熊本地震救援ニュース 第30報

<災害時におけるボランティア事情-11>
  昨日の第29報で、福岡、佐賀、長崎から20台のボランティアバスを西原村にだすことを紹介しました。予想通りの反響です。というのは21年前の阪神・淡路大震災後、九州方面からの支援もたくさん頂き、その時から新しいお出会いがたくさんできました。中でもこの21年間当NGOとの関係が続いている団体や個人も少なくありません。
 その一つに「結ふくおか」というグループがありますが、28日にボランティア・バス派遣についてのミーティングを開きます。もしお近くの方々がおられたら是非参加して見てください。(結ふくおかのミーティング:5月28日午後12時より、福岡市博多区上牟田3丁目2-12上牟田県営団地1006号浦宅で開催)
 他にも、当NGOとのつながりを持っておられる方々から問い合わせや協力の申し出などの連絡を頂きました。ありがとうございます。熊本地震→阪神・淡路大震災→福岡在住の一人ひとり→熊本地震西原村ボランティアセンターという形で、被災地リレーが広がり、支援の輪が広がれば・・・と願っています。

 昨日、あるシンポジウムに登壇したのですが、熊本地震で避難所なったある館長さんとご一緒しました。館長さんが、シンポジウム終了後「こんなに笑ったのは震災以来初めてです。また昨夜はホテルで十分足を伸ばして眠れたのも初めてです。」とおっしゃったのを、シンポジウム主催の責任者が聞いて「涙が出ました。」と言われたのが印象的でした。熊本地震の被災者は、この1ヶ月あまり不自由な環境での避難生活に強いられ、ほんとに腹の底から笑うことはなかったでしょうし、ゆっくりと手足を伸ばし「大の字」になってお休みなったことはないのだということを気づかせてくれました。
 被災者にとっての心の安らぎは、全国各地からの応援メッセージでしょう。その中でも同じ九州人からの応援は、一層心強いものだと思います。

是非、まず北部九州からボランティア・バスを走らせましょう!!

<お願い>
 今のところ、ボランティア・バスは合計20台を予定しています。でも、みなさんのご協力があればそれ以上のバスが出せます。一台(27人乗り)に要する費用は、約10万円です。50人の賛同者から、一口2000円のご寄付を頂戴すれば1台のバスが出せます。みなさんご協力くださいませ。
*お手数ですが、ご寄付は下記の郵便振替口座で振り込んでください。「通信欄」に「ボラ・バス」と記入ください。
 郵便振替 口座番号:01180-6-68556/加入者名:被災地NGO恊働センター
銀行から振り込む時は
 ゆうちょ銀行 支店番号:一一九(イチイチキユウ)店/店番:119/当座0068556/受取人名:ヒサイチNGOキヨウドウセンター

熊本地震救援ニュース 第29報

<災害時におけるボランティア事情-10>
「GW後のボランティア激減」が報道されているように、ボランティアが少ないことから被災地は苦慮しています。そこで阪神・淡路大震災以後、国内のほとんどの災害支援に対応してきた当NGOは、これまでの経験からこの対応策として、下記のように比較的被害の少ない北九州3県から(福岡、佐賀、長崎)20台のボランティアバスを走らせる予定です。とりあえず第一便を博多から走らせることが決定しました。北九州に知人、友人がおられる方は是非この情報を拡散して下れば光栄です。ご協力をお願い致します。
(*この件に対しての問い合わせは、村井雅清 090-3160-3816までお願いします。) 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
“北部九州ぐるっとボラバス”で熊本地震支援に参加しませんか!
    -熊本地震支援ボランティア・バス 第1号 博多便を運行します。―


前代未聞の熊本地震から1ヶ月が過ぎました。被災者のみなさんの心身の疲労は想像以上のものです。そして回数は減ったもののまだ余震は続いています。
一方、支援を期待されるボランティアがGW後、激減しているという状況で、被災地は頭を抱えています。
 そこで、阪神・淡路大震災以来この21年間、KOBEから被災地支援を続けてきた私たちは、この事態を解決するために、九州の支援者と共に、九州一円の主要駅(まずは福岡県、佐賀県、長崎県)から「ボランティアバス(※)」を走らせることにしました。
 是非、「ボランティアをしたいけど、初めてなので一人でどうしたらいいのか?」「1日でも何か役に立たないだろうか?」と思っている人は、是非参加しませんか?九州在住の添乗員と一緒に、九州から九州へ、まごころを届けにいきましょう。

