熊本地震救援ニュース 第87報

西原村の仮設住宅で新たな「生きがい・仕事づくり」が始まっています。
今回は、その活動をお届けします。

 西原村の仮設住宅にて、住民の方々による手芸グループ「ののはな舎」が発足しました!空いた時間に仮設住宅の集会所に集まって、思い思いに手芸をして楽しんでいたお母さんたち。「作ったものを売って、収益を復興に役立てることはできないだろうか」という提案に、「これまで多くの方に助けてもらった。今度は私たちも、ものづくりを通して、誰かの役に立ちたい!」「助けられるだけでなく、私たちも西原村の復興に携わりたい!」と、お母さんたちの声が上がりました。
 中越地震や東日本大震災で被災された方々が、西原村の仮設住宅に訪れる機会がありました。その際に中越地震や東日本大震災で被災された方々によるこれまでの活動を聞き、「私たちも何かしなければ」と思うようになったと、ある方はおっしゃっていました。素朴だけれどもかわいらしく、どこにでも根を張って生きていく野の花のように、ふと足元に見つけて小さな喜びをもたらす野の花のように、自分たちが作ったものが誰かの小さな喜びになれば、そんな想いを込めて、「ののはな舎」という名前がつけられました。
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 「狭い部屋にこもっていたら、どうにかなってしまいそうだ。こうやって人と顔を合わせて、手を動かしていると、楽しく過ごせていい。」という声も聞きました。
 仮設住宅に入って初めて出会い、この活動を通して仲良くなられた方々もいます。集会所に集まってものづくりをしていると、散歩中のおじちゃんが様子を見に立ち寄ったり、近くに住むおばあちゃんが「私は目が悪くて加われないけど」と差し入れを持ってきてくれたりと、住民の方々同士のつながりが広がっているようです。
 お母さんたちが和気あいあいとものづくりをしている姿は、まさに仮設住宅に野の花が咲き始めてように感じられます。(寺本わかば)
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第一弾の商品は、紙バンドで編んだ小物入れです。お菓子や鍵を入れるのにきっと役立つと思います!
価格:350円 大きさ:直径約13㎝、高さ約6
イベント等で販売させていただける場を探しています!ご協力いただければ幸いです。
またこれからさまざまなものづくりに挑戦して、商品の種類を増やしていく予定です。

ののはな舎のfacebookページ
https://www.facebook.com/nonohanasya/?fref=ts

◎引き続きご支援をよろしくお願い致します。
「熊本地震」活動支援金を募集しています。
郵便振替 口座番号:01180-6-68556/加入者名:被災地NGO恊働センター
*お手数ですが、通信欄に「熊本地震」と明記下さい。
銀行から振り込む場合は、ゆうちょ銀行 支店番号:一一九(イチイチキユウ)店/店番:119/当座0068556/受取人名:ヒサイチNGOキヨウドウセンター

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熊本地震救援ニュース 第86報

 熊本・西原村での支援活動を継続しています。私が現地を訪問するのは、12月以来2ヶ月ぶりです。2月7?8日の2日間の駆け足となりましたが、その時の現地レポートをお送りします。

