奥能登地震2023・5被災者支援活動レポート-14

前号で予告しましたように、もう一つのK邸の進捗状況です。これまでも本レポートで触れてきましたが、このお宅は長谷川さんによる「被災家屋の修復のための訪問・診断・計測・地元大工さんとの連携」というプロセスを見事に進めてきたケースです。
特に地元の大工さんとの連携というのは、今後の課題でもあります。これまでに何度も訪問し、修復部分のアドバイスをこのKさん宅のお抱え大工さんにしていて、今回10月28日に訪問した時には、損傷していた床の間、押し入れ、廊下、トイレなど各々部分的な修復を終えており、長谷川さんも“合格”と言っておられました。もう一つは、建具の修復あるいは新品の入れ替えによって“壁耐震”になる耐震補強の技を、丁寧に同大工さんにアドバイスをされたのです。大工さんは「なるほど!」とか、「うんうん!」とうなずくシーンが何度もあり、さらに「分かった!!」と得意げに返事をする場面もあり、見事に外部の建築士と地元大工さんとが意気投合するという様子を目の当たりにしました。私は、これまで被災地珠洲を訪問していて、地元の大工さんと長谷川さんとの連携が、このように素晴らしく成果を出しているのを目の当たりに見たのは初めてのことです。冬支度が急がれるので、焦ってもいたのですが、順調に進んでいて「ホッ!」としています。
 さて、建具の入れ替えですが、1箇所に“格子障子”を入れることになったのです。この格子障子の製作には高い技術が求められるようです。地元大工さんは「難しいなぁ」という表情をして抵抗しているようにも見えたのですが、それは長谷川さんを困らせようとしてのことのようでした。何気に嬉しそうな顔をし、自信ありげに「分かった!」と最後に返事された顔が、愛らしく感じたほどです。しかも、この格子障子が床の間がある客間からはみえるけれども、玄関から入ってすぐの居間からは見えないようにという工夫も施しているのです。次回の訪問時には、素敵な建具が入っているだろうと思うと、ワクワクしてきます。
 このK邸には、90歳のおばあさんがおられます。いつも訪問の時には台所にいて、面と向かって顔を合わすことがなかったのですが、今回初めてお顔を拝見しました。耳がだいぶ遠いようで、娘さんが耳元で大きな声で話して、やっとわかるという状態でした。おばあさんは、私たちに気を遣って台所におられたようで、台所の少し大掛かりの修理時には一時、どこかに避難して貰わなければならない可能性があることを、長谷川さんは大変心配されていました。以前にもこのレポートで同じようなケースの時に、こうして特に高齢者と同居されている場合に、できるだけ震災前の暮らしぶりのままを維持できるようにと、アドバイスをされます。
「たてもの修復」をする場合に、長谷川さんが大切にされているポリシーなのです。
 (顧問 村井 雅清)


*なお「奥能登地震2023」の活動は、公益社団法人Civic Forceとのパートナー協働事業として実施します。           

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