熊本地震救援ニュース 第81報

11月1日レポート

 半年が過ぎた熊本に久しぶりに訪問しました。飛行機の窓から見る家並みにはまだいくつもの屋根にかけられたブルーシートが目につきます。
 報道によると、「熊本地震で最大震度7を2回観測した益城町は31日、唯一残っていた町総合体育館の指定避難所を閉鎖した。御船、大津の両町も同日、最後の避難所を閉じた。いずれも応急仮設住宅の整備が進み、住まい確保にめどが立ったと判断。残る避難所は西原村、美里町の各1カ所で、指定避難所の避難者は計4人となった。」(熊本日日新聞2016/11/1)と伝えています。ピーク時には18万人以上の方が避難していて、余震が続き車中泊の人も多く、その間にいのちを落としてしまった方もおられ、避難所の在り方をもう一度、検証する必要があるのでしょう。今回の熊本地震では、直接死が50人、震災関連死は61人(11月20日現在)に上り、直接死を上回っています。阪神・淡路大震災から21年経った今でも、関連死の問題が解決していないことに憤りを感じます。

ブルーシート_s

 さて、10月も終わり冬の気配がしている西原村ですが、地震直後にボランティアもお手伝いさせて頂いた唐芋(からいも)の収穫期を迎え、各農家は収穫作業に追われています。私も早速お手伝いさせて頂きました。地震の後で心配をしていましたが、たくさんの唐芋が実をつけていました。ただ、地盤が動いたせいで、畑も土地が沈んでいるところもあり、細長い形の芋がとれるそうです。ふっくら丸々としたお芋が高く出荷できるそうですが、細長いお芋はランクが少し落ちるとのことです。

畑_s

 それでも、2世代、3世代家族総出での収穫作業は大変ながらもみなさん生き生きされています。西原村の特産唐芋のシルクスィートはとても甘くなめらかでおいしいです。私が「西原村のお芋はおいしいね」とばあちゃんに話しかけると「芋は飽きた!もうたくさん!」という返事が、でも畑ではとても生き生きし、箱詰めの際には厳しいチェックに目を光らせ、生きがいを感じているようでした。

芋堀1_s

芋堀2_s

 そして、唐芋を貯蔵するのに大切な貯蔵庫も完成間近です。少し大きくなり1000ケースのコンテナいっぱいに収穫したての唐芋で埋め尽くされています。ここで来年まで熟成され出荷を待つのです。

貯蔵庫1_s

貯蔵庫2_s

 地震直後に「農業ボランティア」として農家のお手伝いでボランティアを派遣していた「西原村農業復興ボランティアセンター」として活動していたチームは「西原村百笑応援団」と名前を変えて、いまもなお西原村の農業を支援し続けています。代表の河合さんもいまもなお各地で活躍しています

 農家さんも「ボラティアさんには大変助かっているよ」と笑顔で話してくれました。ボランティアさんがお手伝いすることで、物理的な手助け以上に震災で痛手を負い、時には農業を辞めたいと思う気持ちがボランティアさんとの関係のなかで「またがんばろう」という前向きな気持ちにさせてくれるのです。「農ボラ」確実に心のケアにもつながっているようです。

洗浄_s

 熊本滞在中にはTPP承認案と関連法案が参議院で強行採決されました。農家のばあちゃんは「TPPになったらどうなるんだろうね??」、私が「外国産のものを買わないように不買運動しないとね」というと、「でもみんな安い方にいくからね」と・・・。
 水俣公害病事件の後に、地元の農家さんは無農薬の甘夏をつくり環境汚染を少しでもなくそうとしたのですが、直後にオレンジの自由化になり大打撃を受けたそうです。
公害や地震、水害などの苦しみから立ち上がろうとしているなかで政府はどうしてまた住民を苦しめるような施策を貫こうとするのでしょうか?

シルクスィート1_s

西原_s

唐芋_s

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