※ボランティアバスは、熊本の被災地のボランティアセンターまで皆さんをお連れします。
 ボランティアセンター到着後は、現地のボランティアセンターの方の指示に従って行動してください。帰りの時間になりましたら、ボランティアセンターから出発時の駅まで安全にお届け致します。

(連絡先)【事務局】 被災地NGO恊働センター
   E-mail info@ngo-kyodo.org
   TEL 078-574-0701 FAX 078-574-0702
   〒652-0801 兵庫県神戸市兵庫区中道通2-1-10
全体責任者 村井雅清 090-3160-3816
【福岡県ボラバス窓口】
E-mail to-TM-takehisa@hotmail.co.jp
   TEL 093-531-5399
   〒802-0023 福岡県北九州市小倉北区下富野5-20-20
担当者 武久真大 080-5248-5523
【北部九州ぐるっとボラバス 博多便(第1便)】
利用バス 西鉄観光バス、 引率者 武久紗季 080-6420-5543
<ボランティアバスのスケジュールとその他のご案内>
1.集合場所と時間  日本銀行福岡支店前 集合(最寄り駅:福岡市地下鉄 天神駅)
午前7時出発、9時半西原村着
2.活動場所  熊本県阿蘇郡西原村の被災場所
3.往路:出発日5月28日午前7時出発――9時半西原村ボランティアセンター着
(経路:福岡都市高速・九州自動車道で益城熊本空港IC下車、西原村行き)
帰路:西原村ボランティアセンター 4時30分 発――日本銀行福岡支店前 19時~20時頃着



4.活動内容
①瓦などの瓦礫の片付け、家の中の片付け、足湯、炊き出しのお手伝いなど。
②”あなたにも出来る復興支援。農業復興ボランティア!!”
待ってはくれない野菜の成長。待ってはくれない農作業の適したタイミング。
家の片付けなどのために、遅れてしまった農作業のお手伝いをします。
(例えばカラ芋の植え付け等ですが、期間限定なので活動がない場合もあります)

5.服装
・汚れてもいい服(日中は汗をかくので着替えを用意した方がいいです)
・長靴(ローカットのスニーカーの場合、靴の中に土が入ります)
・帽子とタオル
・手袋(手のひらがゴムでコーティングされたものが望ましい)
※手袋や長靴が必要のない活動もありますが、当日はどのような活動になるかは分かりませんので、一応以上のものをご用意してください。

6.参加の条件
・必ずボランティア保険に入っておいてください。ボランティア保険は最寄の社会福祉協議会で受け付けています。
・緊急時の連絡先(電話が通じること)がなければ参加できません。
・出発時間が過ぎた際に、集合場所にいない場合でもバスは出発します。
・被災現場で身分証の提示をお願いする場合がありますので、身分証明書を持参下さい。

7.注意事項
・水、昼食は持参下さい。ただし気温が上昇しますので食料品は自己管理して下さい。
(たとえば携帯用のクーラーボックスを用意する。)
・参加したものの、急に体調悪化した場合は、すみやかに添乗員に知らせてください。
絶対に無理をしないようにしてください。
・道中で発生した
ゴミは、すべて持ち帰り下さい。

8.その他
*どなたでもおひとりから、団体等の所属なく参加できます。ただし、上記の条件・注意事項を守ったうえで、ボランティアですから自己責任、自己判断(介護人など同行可能)が出来る人です。

 <お詫び>熊本地震救援ニュース 第28報で、神戸新聞編集委員木村信行さんの「行政万能主義に異議あり」という記事について書かせて頂きましたが、「異議」が「意義」になっておりました。大変申し訳ありません。深くお詫び申しあげます。

          

熊本地震救援ニュース 第28報

<災害時におけるボランティア事情-9>
 今朝の神戸新聞朝刊「日曜オピニオン」で、編集委員木村信行さんの「行政万能主義に意義あり」という記事に拍手を送りたい。ことの顛末は以下のようだ。西宮市の今村岳司市長のブログでの発言がきっかけだ。その発言とは、熊本地震発生から4日目の4月17日に市民に宛てたメッセージだ。<あらゆる「支援」は被災地行政機関(他、類する信頼できる団体)ないしは、国県他の行政機関(同)の照会と要請を受けて為されるべきものである>というもの。さらに<急にボランティアで駆けつけて「お手伝いできることはないですか?」と言われても、被災自治体に「その人の対応をする」という仕事を増やしてしまいます> そして、西宮市から物資を送る場合にも触れ、<ありとあらゆる支援には非常時の指揮命令系統が存在します>と続けているそうだ。
木村さんは、「行政万能主義、ここに極まれりの感がある。」とはっきり意義を申している。私は、この木村編集委員の意見に賛同する。

