熊本地震救援ニュース 第82報

11月2日レポート

 被災地では、仮設が立ち並び寒さが近づき住民さんは仮設の冬支度をしていました。仮設の床に断熱シートを張る人、こたつや毛布を買い込む人などがいました。西原村の仮設は少し土地が高いところにあるようで、地元の人には風が強く寒いと感じているようです。
 東日本大震災では、日本赤十字社より家電6点セットを仮設などの被災住民に寄贈しました。しかし、その後の被災地では同じように手配されてはいません。被災者の方は備え付けのエアコンとガステーブル以外はご自分たちで買い揃えなければなりません。どうして被災地が変わればこうして格差が生まれるのでしょうか?

木造_s

仮設_s

 西原村の仮設では、木造とプレハブの仮設で312戸が建設され、棟ごとに談話室と集会所ができつつあり、自治会も決まりつつあります。そこで地域住民の手によるお茶会やボランティアによるイベントも開催されつつあります。仮設住民の中には大人向けのイベントはあるけれど、子ども向けのはなかなかないからということで、手作りのハロウィンパーティーなども行われたそうです。まだまだ手探りですがコミュニティづくりなどの取り組みがはじまっているようです。

談話室_s

ハロウィン_s

 また、小さな集落がいくつも点在する西原村ですが、いくつかの集落では今後の暮らしの再建について話し合いが始まっているところもあります。第79報でもお伝えしたように西原村から玄海島の復興の様子を視察するツアーを行いました。各地での取り組みを参考にしながら西原村のみなさんは今後の暮らし方を考えていかなければなりません。
 いまでも怖くて自宅に戻れない人、移転をしたいと思う人、そのまま祖先が残してくれた土地に残りたいと思う人、残ると決めた人、残らないと決めた人、悩んでいる人などまだまだ答えは見つかりません。そんな集落が西原村にはいつくかあります。
 「残るのも大変、行くのも大変」という言葉が印象的でした。災害により住み慣れた土地を、思い出のつまった家を、一瞬にして奪われる辛さ、そんな現実をなかなか受け止めきれません。その心の穴を埋めるには時間がかかります。
 いま目の前にある、思い出のカケラをつなぎ合わせながら、また新たな生活を刻んでいく。いまだ壊れてしまった家屋が多く残る被災地では、更地になった土地もあり、主(あるじ)を失った何もない土地に佇むと、なんとも言葉にならず、悲しみがこみあげてきます。ここにどんな暮らしがあったのか、どんな思い出が刻まれていたのか、被災者の一人ひとりにその背景があります。

更地1_s

 そんな中にも住民の希望が芽生えています。大切畑地区の集落には、SWEETのお店がオープンしていました。口の中でとろけそうなふんわりシフォンケーキを扱う「Sakata Sweet」です。地元の方にも大人気のシフォンケーキはぜひ一度ご賞味ください。住民さんは「大切畑の希望だ」と地震後初めて開店したお店です。こうして一歩一歩震災から立ち上がろうとする姿にこちらも勇気づけられます。

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シフォン_s

 熊本ではいまだ家屋の解体など復旧作業が続いています。復興への道のりはまだまだ時間がかかります。東日本もまだまだですが、それぞれの被災地をどうぞ末永く見守ってください。
                                                                                           (増島智子)

西原村_s

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