけそうになった時、発見しました!お仏壇の花瓶です!!先に帰宅したお母さんに「花瓶がみつかりました」と電話で報告すると、「あーよかった。でももういいよ。あんなおひな様をみたら、もう駄目だと思うから、もういいよ。ありがとね~」と。。。電話を切りました。

その直後です!お線香立てに続き、かき出した土砂の中から、お位牌を見つけてくれました!まさに奇跡です。まるで、干し草の中から針を探すよう感じでした。

思わず帰宅したお母さんを迎えに車を走らせ、確認してもらいました。「ほんとに奇跡だね。もうあきらめていたのに。ありがとうね。他人のためにこんなにしてもらって」と。。。“他人のため”??。そんなことはないのです。最初は何か役に立てればと始めたものの、作業を続けていると、「誰かのために」ではなく、「自分が」見つけたいという気持ちに変わっていることに気づきました。

お母さんは、「私は特に一つの宗教にのめり込むこともしないで、自分で毎日お位牌にお参りをしていたの。自分で適当にしていたから、こんな災害で罰があたってしまったのかな」とご自分を責めていました。でも、真言宗の僧侶の方が、「それは違いますよ。ご自分のお気持ちでお参りしていること、それこそが真実です」とお話してくれました。

先日、私たちと交流のあるチベット仏教の寺院で出家した「臨済宗」の僧侶野口法蔵さん(長野県在住)の記事が朝日新聞の「てんでんこ」という連載で紹介されていました。野口さんはその連載の中で、祈りの大切さを説いています。「死者は死後の世界にいると信じ、四十九日、一周忌、三周忌・・・と続ける法要と異なる。生まれ変わるのだから、悲しむのは四十九日まで。」と。
お母さんは、これまでずっと日々の暮らしのなかで、お仏壇に祈りを捧げてきました。それが水害により、心のよりどころを無くしてしまい、どれだけ不安で悲しくて心が押しつぶされそうになったことか、たくさんの思い出の品々も大切だったが、特にその一つのお位牌と数珠だけは、取り戻したかった。この野口さんの記事をみて、あらためて強く感じました。数日後に迫る解体の日まで、なんとか数珠もみつけたいです。
祈りが届くようにと念じるのみです。

 (増島智子 2018年9月23日)

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