 西原村では住宅の解体が進んでいます。重機を使って更地にしてしまうので、久しぶりに訪れると風景の違いに戸惑ってしまいます。
 解体を待つお宅からのご依頼もポツポツと出てきます。家は解体するけど、隣の倉庫が完成したから家から倉庫へ荷物を移してほしい、解体予定の家の窓枠だけを使用したいから取り外してほしいなど。
 また、瓦のふき替えの依頼をした際に、古い瓦を残したまま業者が帰ってしまったというお宅もありました。瓦の回収作業をお手伝いしていると、「一人でやるとなるととても大変だから、やる気が起きないけど、こうして手伝ってもらえるとやろうかなという気になるよ」とおっしゃっていました。ボランティアが身近にいるというだけで、その方の生活が間接的に支えられているのかなと寄り添い活動に意義を感じます。
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 仮設住宅への入居から少し時間がたち、生活は少しずつ落ち着いてきていますが、その先の暮らし再建へ向けて、それぞれの方の悩みは多様化しています。
 ある住民の方は、「村の中で差ができてきている」と話をされていました。もともとの自分の集落での再建を目指すのか、別の地域に移って再建をするのかまだまだ迷って揺れ動いている方々も多くいらっしゃる一方で、自宅に戻り地震前に近い生活に戻りつつある地域の方もいらっしゃるという状況で、なかなか「村」として復興に向かっていこうという意識を持つことが難しい、という意見もあるようです。村人が一つになるきっかけづくりとして、ボランティアによるイベントなどの多様な関係づくりがこれからは求められるのかもしれません。
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 仮設住宅の集会所を覗くと、住民の方々が集まってお茶を飲んでいました。集会所に入ってみると、「寄ってけ寄ってけ」と声をかけてくださいました。暇な時は集会所に集まってお茶を飲んでいるという3人の方がおられ、ボランティアでふらっときたんです、とお話すると「ここは誰でも使っていい集会所だから気にせずに」とお話してくださいました。
 こうした何気ない日常での関わりも大切にしつつ、長期にわたる復興の課題にボランティアも一緒に悩んで行くことが重要だと改めて感じました。(頼政良太)

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熊本地震救援ニュース第85報

「鬼神殿」

西原村・鳥子、布田・宮山の両地区におきまして、秋の例大祭が執り行われました。

この祭りは「鬼神殿(きじんどん)」と呼ばれる神様が本殿から現れ、子どもたちを泣かしながら境内を歩き回り、その後神主さまによってお鎮まりになって帰って行かれる、いわば秋田のナマハゲのような子どもの成長を祝い、そして秋の収穫に感謝をする、そんなお祭りです。

まずは鳥子地区にあります三宮神社にて「きじんどん」さんが現れます。
ここは本殿の手前に拝殿があり、奉納の舞を納められた後、いよいよきじんどんさんの登場です。
舞が終わる頃には子どもたちはソワソワ。拝殿を覗きながら、また拝殿から遠くへと走って隠れる子、拝殿に上がって親御さんと共にその時をじっと待つ子、もう耐えきれずに泣き出してしまう子。きじんどんさんの登場が近づくにつれてだんだん子どもの様子が賑やかになってきました。
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そしてきじんどんさんの登場。いよいよ泣き出す子、遠くまで逃げ惑う子、きじんどんさんなんて怖くないと言わんばかりに走り回る子、様々です。
境内を怒鳴りながら歩き回り、最終的にはまた拝殿へと戻ってそこで神主さんとの問答が繰り広げられ、本殿へと帰って行かれました。神様に怒られる神主さんというのも初めて目にする光景でした。
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ここ三宮神社では、境内で地区の方々によるおみくじ、神社修復協力のためのバザーや、カレーやおにぎり、カライモなどの炊き出しもあり、地域でお祭りを盛り上げていらっしゃいました。
自分たちでできることを持ち寄りながら、工夫しながら場を盛り上げ、一つの空間を作り出していく。これこそ復興における大切な共通体験なのではないかと感じました。

そして次なるきじんどんさんの活躍の場は布田・宮山の八王神社。
八王神社は拝殿が地震によって倒壊してしまったため、拝殿の跡地に舞台を作り、今までにないオープンな場での例大祭となりました。
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ここでは様々な屋台や出店が地域の方、またボランティアの方、学生の方などと協力をしながら出店されているのがとても印象的です。この地域がこれまでどのように外の人達と繋がりながら地震後7か月を歩んできたのかが想像できる、とても賑やかなお祭りとなりました。
極めつけは「マグロの解体ショー」!
神事が行われている目の前で、解体されていくマグロに舌鼓を打つ参加者の皆さん。それはそれは大盛況でした。
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拝殿が崩れても、そこにまた新たな露天の舞台という「場」を作り出し、それがその会場の中心となって人々が笑顔で集う。コミュニティの核と言われる神社でこうした従来から住んでおられる方々と外からの方々が一緒になって過ごすこの「祭り」という空間を通じて、これからの西原の復興の先にある姿を垣間見る、そんな気持ちになりました。
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西原の祭りを通じて、復興へと進んで行くお一人お一人の力強さを感じさせていただく、そんな貴重な体験をさせていただきました。(鈴木隆太)

