熊本地震救援ニュース 第33報

<災害時におけるボランティア事情-14>
  5月20日づけ神戸新聞「論考 2016」に、上田紀行さん(東京工業大教授)が投稿された記事を読んで、阪神・淡路大震災後も同じだなぁと感じた。
 上田さんが投稿した内容は、「水俣病公式確認から60年」という節目を受けて書かれたものだが、ここでは「水俣病公式確認から60年」については触れない。上田さんは、久しぶりに水俣に行って初めて気づいたことがあるという。それは「全国から水俣に引き寄せられた多くの若者がいた。」ということだ。事実、私の知人も40年以上前に水俣に住み着き、被災者と共に裁判闘争をしながら、平時には水俣病被害者の介護に奔走している。一方、21年前の阪神・淡路大震災後、全国からたくさんのボランティアが駆けつけてきた。その中にも被災地に住み着き、21年が経過しても神戸を拠点に国内外の災害支援に関わっている人もいれば、現在の神戸のまちづくりや多文化共生などに関わっている人もいる。

 こうした人たちに共通することは、あり得ないような「原発災害」に遭遇したり、日常の食生活の中心になっている魚介類を食べて「水俣病」を発症するという「水俣病事件」に直面したり、阪神・淡路大震災のような大規模災害に遭遇して、「この国は、これでいいのか?」という疑問を持ち、究極には自分自身を含めて、「一人ひとりのライフスタイルの見直し」に気がついた人たちといえるのではないかということだ。

 作家の高村薫さんは、2015・8・29づけ毎日新聞「発言」で次のように言っている。
「戦後70年の己が足下を見つめ、持続可能な社会のために産業や経済をいかにして新しい座標軸で捉え直すか、縮小する社会をいかに再構築するか、私たち一人一人が智恵を絞り、天変地異をなんとかやり過ごしながら自分の足で立つのみである。」と・・・・。

阪神・淡路大震災後、「自分探しのボランティア」という表現もマスコミに登場した。県外から来た多くのボランティアは、「自分探しから、支え合いの担い手」となった。こうして「自分の足で立つのみ」を実践しているのだ。

<熊本地震から1ヶ月、西原村葛目地区のようす>
この地域は8世帯16人の小さな村です。雨が降ると土砂崩れが起きる可能性もあるので、心配している地域の一つです。危険宅地の張り紙と危険家屋の赤紙が貼ってあります。それでも仮設を申し込まず、ここに住み続けたいと避難所から戻り暮らしている人もいます。「小さな村で、もうなくなる。もうここで死ぬんだ。悲しい・・・」と話してくれました。慣れ親しんだ家が、土地がどうなっても、離れたくないのです。新緑の季節で緑がまぶしい山間の小さな村に地震が与えた影響はとても辛い現実でした。
 スタッフの鈴木隆太は、毎日「顔を見るだけ」と通い続けています。神戸大学の寺本わかばさんも被災地を回り、被災者の声に耳を傾けています。「住めないと思っていても、自宅に戻ってきてしまう。」「片付けばかりしていたら気が滅入る」「今までは畑や庭をしていたけれど、ずっと避難所にいたら、動かないからお腹も減らないし、眠れないし、生活に楽しみがない」と被災者の悩みは絶えません。
下布田 (4)_s
下布田 (16)_s

●28日福岡発のボランティアバスには、まだ空き席があります。無料です。是非参加してください。参加希望者には詳しい資料を送ります。詳細の問い合わせは、村井まで090-3160-3816です。 (メールでの申し込みは、 info@ngo-kyodo.org まで)

<お願い>
 今のところ、ボランティア・バスは合計20台を予定しています。でも、みなさんのご協力があればそれ以上のバスが出せます。一台(27人乗り)に要する 費用は、約10万円です。50人の賛同者から、一口2000円のご寄付を頂戴すれば1台のバスが出せます。みなさんご協力くださいませ。
*お手数ですが、ご寄付は下記の郵便振替口座で振り込んでください。「通信欄」に「ボラ・バス」と記入ください。
 郵便振替 口座番号:01180-6-68556/加入者名:被災地NGO恊働センター
銀行から振り込む時は
 ゆうちょ銀行 支店番号:一一九(イチイチキユウ)店/店番:119/当座0068556/受取人名:ヒサイチNGOキヨウドウセンター

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です