「令和6年(2024年)能登半島地震救援ニュース」No.83

「令和6年(2024年)能登半島地震救援ニュース」No.83

  —自主避難所から、自立避難所へ―21

(輪島市金蔵編―4)

 先日8月18日に、輪島市町野町金蔵で4度目の足湯を実施した。いつも午後にするのだが、今回は午前10時から開始した。でもこれまで最多の9人が来てくださった。

 女性陣はいつもの顔ぶれで、名前はわからないがだいたい“何者なのか?”が見えてきた。。区長さんの奥さん、おばあちゃんの世話をしている方、東京に住んだことがある方、いつもコーラや水、アイスコーヒーを振る舞ってくれる方、金蔵で一番大きな寺の料理長をされている方‥‥などなど。その中で、「味を占めて、また来ちゃいました」と言って参加して下さった方がおられる。「味を占めて・・・」という表現が、足湯がよっぽど気持ちよかったのか、足湯をきっかけに集落内の方が集まり、いろいろな話をすることが楽しみということなのか‥・・・わかりませんが、どちらにしろ足が足湯をしている集会所に向くということは嬉しい。また、ボランティアにご自分で育てたブルーベリーを持たせて下った方もいて、その方はいろいろ畑で野菜を栽培されている。栽培のノウハウをボランティアにあれこれ話して下さっていた。

 今回は、区長さんの他に一人の男性が参加して下さり、足湯が終わったあとも少し残っておられたので、傍にいって話を聞かせて貰った。話をしているうちに、話の内容が奥深く、仙人のようなオーラを醸し出していたので、「あっ、もしかしてこの方があのIさんかも・・・」と思い、話の途中で「失礼ですが、もしかして金蔵学校の校長さんをされておられるIさんですか‥‥?」と尋ねたところ、笑っているけれど、どこか寂しそうに「金蔵学校は、今は休校だけどね」と、やはりIさんだった。ゆっくり、ゆっくり、一つひとつの話題を丁寧に話して下さった。全く無駄のない話し方で、私は凄く得をしたような気分になった。

実は、このIさんは金蔵学校の校長さんでもありますが、前金蔵の区長さんでもあった方です。(ちなみに前々年度の区長は、現区長のお父さん)

 NPO法人「やすらぎの里 金蔵学校」は、「あなたが先生、私が生徒」「私が先生、あなたが生徒」をスローガンにいろいろな活動をされてきた。「みずからががむしゃらに行動することで、多くの人が協力してくれるようになってきました。」と資料を紐解くと、当時の思いを語っているIさんの存在が光る。

 以前にも本レポートで触れたが、ここ金蔵には「総がかり」という言葉があり、「金蔵区規約」の基本理念にも掲げられている。この基本理念には「金蔵区民は、将来の集落に対して責任を持つ」ことを念頭に、『総掛り』という制度の下、最大限の奉仕により、将来の集落の姿を見ようという努力を怠ってはならない。」と書かれてある。

 草刈り、ため池の管理、田の圃場整備、万燈会など寺や神社の行事、地区の多彩な催しなどなど、なんでも地区住民の「総がかり」で取り組むということ。能登半島全体が、世界農業遺産に選ばれているが、この金蔵の地区の在り様、総掛りで取り組む“人の営み”がその遺産を維持しているという特徴がある。人の営みというのは、日々の暮らしのことでもある。  

この15日には正願寺の境内で800本のローソクを立て、復興”の文字を灯し、“万燈会”を開いた。Iさんは、来年の万燈会はこれまで支援をして下さった多くの方が集まり、昔のように3000本を灯したいと言っておられた。

 (被災地NGO恊働センター顧問 村井雅清)

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https://www.civic-force.org/info/activities/earthquake202401/20240130.html

*私たちの活動は赤い羽根共同募金会「ボラサポ・令和6年能登半島地震」の助成を頂き活動しています。

引き続き現地からの情報を発信していきます。

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