【東日本大震災】レポートNo.241

6月に、再び岩手県に入った増島のレポートをお届けします。
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「まけないぞう」がつなぐ遠野ものがたり
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 沿岸に車を走らせると、前回よりも山肌が大きくえぐられ、痛々しい姿が広がる。道路を造るため、宅地などの造成のために仕方のないことなのか??ある被災者は言う「破壊するのは一時、林にするには何百年もかかるんだよ!食糧は私たちのお腹を満たすけれど、緑は心を癒してくれるんだ。」と怒りをあらわにする。「外からきた偉い人たちや学者さんが計画たてるんだべ」・・・。別の人が「東北の木は南のほうと違って、成長が遅いからここまで成長するには本当に長い時間がかかるのよ」と。
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 海では防潮堤の建設も進んでいる。コンクリートの大きな固まり、鉄の杭を海に沈めて水門を作ったり、山や海が悲鳴をあげているように感じる。漁村のぞうの作り手さんは、「防潮堤を高くしたってダメなんだ。高台に行かないと。海が見えなければ恐ろしい。今回が想定外だったんだから。どうせ作ったってまた防潮堤を越してくる。おらたちの意見なんて誰も聞いてねぇ」・・・。国からのガイドラインには被災者ひとり一人の“つぶやき”に耳を傾けなさいと出ているはずだ。でも被災者の“つぶやき”とくに女性や子ども障がい者、外国人、高齢者などのマイノリティの声は自治体にも国にも届いてはいない。
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 6月25日付けの岩手日報には「巨大盛り土大丈夫?陸前高田、宅地造成に住民不安」と題して「東日本大震災の津波で被災した陸前高田市の市街地を再生する土地区画整理事業で、最大高さ12メートルという盛り土による宅地造成に対し、住民から安全性に不安の声が上がっている。事業主体となる市は従来の安全基準に沿って対策を講じる方針だが、今回は国内でも過去に例がないような大規模な盛り土造成。」と出ていた。他の地域では最大15メートルになるところもあり、山からでる水を心配したり、地滑りなど不安な声が聞こえてきます。時間がかかっても被災者の声を丁寧に吸い上げて、一人ひとりが納得できるような形で進めてほしい。
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 被災地では、なぜこんなところで進んでいるのかと疑問に思う場所もある。地元の人に聞くと砂防ダムの工事だそうだ。それはなぜか尋ねてみると、津波の前から決まっていた工事だから、粛々と進めるということだったそうです。いま優先すべきことは被災地の支援事業なはずです。砂防ダムの工事をすれば、ただでさえ人材や材料などが足りないのに、被災地の復興はまた遅れます。ヒアリングした現場でも、8ヶ月も工事が止まったままでつい2~3日前に工事が始まったという現場がありました。
 もっと被災者に寄り添った対応を考えてほしいものだ。
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~まけないぞうの一言メッセージ~
ぞうさんづくり継続が大事。がんばるぞう!!
(2014年6月9日 女性 大船渡市後ノ入)