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熊本地震救援ニュース第84報

【大切畑集落*での1日】

「大切畑の創造を楽しもう!」
「復興の鍵はみんなの心意気にある!」
 11月13日、大切畑の集落内に掲げられた横断幕にはこう記されています。
 今回の地震で大きく被害を受けた大切畑集落。今はほとんどの方々が仮設住宅で生活をされていますが、この日は天候も良く、皆さんの手によってこの横断幕が掲げられました。
 
「久しぶりに大切畑でゆっくりするなぁ」
 こんな声が聞こえてきたのは、お昼、滋賀県から来られたボランティアさんによる炊き出しをいただいている時のことです。普段は大切畑に戻ってきても、畑や家のことなど、様々な仕事があるため、慌ただしい日々を過ごされているのでしょうか。
 みんなで集まって、こうしてお昼を食べながらひと時を分かち合う。こんな普通だったことに心が緩む、それほどに大変な時期の中に今でも皆さんがいらっしゃることは想像に難くありません。
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 大切畑では月に一度、全体会として住民の方々が集まって、これからの再建について話し合う会議を設けています。
 それぞれのご家庭によって、これからどのように再建を目指していくのか、それは様々であり、また現段階においても迷われている方は大切畑の皆さんに限らず少なくありません。それでもここ大切畑ではそれぞれが今どのように考えているのか、悩んでいることも含めてお互い共有をしよう、また共通して悩んでいることについては、役場とも相談しながら解決策を見出していこう、そうした雰囲気作りを、区長さんを中心としながら話し合いが持たれています。
 
 先日、大切畑と古閑の皆さんと11年前に被災された福岡西方沖地震の被災地・玄界島を訪れた際、玄界島の住民の方がそれぞれ口にされていました。
「とにかくみんなで話し合いの場を持つことが大切だ」
 これは、12年前に発生した中越地震の被災地を訪れた時も異口同音にこのことが熊本地震の被災地へのメッセージとして聞かれました。
 
 こうして大切畑では話し合いの場を皆さんで持ちながら、お互いがこれからどのようにしていくのか理解をし合いながら、一歩ずつ復興の道のりを歩み始めています。(鈴木隆太)

