【東日本大震災】レポートNo.255

6月に、再び岩手県に入った増島のレポートをお届けします。
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「まけないぞう」がつなぐ遠野ものがたり 6月4日  
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 2ヶ月ぶりに訪れた遠野は新緑に包まれ、爽やかな風が吹き抜けて、田んぼには稲が風にそよいでいました。いつもながら四季の素晴らしさを実感し、自然に感謝する日々です。
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 5年目を迎えた被災地では、少し、いやだいぶ不安が被災者の心を覆っていました。仮設住宅は場所によってはほぼ空き家状態となり、半分がすでに復興住宅や自力再建などを果たし仮設を出てっていました。久しぶりに訪問した作り手さんは、「私、最近鬱かしらと思うの…」と涙をこぼしながら話し出しました。「全て失い、忘れることは絶対できないけれど、こんな辛いことがあったお陰でみなさんにこうして出会い、ぞうさんも作ることができたのよ。過去は変わらないから、前を向いて歩くしかない」と心の底から振り絞って言葉を発していました。取り残されていく孤独感、寂しさをこう話すことで、何とかぎりぎりのところで踏ん張って、いまを生きているように感じてなりませんでした。
この作り手さんは津波で旦那さんと息子さんを亡くされました。旦那さんのお話はしてくれますが、息子さんのお話はいまだ聞いたことはありません。彼女の悲しみの深さは想像をはるかに超えるのでしょう。ただただ黙って話を聞く以外になすすべもありません。
彼女のつぶやきを紹介します。
「月日の流れの早いこと。あれから4年の歳月が過ぎ忘れ去られていくような感もしないではない昨今。震災にあった私どもはまだまだ昨日のことのように思い出されます。『まけないぞう』のお陰様で心が癒され、一針一針心をこめて縫い続けております。」
こうして、少しでもまけないぞうが被災者の方に寄り添い、心を癒してくれています。最近は、販売が滞っています。ぜひ、またみなさまご協力ください。