 (21年前のこと)阪神・淡路大震災で、初心者ボランティアがたくさん神戸市役所に押しかけてことから、全く経験のなかった市役所は混乱し、ボランティア受付を直ちに閉鎖した。この一件から、「災害時に初心者ボランティア行くと混乱する」「迷惑をかける」という方程式が成立した。混乱したのは、市役所であって被災地の中は混乱していない。むしろボランティアによって被災者の困難な生活に支援が入り、被災者からは「生きていてよかった!」と涙ながらの言葉もあったほど。木村さんも「阪神・淡路や東北、熊本の被災地で、地震直後に行政の手が足りない隙間をいち早く埋めたのはボランティアたちだ。」(同紙)と指摘している。
 
 昨日のニュースでも紹介したが、2013年の改正対策基本法では、「国および地方自治体は、ボランティアとの連携に努めなければならない。」と書き込まれている。主語は「国および地方自治体」だ。「ボランティアは行政のたりないところを補完をしなければならない」ではないことを、誰もがしっかりと認識すべきである。つまりドイツの自治憲章の根幹となる思想となった「補完性の原理」ということだ。また、災害法制度に詳しい津久井進弁護士は、『大災害と法』というご著書で、「ボランティアは憲法理念を体現している」と解説し、中でも「自己決定権」「個の尊重」が重要だと指摘している。
 私なりの解釈では、「補完性の原理」を具現化しているのが被災地におけるボランティアの働きであり、よって被災地の最前線にいるボランティアの声を受け止め、被災者にどのような支援をすればいいのかを考えるのが、国および自治体の役割なのだ。西宮の今村市長の発言内容は、これとは全く逆の流れをつくろうとしているということである。

 熊本地震で異例の事態となった熊本県や熊本市あるいは町、村の混乱を見ていると、もっとボランティア(専門家ボランティアを含む)にSOSを求めれば、解決することが少なくないことをあらためて認識すべきだろうと思う。
(当NGOが今回西原村で取り組んでいる「災害時における補完性の原理の実践」のような活動が東京FMの下記のアドレスに紹介されています。参考にして下さい。)
http://www.tfm.co.jp/lh/index.php?itemid=109308
http://www.tfm.co.jp/lh/index.php?itemid=109339
http://www.tfm.co.jp/lh/index.php?itemid=109470
http://www.tfm.co.jp/lh/index.php?itemid=109471

熊本地震救援ニュース 第27報

<災害時におけるボランティア事情-8>
 熊本地震発生以来発行し続けている本ニュースも第27報を数えるが、何度か「ボランティアも考えよう!」と呼びかけさせてもらった。昨日のニュースでは毎日新聞の解説委員が、「頭を使おう!」といっていたことに、「よく言った!」と思わず反応した。こんな当たり前のことを言わなければならないボランティア事情に若干の危惧を感じるのだが、あまりにも目を覆う事態なので、こうして発信せざるを得ない。
 ボランティア不足に対して、熊本県知事も「熟練ボランティアは当初から入ってもらったほうがいい。どんどん進めてもらったらよかった。」と反省している。東日本大震災の教訓を学んでいれば、知事の発言とは思えない。2013年の改正災害対策基本法では、「国および地方公共団体は、ボランティアとの連携に努めなければならない」と掲げられていることをご存知なのだろうか?しかも、このことは21年前の阪神・淡路大震災でもすでに提言がされている。「災害時には特に行政面で手薄になっている分野をボランティアに周知して、行政がボランティアと協力して被災者への効果的な援助に当たれるよう務めるべきである。」と。(防災問題懇談会提言 1995年9月11日)
 災害の多いこの国の防災行政の実態は、あまりにも備えができていないケースが多く、唖然とする。各市町村においては、地域防災計画に災害時のボランティアの対応についても書きこまれているはずで、役に立たないマニュアルが山積みになっているということだろうか?

  だから「原点に戻って考えよう」と言わざるをえないのだが・・・・?

