熊本地震救援ニュース 第68報

<災害時におけるボランティア事情-48>
 今年に入って初めての台風1号が観測されています。とても勢いが強いそうで、九州から本州でも大雨の影響が懸念されています。これまでも、屋根のブルーシートのことを何度も訴えていますが、これから台風シーズンを迎える九州では、心配の種は尽きません。被災者の方にとっては、余震や雨など心休まるときがありません。
作業前_s

 今回、屋根だけではなく豪雨により被災各地で土砂崩れが発生し、地震で被害を免れた方でも土砂が家屋に流入し避難生活を余儀なくされた方もいらっしゃいます。「台所にいきなり土砂が流れてきた」という被災者の方に足湯をさせてもらいました。

 また、今回の地震の後に出産され、3人のお子さんを抱え、新築されたばかりの自宅の前の石垣がこの大雨で崩れかけた方もいらっしゃいます。それでその石垣にブルーシートを張り、2次災害を防ぐ処置を施しました。
擁壁_s

 地震により、地盤が緩んでいるところへ、雨水が染み込みいつ崩れてもおかしくないような状態の危険個所が各地に点在しています。

大工さんの指導のもと、擁壁の上に建つ家がこれ以上崩壊しないように、家屋から擁壁にブルーシートをかけ、被害拡大を防いだ家屋もあります。そのためには、丹精込めた庭木も伐採しなくてはなりません。それで、僧侶でもあるスタッフの鈴木に伐採をするために、そのお宅にあった家を守ると言われている「荒神様」を祀る南天の木にご家族とともにお参りをして、作業にとりかかりました。
荒神様_s
お参り_s
ブルーシート1_s
ブルーシート2_s
ブルーシート中_s
ブルーシート3_s

 また、もともと土砂災害の危険区域に指定され、自宅をどうするのか悩みながら、県や国の対応を待ちながらも、再建への道を歩みだそうとしている人もいます。
危険地域_s
土砂災害_s
お地蔵さん_s

 先日6月27日の熊本日日新聞「新生面」で報じられた阪神・淡路大震災時の神戸新聞社説を以下に紹介します。

―1995年の神戸新聞に「被災者になって分かったこと」という社説がある。阪神・淡路大震災が起きて3日目、当時 論説委員長だった三木康弘さん(故人)が書いた▼「あの烈震で神戸市東灘区の家が倒壊し、階下の老いた父親が生き埋めになった。三日目に、やっと自衛隊が 遺体を搬出してくれた。だめだという予感はあった」と社説は書き出されている▼つづられているのは社論というより、全くの個人の体験である。自力ではもちろん、消防団や消防署に頼み回っても父を助け出せない筆者は、無力感にさいなまれる。そして「これまで被災者の気持ちが本当に分かっていなかった自分に気づく」と書いた。社説は大きな反響を呼んだ▼その神戸新聞社を先ごろ訪ね、震災を知るベテラン記者に話を聞いた。烈震で傾いた社屋は解体され、前より港に 近い場所に移っている。神戸市内に残る震災遺構の在りかを尋ねると、「実はあまり残っていないんですよ」と浮かぬ顔になった▼わずかな遺構の一つ「神戸港 震災メモリアルパーク」には、波止場の一部が保存してある。割れて折れ曲がった岸壁を見れば、破壊のすさまじさを感じられる。だが、それも熊本地震を経験 したばかりの身だからではないか、とも思う▼被災しなければ実感できないこともある。それを伝えていくことの難しさは、震災から21年たった神戸の課題でもある。まだ早い、それどころではない、と言われるかもしれないが、熊本でも何を残すか考えておかなければならない。

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