*大切畑地区・・・当センターと深いつながりがある水俣の方からご紹介いただき、つながりのできた集落です。西原村の中で最も被害の大きかった集落の一つです。

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熊本地震救援ニュース第83報

【北部九州ぐるっとボラバス継続しています】

当センターが取り組んでいた北部九州ぐるっとボラバスですが、福岡県の西南学院大学さんと月に1回のペースで継続的に取り組みを続けています。
今回は、10月の活動についてのレポートが届きましたので、ご紹介します。
なお、西南学院大学さんのHPからも活動の様子はご覧になることができます。
<http://www.seinan-gu.ac.jp/volunteer/v_newslist/5318.html>
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10月22日(土)熊本県阿蘇郡西原村にて、被災地NGO恊働センターのご協力のもと、学生教職員12名(学生9名・教職員3名)がボランティア活動を行いました。午前中は、門出田中地区多目的集会施設にて、食器市のお手伝い、足湯、お茶っこ(交流)を行い、雨の中、約20~30名程の方々が足を運んでくださいました。初めは緊張した表情の学生たちでしたが、来てくださった方々と一緒に食器を選んだり、選ばれた食器が割れないように新聞紙で包んだり、お茶やお菓子を一緒に食べながらお話を楽しんだり、足湯とハンドマッサージで手のぬくもりに癒されたりと…それぞれが出来ることを積極的に取り組んでいました。
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午後は、宮山地区の視察、木もくプロジェクト(木材の準備や整理など)のお手伝いを行いました。宮山地区の視察では、震災から半年たった今も被災直後のような景色が広がっており、壊れたままの家屋や危険と書かれた張り紙がされた家、ブルーシートがされた屋根瓦、家から投げ出された家具…など、テレビや新聞の報道だけでは分からない被災地の様子や想いをそれぞれが目と肌と心で感じました。木もくプロジェクトでは、仮設住宅の中で使用する棚のキットづくりをお手伝いました。いろいろな幅や長さ、厚みの材木があったため、最初にそれらを種類ごとに分け、その後、各仮設住宅から出された家具の設計図に基づき、鉛筆で材木に線をひき、仕上げは被災地NGO恊動センターの方が電動のこでそれらをカットされ、棚を組み立てる前のキットができました。これらのキットはボランティアが組み立てるのではなく、仮設住宅にお住まいの方々が組み立てられるとのことです。学生たちは、不自由な生活の中で少しでもすみやすくなるお手伝いができればと、協力し合いながら材木の仕分けや線引きに取り組みました。
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 今回もあたたかく迎えてくださった西原村の皆さま、点を残すための足元を照らしてくださった、被災地NGO恊働センターの皆さま、現地支援者の皆さま、送り出してくださった保護者の皆さまに心から感謝いたします。9月チームから引き継がれた想いは、今回の活動で学んだことや感じたことをプラスし、11月チームへ学生たちがバトンを繋いでいきます。

(参加学生の感想)
・被災地視察では、テレビのニュースで見るよりも衝撃が大きく、被災者の方々の気持ちが景色から伝わってきて涙がこみあげた。
・食器市で選んだ湯のみを見ながら「この湯のみは、亡くなったおじいちゃんにあげるの。生きている時もお茶を入れてあげていたから、今も変わらず毎日お茶を入れてあげるのよ」とおばあちゃんが言っていた。
・沢山の方と交流ができ嬉しかった。これからも継続してボランティアに行きたい!
・グランドゴルフの場所が(瓦礫の)集積所?になっていて今は出来ないと聞いた。グランドゴルフのことを楽しそうに話されていたので、他の場所でも出来たらいいのになぁ…と感じた。
・人と人との交流が、人を支え自分も支えられていることを知った。
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熊本地震救援ニュース 第82報

11月2日レポート

 被災地では、仮設が立ち並び寒さが近づき住民さんは仮設の冬支度をしていました。仮設の床に断熱シートを張る人、こたつや毛布を買い込む人などがいました。西原村の仮設は少し土地が高いところにあるようで、地元の人には風が強く寒いと感じているようです。
 東日本大震災では、日本赤十字社より家電6点セットを仮設などの被災住民に寄贈しました。しかし、その後の被災地では同じように手配されてはいません。被災者の方は備え付けのエアコンとガステーブル以外はご自分たちで買い揃えなければなりません。どうして被災地が変わればこうして格差が生まれるのでしょうか?

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仮設_s

 西原村の仮設では、木造とプレハブの仮設で312戸が建設され、棟ごとに談話室と集会所ができつつあり、自治会も決まりつつあります。そこで地域住民の手によるお茶会やボランティアによるイベントも開催されつつあります。仮設住民の中には大人向けのイベントはあるけれど、子ども向けのはなかなかないからということで、手作りのハロウィンパーティーなども行われたそうです。まだまだ手探りですがコミュニティづくりなどの取り組みがはじまっているようです。