「みんなのために何ができるか考えよう」。(朝日新聞、2016・5・13)と益城町の避難所の一つ、「阿蘇熊本空港ホテルエミナース」の避難所自治の様子が紹介されていた。
 実は今回、発災後から迅速にボランティアが対応できなかったが、やがてボランティアが駆けつけて来るまでは、このように被災者自身が助け合いをし、避難所運営の自治を実践している姿があちらこちらで見かける。「自分たちのことは自分たちで決め、自分たちでする。この避難所のモットーです。」と区長さんが話している。(同紙)
 今回、ボランティアが学ぶべき貴重な事例は、被災者自治に対してどのようなサポートができるのかということだと思う。同避難所は「家屋の解体やがれきの撤去、仮設住宅の入居見通しなど、町の職員なども交え、地域の復興を見据えた議論を始めている」と語っている。(同紙)是非、被災地震で復興計画をつくり、すばらしい復興を成し遂げて欲しいものだ。

●西原村万徳地区に祀っていた「六地蔵」さんが、この地震で倒れた。傍にある側溝にスポンとはまったのだが、軌跡的にほぼ無傷だった。不幸中の幸いだった。毎日お参りをされていた地域のおばあさんが、「倒れたままでしのびない!」とボランティアに訴えたことがこの修復に至った。修復を引き受けてくださったのは高野山真言宗の僧侶たちであり、「開眼法要」まで執り行ってくれる。
――修復と開眼法要は、15日の午前10時から行います。
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<トピックス>
*(論点)熊本地震1ヶ月の課題
http://mainichi.jp/articles/20160513/ddm/004/070/005000c
(2016年5月13日 毎日新聞)

*頼政代表が5月14日の神戸新聞で「被災地支援 今とこれから 『自治体間の連携が必要』」とテーマで紹介されました。ぜひ、ご覧ください。

*引き続きご支援をお願いします。
「熊本地震」活動支援金を募集しています。
郵便振替 口座番号:01180-6-68556/加入者名:被災地NGO恊働センター
*お手数ですが、通信欄に「熊本地震」と明記下さい。
ゆうちょ銀行 支店番号:一一九(イチイチキユウ)店/店番:119/当座
0068556/受取人名:ヒサイチNGOキヨウドウセンター

*「熊本地震」支援活動の一部は、公益社団法人Civic Forceからのご支援を戴いてパートナー事業として展開しております。

熊本地震救援ニュース 第26報

<災害時におけるボランティア事情-7>
 熊本地震から明日で1ヶ月になる。まだ、震度3クラスの余震が発生しているので、気を緩めることができない。
 今日も、マスコミの報道には必ずと言っていいほど、「GW後のボランティア激減」が一つの話題になっている。しかし、関係者は何もせずにジッとしている訳ではない。
 下記にお知らせしているように、今現在のボランティア・バス情報をまとめてみたので参考にして欲しい。
 さて、今朝MBS系の「あさチャン」という番組の6時台後半にも、「ボランティア激減」が話題なっていた。その時、コメントしていた「龍崎解説員」が、「たくさんボランティアが行って、いろいろなアイデアを出すことが大事。頭を使おう!」と時間切れ間際に叫んでいました。熊本地震地震以来、災害ボランティアに関するコメントで、このように言ってくれたのは、龍崎さんが始めてだ!マスコミもステレオタイプのコメントを流し続けるのではなく、このように本質に迫るコメントを是非して欲しいものだ。

 先述したボランティアバス状況を見ると、兵庫県を始め、丹波市、奈良県など過去に災害を受け、支援を受けた自治体も入っている。まさに「困った時はおたがいさま!」だ。
 災害の多いこの国では、この「おたがいさま」という文化がもっと定着する必要があるだろう。しかもビジネス感覚のみで考えるのではなく、あくまでも「ボランタリーな思い」でおたがいさまを広げたい。
 先日、日本を訪問されたウルグアイの前大統領ムヒカさんは、「市場に振り回されては行けない!」ということを何度も強調していました。また、「大切なのは連帯、協力、団結です。」とも。つまり、このことを経済感覚で考えると「災害における経済活動」と言える。災害時はボランタリーに、“おたがいさま”の精神で助け合い、支え合う営みがあちらこちらで見受けられる。それはボランティアで行っていることだが、経済活動としてコスト計算すると大変な数字になるはずだ。このような言わば「災害時経済」ともいう概念を打ち立てることも、これからのボランティアの課題に入れて行きたい。

<ボランティアバス情報>
〇尼崎市社会福祉協議会(平成28年5月20日(金)~23日(月)4日間(現地1泊・車中2泊))http://www.amasyakyo.jp/s-blog/blog.cgi?n=1341
〇丹波社会福祉協議会(平成28年6月1日(水曜日)~6月4日(土曜日)4日間 ※車中2泊、現地1泊となります。)http://tambawel.jp/publics/index/95/&anchor_link=page95#page95
〇福岡市 (日程 平成28年5月15日(日))
http://lineblog.me/takashima/archives/59847194.html
〇奈良県社会福祉協議会(行 程  平成28年5月18日(水)~5月21日(土)3泊4日 (車中2泊、熊本県内宿泊施設1泊))
http://www.shakyo.or.jp/hp/news/detail.php?s=1243&a=11200
〇ひょうごボランタリープラザ(平成28年5月12日(木)~15日(日)4日間(現地1泊・車中2泊)http://volunteerinfo.jp/info/8945

