大阪北部地震に関するニュース 第9報

大阪北部地震に関して、ここ2~3日は「一部損壊」被災者に対する支援策が話題になっている。報道各紙を読んでみると、すでに過去にも幾つかの自治体は独自施策で、見舞金や特別枠やらで可能な限りの支援をされてきている。
この一部損壊について、山崎栄一・関西大学教授(災害法制)は毎日新聞の取材で「一部損壊は全壊や半壊と比べて見過ごされがちだが、少しでも壊れた住宅に住み続けるストレスは計り知れず補修工事の負担も小さくない。将来的には支援法の枠組みの中で、小額でも支援が受けられるよう法改正するべきだ。」(毎日新聞、2018・6・26)とコメントを寄せている。将来的には、と言っておられるが当然今回の該当者には可能な限りの支援を実施するという前提だと解釈したい。本ニュース前号で、「社会的実験として」と冠をつけたのは、まさに将来につなげるためである。

もっとも被災者にとって、大きな不安は「修理にいくらかかるか分からず不安だ。」「また雨が降れば雨漏りしないか?屋根の修理屋さんは忙しくて間に合わない。」「余震が来たら、安心して眠れない。」などのようだ。こういう不安の声を聞くと、支援策を打ち出す場合に「多様な選択肢が必要である。」ということを強調したい。敢えて社会的実験というのは、打ち出す施策が持続可能なものになるかどうかはやってみないと分からないということでもある。
今回特に屋根瓦の損傷というのは、築数十年という古い建物が多いのではないか?ということが考えられる。持ち家を確保したときには家族もいて、2階建てにしたというケースも少なくないだろう。しかし、今は子どもも家を離れ、一人ぐらしであり、年金生活をしているという家庭も少なくないと想像がつく。そうすると、「いつどうなるか分からない住まいに、修理費に50万円以上かけるのは・・・・?」あるいは「一人だから、これほど大きな家は必要ないかも・・・?仮設でいいから一人暮らしができれば・・・?(空き家の借上げ)」とか、「持ち家なので、市や府が最後は買い取ってくれないだろうか?(リバース・モゲージの活用)」「ここは向こう三軒両隣りが、一部損壊でみんな一人暮らし。行政の支援を受けて3軒続きの共同住宅にできないか・・・?(若者とのシェアーハウスに)」などなど、実は行政が智恵を絞って、支援策のメニューを多彩に提示し、特に高齢被災者が安心して余生を過せるようなプランを打ち出せないものか?要は、被災者にとっては多彩なメニューから支援策が選べるということが大切ではないかと思えるのだが・・・・・?

 台湾の場合は、仮設住宅でも民間企業や宗教団体が資金を出して支援をされる。日本でもそこまでの法制度改革ができないならば、とりあえず時限的にでも基金をつくって対応することも不可能ではないだろう。
何度も言ってきたが、首都直下地震や南海トラフ大地震が来てからでは間に合わない!
社会的実験で、転ばぬ先の杖と転んだ後の命綱(セーフティネット)を考えて欲しい。

 (村井雅清)

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