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 また、小さな集落がいくつも点在する西原村ですが、いくつかの集落では今後の暮らしの再建について話し合いが始まっているところもあります。第79報でもお伝えしたように西原村から玄海島の復興の様子を視察するツアーを行いました。各地での取り組みを参考にしながら西原村のみなさんは今後の暮らし方を考えていかなければなりません。
 いまでも怖くて自宅に戻れない人、移転をしたいと思う人、そのまま祖先が残してくれた土地に残りたいと思う人、残ると決めた人、残らないと決めた人、悩んでいる人などまだまだ答えは見つかりません。そんな集落が西原村にはいつくかあります。
 「残るのも大変、行くのも大変」という言葉が印象的でした。災害により住み慣れた土地を、思い出のつまった家を、一瞬にして奪われる辛さ、そんな現実をなかなか受け止めきれません。その心の穴を埋めるには時間がかかります。
 いま目の前にある、思い出のカケラをつなぎ合わせながら、また新たな生活を刻んでいく。いまだ壊れてしまった家屋が多く残る被災地では、更地になった土地もあり、主(あるじ)を失った何もない土地に佇むと、なんとも言葉にならず、悲しみがこみあげてきます。ここにどんな暮らしがあったのか、どんな思い出が刻まれていたのか、被災者の一人ひとりにその背景があります。

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 そんな中にも住民の希望が芽生えています。大切畑地区の集落には、SWEETのお店がオープンしていました。口の中でとろけそうなふんわりシフォンケーキを扱う「Sakata Sweet」です。地元の方にも大人気のシフォンケーキはぜひ一度ご賞味ください。住民さんは「大切畑の希望だ」と地震後初めて開店したお店です。こうして一歩一歩震災から立ち上がろうとする姿にこちらも勇気づけられます。

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 熊本ではいまだ家屋の解体など復旧作業が続いています。復興への道のりはまだまだ時間がかかります。東日本もまだまだですが、それぞれの被災地をどうぞ末永く見守ってください。
                                                                                           (増島智子)

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熊本地震救援ニュース 第81報

11月1日レポート

 半年が過ぎた熊本に久しぶりに訪問しました。飛行機の窓から見る家並みにはまだいくつもの屋根にかけられたブルーシートが目につきます。
 報道によると、「熊本地震で最大震度7を2回観測した益城町は31日、唯一残っていた町総合体育館の指定避難所を閉鎖した。御船、大津の両町も同日、最後の避難所を閉じた。いずれも応急仮設住宅の整備が進み、住まい確保にめどが立ったと判断。残る避難所は西原村、美里町の各1カ所で、指定避難所の避難者は計4人となった。」(熊本日日新聞2016/11/1)と伝えています。ピーク時には18万人以上の方が避難していて、余震が続き車中泊の人も多く、その間にいのちを落としてしまった方もおられ、避難所の在り方をもう一度、検証する必要があるのでしょう。今回の熊本地震では、直接死が50人、震災関連死は61人(11月20日現在)に上り、直接死を上回っています。阪神・淡路大震災から21年経った今でも、関連死の問題が解決していないことに憤りを感じます。

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 さて、10月も終わり冬の気配がしている西原村ですが、地震直後にボランティアもお手伝いさせて頂いた唐芋(からいも)の収穫期を迎え、各農家は収穫作業に追われています。私も早速お手伝いさせて頂きました。地震の後で心配をしていましたが、たくさんの唐芋が実をつけていました。ただ、地盤が動いたせいで、畑も土地が沈んでいるところもあり、細長い形の芋がとれるそうです。ふっくら丸々としたお芋が高く出荷できるそうですが、細長いお芋はランクが少し落ちるとのことです。

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 それでも、2世代、3世代家族総出での収穫作業は大変ながらもみなさん生き生きされています。西原村の特産唐芋のシルクスィートはとても甘くなめらかでおいしいです。私が「西原村のお芋はおいしいね」とばあちゃんに話しかけると「芋は飽きた!もうたくさん!」という返事が、でも畑ではとても生き生きし、箱詰めの際には厳しいチェックに目を光らせ、生きがいを感じているようでした。

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 そして、唐芋を貯蔵するのに大切な貯蔵庫も完成間近です。少し大きくなり1000ケースのコンテナいっぱいに収穫したての唐芋で埋め尽くされています。ここで来年まで熟成され出荷を待つのです。