*引き続きご支援をお願いします。
「熊本地震」活動支援金を募集しています。
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熊本地震救援ニュース 第25報

<災害時におけるボランティア事情-6>
 「熊本地震で最も避難者が多かった本震翌日の4月17日時点に、自治体の地域防災計画で決められていない指定外避難所が、熊本県内の少なくとも7市町村の計185ヶ所にあり、約3万6000人が避難していたことが分かった。」(毎日新聞、2016,5,11 夕刊)という記事が目に入った。
阪神・淡路大震災の事例を知っていれば、大規模災害では指定避難所以外でもこのように被災者が避難されるケースは想定内である。私たちは、これまでにも被災地での支援活動をしているときに、こういう避難所を発見すれば「名簿をつくって直ちに行政に届けて、必要な支援物資をお願いして下さいね!」と助言をして回っていた。実際、今回も益城町の公民館に自主避難していた20名がいて、その公民館は指定避難所ではなかったが、急いで名簿を作成し、町役場に届けて救援物資を届けてもらったとのこと。地震発災後4日目のことだ。

阪神・淡路大震災では、ボランティアで自転車部隊やバイク隊をつくり、とにかく人が避難しているところに救援物資を届けた。間一髪で高齢者を救ったこともある。そもそも被災者救援の最初のニーズ集めとはこういうことだ。このように考えると災害直後の緊急時は、そもそも「ニーズ」という表現は適しているだろうかという疑問を持つ。何故ならば、場合によっては命取りにもなるからだ。つまり「基本的人権」に関わることでもあるということではないか。この被災地の最前線で活動するボランティアの声に対して、行政は耳を傾けていなければ被災者が支援から取り残される可能性があるということではないだろうか。
阪神・淡路大震災では2ヶ月で100万人のボランティアがかけつけた。しかもその6割~7割は初心者ボランティアだった。その初心者ボランティアは、「役に立つだろうか?」「二次災害に遭って迷惑をかけないだろうか?」などと不安な面持ちで被災地にきた。
その彼ら、彼女らは実に創意工夫をし、すばらしい活動を展開した。今回の異例のケースでは、こうした初動対応が出来なかったことが悔しくてならない。

<被災者のつぶやき>
家が倒壊されて、瓦の撤去作業を息子さんに手伝ってもらっているとのこと。瓦を投げて屋根の上にある瓦を落とす作業をしていたため、右手はカサカサで、指が軽く脱臼していた。息子さんは大阪で大工さんとして工務店に勤めておられ、倒壊してしまった家も息子さんが建ててくれたものだったので、非常に残念。まさかこんな地震がくるとは。何百年に一度のことだった。

●ボランティア・バスの添乗員を募集しています。ただし福岡県、佐賀県、長崎県在住の方に限ります。

*引き続きご支援をお願いします。
「熊本地震」活動支援金を募集しています。
郵便振替 口座番号:01180-6-68556/加入者名:被災地NGO恊働センター
*お手数ですが、通信欄に「熊本地震」と明記下さい。
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*「熊本地震」支援活動の一部は、公益社団法人Civic Forceからのご支援を戴いてパートナー事業として展開しております。

本地震救援ニュース 第24報

<災害時におけるボランティア事情-5>
  9日、不通になっていた高速道路が復旧し、25日にぶりに九州の全高速道路が復旧した。一方、報道ではGW明けのボランティア激減という記事が目につく。 

ところで、この二つのニュースをあわせると、「ボランティア激減対策」のアイデアが浮かぶ。つまり、九州全県の主要駅から「ボランティアバス」をだすというしくみだ。
 九州一円のみならず全国からボランティアが動き出している。すでに阪神・淡路大震災や東日本大震災、広島土砂災害、鬼怒川水害などなどこれまで災害にあった被災地から、「困った時はお互いさま!」と駆けつけている。「被災地から被災地へのリレー」だ。
しかし、発災後の各ボランティアセンターからの呼びかけが「熊本県内に限る」としていたこともあって、同じ九州人として心配していた人はたくさんいたでしょうが、GW中に大掛かりに動いたという話は聞きません。それで、九州圏内でも被害のほとんどない長崎県、佐賀県、福岡県などの主要駅からボランティア・バスを出せば、乗ってくれる人はたくさんいるかと思います。そこで、被災地NGO恊働センターの責任者でマイクロバスを手配し、マスコミに告知し、走らせたいと思います。
ボランティア・バスの添乗員募集!!
(長崎、佐賀、福岡県内在住の方に限る。旅行会社の添乗員経験者大歓迎!)
 そこで「ボランティア・バス」の添乗員をして下さる方を確保し、早速走らせたいと思います。みなさん、ご協力下さい。
(ボラ・バスに関する問い合わせは、村井まで。090-3160-3816)
 
