「令和6年(2024年)能登半島地震救援ニュース」No.84

「令和6年(2024年)能登半島地震救援ニュース」No.84

地域おける今後の復興拠点としての寺院の在り方を考える

 先日、北国新聞に「寺社再建に最大1200万円」「復興基金で県補助」という記事がでた(2024・8・23)。私は、早くから「寺社再建のために復興基金を置くこと」を寺社関係者数名に提案してきた。この記事を目にした時、「やっと実現したか!」という思いだった。

 提案した時には、阪神・淡路大震災よりお世話になっている津久井進弁護士に、「過去の災害時における関連の事例があった筈ですが、資料はありませんか?確か『寺門興隆』という宗教雑誌に東日本の事例を書いておられましたよね?」と尋ねてみた。先生は即返事を下さり、その関連資料をデータで送って下さった。先述したように私の提案と共に、この先生から頂戴した資料もつけて、関係者に配布した。なんと『寺門興隆』に投稿された資料のみならず、その後2012年11月10日に京都大学において第65回宗教法学会が「大規模自然災害と宗教法の課題」と題して開催された時に、津久井先生が「被災宗教施設の再建と政教分離」というタイトルでまとめれた、東日本大震災時の事例だけではなく、阪神・淡路大震災の時の事例も加えた貴重な資料を提供して下さった。

 さて、今回の能登半島地震では実に多くの神社仏閣が被害を受けた。私は、昨年5月に起きた「奥能登地震」後に、建築士と何度か珠洲市に足を運んだ。そのときにも何カ寺かの損傷した寺も見てきた。元日に起きた今回の地震後も珠洲を訪問した時には、珠洲市正院町にある3カ寺が相互にもたれかかるように崩れていたのを目の当たりにし、強い衝撃を受けた。そのうちの1カ寺の住職さんにお会いできたので、少し話を聞いた。「昨年の地震で本堂の床下に大きな損傷があり、檀家さんたちによってやつと修復したばかりの、今回の地震です。もう再建は諦めました。廃業します。」と住職はがっかりされていた。檀家寺の場合は、檀家さんも各々が被害を受けているので、寺の再建のために再建費用を捻出するのは厳しい。よって、こうして「廃業」を決意される寺院もあるでしょうが、寺の場合は修復するとしても数千万~1億、2億とかかるような事例もあるので、再建はなかなか厳しいものがある。

 ただ、今回の地震被害に遭って、「今までのような大きな寺は要らないでしょう。ただ、先祖代々から受け継いだものですから‥・・・?」と逡巡されている住職も少なくないのです。中でも、檀家寺ではなく、祈祷寺の場合はもっと厳しい現実です。ある寺の住職は、「今度建て替えるとすれば、小さなもので十分です。本来、寺というのは、地域にとってどういうものかをあらためて考えなければならないでしょう。」と、迷うことなくきっぱり言っておられた。

 実は、表記の復興基金を使ってというのは条件があって、「各市町が、“地域のコミュニティ施設”として認定されば」という仕組みなのです。もともと寺というのは、昔は寺子屋、診療所、駆け込み寺など、地域のコミュニティ施設としての役割もあった筈です。人口減によって、それもままならない事態になっているのが現実です。そうした現状でも寺を“居場所”として使っているケースもある。今回をきっかけに、大きな覚悟と決断が求められるような気がします。(続く)

 (被災地NGO恊働センター顧問 村井雅清)

*私たちの活動は、日本財団「災害発生前後の初動期に関する支援活動」助成を頂き活動しています。

*私たちの活動は、CivicForceのパートナー協働事業に支えられ活動しています。

https://www.civic-force.org/info/activities/earthquake202401/20240130.html

*私たちの活動は赤い羽根共同募金会「ボラサポ・令和6年能登半島地震」の助成を頂き活動しています。

引き続き現地からの情報を発信していきます。

ブログはこちら→http://ngo-kyodo.org/2024noto/

■活動支援金のご協力をお願い致します。

・クレジットカードでも寄付ができます。  https://congrant.com/project/ngokobe/605

・ヤフー募金でもご寄付いただけます。  https://donation.yahoo.co.jp/detail/5240008

・郵便振替 口座番号:01180-6-68556/加入者名:被災地NGO恊働センター

・銀行振込 ゆうちょ銀行 一一九支店 当座番号 NO.0068556  名義:ヒサイチNGOキョウドウセンター*お手数ですが、備考欄に「2024年能登半島地震」と記入して下さい。



Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です