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 地震直後に「農業ボランティア」として農家のお手伝いでボランティアを派遣していた「西原村農業復興ボランティアセンター」として活動していたチームは「西原村百笑応援団」と名前を変えて、いまもなお西原村の農業を支援し続けています。代表の河合さんもいまもなお各地で活躍しています

 農家さんも「ボラティアさんには大変助かっているよ」と笑顔で話してくれました。ボランティアさんがお手伝いすることで、物理的な手助け以上に震災で痛手を負い、時には農業を辞めたいと思う気持ちがボランティアさんとの関係のなかで「またがんばろう」という前向きな気持ちにさせてくれるのです。「農ボラ」確実に心のケアにもつながっているようです。

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 熊本滞在中にはTPP承認案と関連法案が参議院で強行採決されました。農家のばあちゃんは「TPPになったらどうなるんだろうね??」、私が「外国産のものを買わないように不買運動しないとね」というと、「でもみんな安い方にいくからね」と・・・。
 水俣公害病事件の後に、地元の農家さんは無農薬の甘夏をつくり環境汚染を少しでもなくそうとしたのですが、直後にオレンジの自由化になり大打撃を受けたそうです。
公害や地震、水害などの苦しみから立ち上がろうとしているなかで政府はどうしてまた住民を苦しめるような施策を貫こうとするのでしょうか?

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熊本地震救援ニュース 第80報

●被災古民家再生プロジェクト始動

 地元工務店の方々を中心に、古民家を近隣地域の建設関係者やボランティアで修繕し、地域のコミュニティスペース・ボランティア宿泊所等に使えないか模索中です。
 西原村では、被災家屋に対して専門家の検証があまりなされないまま、解体を決める方が多くみられます。まずはモデル的に全壊家屋である家を修復することにより、「全壊=解体」ではなく、木造建物だからこそ全壊でもなおせることを伝えていく一つの拠点になればという想いで、このプロジェクトが立ち上げられています。また、技術専門学校の生徒や建設関係ボランティアなどと一緒に修繕をしていくことで、熊本に少ないと言われている”なおせる大工”の育成、そして伝統工法の技術の継承にもつなげていけるのではないかと期待されています。外部から修繕ボランティアがくることで、地域とボランティアの交流の場ともなりえます。

 九州大学の先生のご紹介で、熊本の復興に向けた社会的事業や地域をつなぐ仕組みづくりを考える「明日のくまもとを考えるプロジェクト(あすくま)」のメンバーが古民家再生に興味をもち、10/17にヒアリングにきていただきました。このあすくまのメンバーが今後、何かしら古民家再生に向けたプロジェクトを企画するかもしれません。もしこのプロジェクトが進行しなかったとしても、地元工務店の方々は、近隣の地域で興味をもっている方を集めて、被災古民家の再生プロジェクトをスタートさせたいとの思いをもっています。
 このヒアリング時に建築士プロンティアネット(いつも建物調査に協力してくださっている佐賀の建築士さんを中心とした建築士の有志ネットワーク)にも、一緒に話を聞いてもらい、興味をもってくださったので、今後また新たな協力体制ができそうです。

 こうした取り組みを通して、被災者一人ひとりの想いに目を向けた住宅再建が実現していけるようサポートしていきたいと思います。

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*「熊本地震」支援活動の一部は、公益社団法人Civic Forceからのご支援を戴いてパートナー事業として展開しております。

熊本地震救援ニュース 第79報

西原村より、玄界島視察ツアーを終えて

 台風18号がどうにか過ぎた10月7日、西原村の古閑地区、大切畑地区の方々、そして西原村役場の方々と総勢20名で11年前の2005年3月に発生した、福岡県西方沖地震の被災地である玄界島に訪問し、復興の様子についての視察ツアーを行いました。
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 このきっかけは、古閑地区において、新潟から長岡造形大学の澤田先生や、兵庫県立大学の宮本先生も参加した、7月初旬に開催された座談会に端を発します。この座談会の中で、古閑地区のある住民の方から「他の地域、玄界島での復興がどのように行われたのか、実際に見てみたい」という声から実現することとなりました。