*トピックス
<熊本地震>ボランティアが激減 大型連休明け 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160509-00000093-mai-soci
(2016年5月9日 毎日新聞)

*引き続きご支援をお願い致します。
「熊本地震」活動支援金を募集しています。
郵便振替 口座番号:01180-6-68556/加入者名:被災地NGO恊働センター
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ゆうちょ銀行 支店番号:一一九(イチイチキユウ)店/店番:119/当座
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*「熊本地震」支援活動の一部は、公益社団法人Civic Forceからのご支援を戴いてパートナー事業として展開しております。

熊本地震救援ニュース 第23報

<災害時におけるボランティア事情-4>
 長い連休明けとなりましたが、被災地はあいにくの雨で、二日連続でボランティア活動は中止となりました。やがて梅雨の季節にもなるので、被災者にとってはほんとにいらいらする日々が続くようだ。
 今日から被災地で被災者の避難所となっていた小・中・高の学校が再会する。これに伴って避難所の統廃合もおきるので、ボランティア活動にも影響を与えるでしょう。子どもたちにとっても晴れて、学校が始まるので大喜びの様子が報道されているが、被災者の方々も、これで「ホッ!」としたと安堵されている方もおられた。

  さて、連休が終わり何処のボランティアセンターもボランティアセンターが激減する。
対策に頭を悩ませることになる。そんな中で益城町社会福祉協議会によりますと、「連休中は多い時で700人以上のボランティアが集まりましたが、7日は半分ほどだったということで、原則として県内に限っていたボランティアの募集を9日からは全国に広げて呼びかけることにしています。」とHPに書かれてあった。これも智恵だなあと思う。
 当センターが関わる西原村ボランティアセンターでは、オープン当初からボランティアの制限をせずに全国に呼びかけていたので、混乱はないのだが、激減は同じなので頭が痛い。

 そんな中で、ホッとする話が舞い込んできた。西原村の万徳、宮山、門出地区の3ヶ所に「六地蔵」さんがあるのだが、ここを毎日お参りしていたおばあさんが、この地震で地蔵さんが倒れたままになっていたので、「心苦しい」思いをされていた。そこで、その話を聞いたボランティア本部のスタッフが、「おばあちゃんのために何とかできないか?」と思い、こちらに相談があり、阪神・淡路大震災以来ご支援を戴いている高野山の真言宗の方に相談したところ、片付けボランティアとして出動することを快諾して頂いた。
 きっと地蔵さんが修復されることによって、このおばあちゃんのみならず地域の皆さんも喜んでくれるだろう。本来、日本では宗教施設を公的資金で治すということはなかったようだが、新潟県長岡地震(2004)の時に新潟県知事の英断で、神社仏閣の修繕が可能になった。その理由は、「地域においてこうした施設が壊れたままでは、どこか寂しい。こういう施設がいち早く修復されることで地域の方が元気になるならこれは意味があるだろうということで、「コミュニティづくり支援」の一環として公的支援が行われるようになった。
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 こういう積み重ねが復興へとつながるのだろうと痛感させられた次第である。
先日の神社の参道清掃も同じことだが、こうして復興の道筋の中で、人の気持ちも復興していくということが大切なことだ。まぁこれも「小さな心のケア」といえないか?
(*「六地蔵」の歴史については、下記のアドレスで詳細が分かります。)
http://www.ar.kumanichi.com/2016/04/16217

 梅雨の声を聞く前に、大方の目処が多々なければ暮らし再建がままならない。まだまだ前途多難だが、踏ん張るしかない。冒頭でも触れたが、被災者のストレスは想像以上のものだ。それを思うと、ボランティアが思うようにならないストレスはたいしたことはない。ボランティアも辛抱する時は、辛抱しよう!