 天候も曇りの中、玄界島の港では現福岡市漁業協同組合玄界島支所・運営委員会会長である細江四男美さんが待ち受けてくださり、私たちを集会所へと案内してくださいました。その後は玄界島の復興の様子をまとめたビデオと、合わせて西原の方々からの質疑応答という形で話が進みました。
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 玄界島人口約700人、住民の大半は漁業で生計の島が地震によって道路、擁壁の被害、住宅のほとんどが被害を受け、ほとんどの島民が福岡市内に避難されました。仮設住宅は半分を島内に、半分を福岡市街側の漁業施設の近くに建設され、島側には漁業関係者、学校に通う人は福岡市街側へ。そのため、家族でバラバラになる世帯もあったそうです。
 復興に向けた体制作りとして、玄海島復興対策会議、その下部組織としての復興委員会など設置されました。島民総会は2005年5月21日を境に勢いを持ち、神戸への視察や、意向調査も行うなどの中で、「玄界島復興だより」を出したり、ワークショップ、座談会を開催しました。2006年1月の第5回島民総会で新しい島作り案を提示、承認を得たとのは地震からわずか10ヶ月のことでした。
 復興計画では、斜面地に戸建、平地に市営住宅とし、海沿いは住宅ではなく集会場などの公共的な利用を。斜面には、車が通れる道も作られました。2007年3月、県営住宅への入居開始。2008年3月、概ね住宅復興完了という流れのご説明をいただきました。

 このような流れの中、どのように再建をしてきたのか、特にどのように合意形成をしてきたのか、ということが西原の方々からの質問として上がっておりました。島という独自の風土の中で、お互いが助け合って生活を積み重ねてきた、そうした中でできた文化を基に、復興の計画が作られていたように感じます。

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 今回は、佐賀大学の後藤隆太郎先生にもご同行いただきました。後藤先生からは今回の視察についてのアドバイスをいただいた経緯もあり、今回現地の案内などもしていただきました。
 今回の視察では、参加された古閑地区、大切畑地区の皆さんそれぞれ「勉強になった」「良い機会になった」という感想をいただきました。玄界島の復興がそのまま西原での復興に当てはまる、ということではなく、むしろプロセスの中で何を重要視してきたのか、そのことが再認識されたこと、また一度西原から離れて他の地域での取り組みを見ながら改めて自分の地域を見直す、良い機会になったのではないかと思います。
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 西原村から視察に来たあるお母さんが仰った。「ここだと夫婦喧嘩も大変だと思う。喧嘩して外に出ても船が出てしまったら行くところがない。山に上がって叫ぶくらい?」
 この言葉から島の暮らしを想像するに、この島ならではの「我慢」「納得」「譲り合い」が存在するのかもしれない、ということです。

 一方、お母さん曰く、西原村では喧嘩をしたら俵山に行って、ひとしきり泣いてから、涙を拭って家に帰ったり、時には実家に帰って、一時してからまた家に帰ったり。
 暮らしの有り様は違うけれども、今回の視察で暮らしを慮るお母さんのその感性に驚かされ、また続けて「やっぱり私は西原がいいわ」と言われた、その言葉を聞いた時に、離れてみて自分の住む地域への思いが湧き上がってきたのかもしれない、と感じました。

 こうして玄界島を訪れてみて、道行く西原の方々に声を掛けられた島民の方と話し込む姿があちらこちらで見られ、それぞれが交流をされていましたが、玄界島の方々が口々に仰っていたのが、「とにかく話し合うこと。納得すること」というフレーズです。