*なお、今日の話題となった西原村の倒れた六地蔵さんを興す作業は、高野山真言宗の僧侶たちのボランティア活動で行われます。

*トピックス
熊本地震 ボランティア専用キャンプ場開設 参加者減少も「まだまだ人出は必要」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160509-00000071-san-soci
(2016年5月9日 産経新聞)

児童ら、笑顔で登校=避難所と共存も―熊本地震
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160510-00000036-jij-soci
(2016年5月10日 時事通信)

*引き続きご支援をお願い致します。
「熊本地震」活動支援金を募集しています。
郵便振替 口座番号:01180-6-68556/加入者名:被災地NGO恊働センター
*お手数ですが、通信欄に「熊本地震」と明記下さい。
ゆうちょ銀行 支店番号:一一九(イチイチキユウ)店/店番:119/当座
0068556/受取人名:ヒサイチNGOキヨウドウセンター

*「熊本地震」支援活動の一部は、公益社団法人Civic Forceからのご支援を戴いてパートナー事業として展開しております。

熊本地震救援ニュース 第22報

<災害時におけるボランティア事情-3>
 熊本地震の被災地である益城町や西原村、南阿蘇という地域は、日頃から助け合いや支え合いが浸透していたという話をよく聞く。その一つ西原村大切畑地区では、「「みんなとここで暮らし続けたい」と自力で再興に向けて歩みを少しずつ進めている。」(毎日新聞、2016/5/7)
 西原村の避難所では、地元の被災住民たちが率先して炊き出しをされている。被災者でもある人たちが、そのような活動にまで精を出しておられることには頭が下がる。災害が起きると、よく「ボランティアがやりすぎると自立を損なう!」というが、むしろ無理しない程度で自分たちでやる方が精神的にもストレスが溜まらないだろうと思う。ただし、こういう役割はだいたいが女性に負担がかかる。特に熊本の文化として特に「男子、厨房に入らず」という諺があるように、女性が台所仕事を賄う。
 こういうときには、ボランティアがすべてを奪うように「炊き出し」をしてしまうのは、どうかと心配する。黒子に徹して、少しお手伝いを心がけることを提案したい。阪神・淡路大震災の発災直後に、「鍋・釜作戦」と言って、炊き出しをして配膳するのではなく、鍋や釜、まな板、包丁などを持ってテント生活者を廻り、「資機材と食材を提供しますのでご自分でやりますか!」と呼びかけさせて貰ったら、被災者はみんな「それなら自分でやるよ!」と反応された。被災者にとっては大変だろうということは理解しているが、本人たちが自身でされるという意思がある以上は、こういう「黒子」になっての支援も必要ではないかと思う。

 ノーベル経済学者のアマーティア・センは、「ニーズが大事なのではなく、当事者が自由になることが大事なんだ」と書かれている論文を読んだことがある。この「鍋釜作戦」を振りかえると、「自由の確保」と言えるような気がする。また、亡くなられた精神科医のなだいなだ先生は、「信頼関係さえあれば、人間はそこそこ自由にやっていける」。と、ご自身の体験から言っていた。

 これからのボランティアは、こうした智恵を働かせての活動が求められるのではないだろうか?いうまでもなく、ボランティアのストレスより被災者の方が何倍ものストレスが溜まっていることを、あらためて受け止めよう!!

<被災者のつぶやき>
*眠れないから、朝5時くらいに歩いてきちゃった。こんなところにいたら鬱になっちゃいそう。たぶん、ストレスからきてる神経性の胃炎になっていると思うんだ(70代女性)
*パーテーションの仕切りがこの男性のいる区画まで到達しようとしていた。
男性が一番不満だったのは、間を仕切ることが自分の知らないところで決まっていたことであったようで、その後自分の望む形に一辺を開け放した形にしてもらい満足そうにされていた。(80代男性)

○西原村災害ボランティアセンターに農業復興ボランティアセンターが立ち上がりました!農業を通じた復興にご興味のある方、これから息の長い活動になると思います。どうぞよろしくお願いいたします。
https://www.facebook.com/nishihara.agri.volunteer/timeline

熊本地震救援ニュース 第21報

<災害時におけるボランティア事情-2>
 今朝、テレビを見ていると熊本市内のボランティアセンターが、受付開始後15分で受付を終了し、長蛇の列をつくっていたボランティアが困っていたのが報道されていた。
 しかし、GW始まって以来毎日のように同じような報道が流れている。ボランティアに行く前に、各ボランティアセンターに問い合わせればある程度の事情は予測できるとも言える。ボランティアは自己責任、自己完結、自己判断が原則だ。ボランティアに行く方も、もう少し考えたらどうなのかとお願いしたい。