 どれだけ意思疎通ができるのか、そのことがこれから復興の道のりを歩む上で地域にとって大きな鍵になっていることは間違いないと感じました。
 また同様に、西原の皆さんもそれを感じながら、これからの復興の取り組みに励んでいきたい、そんな声もいただきました。(鈴木隆太)

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銀行から振り込む場合は、ゆうちょ銀行 支店番号:一一九(イチイチキユウ)店/店番:119/当座0068556/受取人名:ヒサイチNGOキヨウドウセンター

*「熊本地震」支援活動の一部は、公益社団法人Civic Forceからのご支援を戴いてパートナー事業として展開しております。

熊本地震救援ニュース 第78報

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 当センターのニュースでも何度か紹介してきましたが、仮設住宅にお住いの方とともにものづくりを行う、「西原村木もくプロジェクト」が人気です。また、同プロジェクトは広く募金も募っています。当センターも「西原村木もくプロジェクト」を応援しています。


 改めて西原村木もくプロジェクトの理念と活動を紹介致します。


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西原村木もくプロジェクトは木工ものづくりを通じたボランティア活動を通して、西原村の仮設住宅を中心とした住環境改善に取り組む団体です。


 


●活動内容


1.住民参加型木工ワークショップの開催


“住民自身が自分でつくる”ことを大切にしながら、ボランティアもお手伝いをしつつ、木工ものづくりのワークショップを行っています。


 


2.手すりの取り付けや段差の解消


保健師さんや作業療法士さんと連携を取り、必要な世帯に対して玄関やトイレの手すり設置や段差の解消などを行っています。


 

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●西原村木もくプロジェクトで大切にしていること


1.自分の手で「つくる」


住民自身が自分の手でつくることにより、ものづくりの楽しさを知り、スキルを学ぶことが出来ます。後から必要なものが出てきた時、「今度は自分で作ってみよう」と自分自身で環境を改善していく意識に繋がります。


 


2.解体材の利用


地震の影響で多くの方が長年住み続けた家の解体を余儀なくされています。家族との思い出がたくさんつまった自宅。ただ解体するのではなく、その自宅の木材を使い、家具に変身させ、新しい生活の一部として利用することで、「思い出の保存」につなげていきます。


※余談ですが、当センターにも、能登半島地震(2007)の解体材で、釘を一本も使わずに造ったテーブルがあります。


 


3.お父さんの生きがいづくり


ものづくりワークショップは、仮設住宅にこもりがちなお父さんが外に出るキッカケにもなります。日曜大工が得意なお父さんは、若い学生ボランティアがものづくりに慣れていない手つきを見ると、寸法の測り方や作り方を学生に教えてくれるようになります。そういった瞬間が仮設住宅に暮らすお父さんの喜びにもなります。


 


4.ボランティアと住民の交流


ボランティアはものづくり素人の若い学生が中心です。住民と若いボランティアが一緒にものづくりに取り組むことで、自然と会話が生まれ、時には深い絆が生まれます。若い力が住民に力を与え、ボランティアも被災された方のお話を聞くことで被災地の現状を学んでいきます。


 


5.木育の機会


子どもから大人まで木にふれ親しむことにより、木材の良さを知り、広く森林資源や地球環境の保全、地域材の利用の意義を学ぶ機会となります。



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【活動資金ご協力のお願い】


西原村木もくプロジェクトでは、今後も西原村における木工ものづくりを通じた継続的なボランティア活動を展開していくため、?活動資金のご寄付を下記の通り募っております。


皆様からいただいたご寄付は、木もくプロジェクトの活動資金として、仮設住宅等の住環境改善に向けた、木材や工具の購入、ワークショップ開催のための物品購入等にあてさせていただきます。


《振込口座》?ゆうちょ銀行 からの振込?記号 17110 ?番号 32177321?口座名 西原村木もくプロジェクト

      ○他金融機関からの振込?ゆうちょ銀行?店名 七一八(読み ナナイチハチ)店番 718 ?普通預金 ?口座番号3217732?口座名 西原村木もくプロジェクト