 これからの災害支援ボランティアには、「SNS」が活躍するだろう。すでに今回の熊本地震でも活躍しているが、一方でデマも流れ足を引っ張っている。情報のトリアージが必要になる。それでも、いろいろな工夫をすることで新たなボランティア文化を生み出すことに期待が出来る。
 SNSが上手く機能すれば、ボランティアセンターやコーディネーターさえ要らなくなるかもしれない。朝日新聞デジタルニュースで紹介された “湧き水シャワー”がよく分かる事例なので、以下に紹介する。

――「こぎゃん被災地に」 益城の被災宅庭にシャワー完成(朝日新聞デジタル 5月6日 23時57分配信)
 熊本地震で自宅が全壊した益城町の増永信喜さん(70)宅の庭に、わき水を使ったシャワールームが、ボランティアの協力で完成した。被災し自宅で入浴できない近所の人たちに、開放している。増永さんは、自宅に40年前から出ているわき水があることから、庭先にテントを張り生活している。水は、近所の人たちにも開放し、朝から水をくんだり洗濯をしたりする人が訪れている。京都府からボランティアに訪れた建築業の国領義数さん(60)が、増永さんが水を開放していることを知り、持参した湯船と薪で燃やす釜で、シャワールームを作ることを提案。SNSなどで活動を知ったボランティアの協力を得て、4日に作業を始め、翌5日には完成した。一番風呂に入った増永さんは、「こぎゃん被災地に、こぎゃんシャワーが出来るなんて」と完成に驚き、妻の春代さん(69)も「これで遠いところまでお風呂に行かないですみます」と表情をゆるめた。(関田航)――という話だ。

 この事例は、ボランティアセンターを通さずに、SNSで応援ボランティアセンターを募り、自己完結・事故責任・自己判断で活動をし、何の問題もなく終わったということだ。しかも何より被災者が大喜びだ。つまりボランティアセンターも、コーディネーターも必要としないボランティア活動ということではないか。というかSNSがコーディネータの役割を果たしている。
 実は2年前の広島土砂災害でも、SNSが活躍し効果をあげたという話がある。広島土砂災害でも、8時半にボランティアセンターが開設し、8時半には受付が閉められた。溢れたボランティアさんたちは、何かできることはないかと被災地を歩いていたら、被災者が家の玄関に入ってきた土砂を一人で書き出している。「手伝いましょうか?」と訊ねたら、「ありがたい、よろしく!」となる。そこでそこに入ったボランティアは、「今、○○で泥出しをしているんだけど、誰か手伝ってくれないか?スコップがあればスコップも欲しい!」とSNSで発信すれば、人もスコップも集まってくる。丁度、現場に地元の人が庭を開放して、ボランティアの休憩場として場所を提供していた。集まった道具を被災地に寄付して帰ろうと思えば、おいて帰ればいいだけだ。迷惑さえかけなければ完璧なまでのボランティア活動と言える。

 これからは、災害がおきてもこうした光景があちらこちらで見られるでしょう。私たちがお手伝いをしている西原村のボランティアセンターは、実は現場に近いところにサテライト(拠点)をおいて、被災者のニーズを集約し、そこから人も送り出すという方式を採用している。SNSを使いこなせる人がいれば大歓迎だろう。

<被災者のつぶやき>
・旦那とおじいさんが作った家だったんだけどねぇ、はいれなくなっちゃってねぇ。中のものが取れないことなどよりも、家そのものが一番の思い出であったようだ。(70代女性)

・俺が赤紙だー。手首や足など、怪我やむくみなどで思うように動けない男性。家屋の危険度をあらわす赤紙と自分の体を重ね合わせ、冗談を言うように笑いながらつぶやいた。(70代男性)

●荒尾市社会福祉協議会のフェスブックに段ボールベッドの作り方が出てます。
https://m.facebook.com/227962200909862/photos/a.227964334242982.1073741828.227962200909862/227963770909705/?type=3&refsrc=https%3A%2F%2Fwww.facebook.com%2Fv2.5%2Fplugins%2Fpage.php

○引き続きご支援をお願いします。
「熊本地震」活動支援金を募集しています。
郵便振替 口座番号:01180-6-68556/加入者名:被災地NGO恊働センター
*お手数ですが、通信欄に「熊本地震」と明記下さい。
ゆうちょ銀行 支店番号:一一九(イチイチキユウ)店/店番:119/当座
0068556/受取人名:ヒサイチNGOキヨウドウセンター

○なお、「熊本地震」支援活動の一部は、公益社団法人Civic Forceからのご支援を戴いてパートナー事業として展開しております。