2019年8月秋雨前線による豪雨災害救援ニュース No.16

先日武雄のおもやいボランティアセンターに、宝塚から参加してくれた高校3年生の朴偕泰さんが、災害ボランティア初体験の感想文をよせてくれました。ぜひ、ご覧ください。

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「内側から見たボランティア」

朴 偕泰
 私は11月の10日から19日の10日間、佐賀県の武雄市にある「おもやいボランティアセンター」で災害ボランティアをしました。
災害ボランティア自体は初めての経験で、不安もありましたがそんなものはすぐ無くなっていきました。経験としてはまだまだですが、そこから感じたことを書かせていただきます。
 佐賀入りした初日。早速床下作業をすることになり、青色のつなぎ服を来て指定文化財のお宅に潜りました。ほふく前進に近い姿勢で進み、作業する位置で仰向けになります。ライトで床裏を照らし、木材に付いた土をブラシで落としていくのです。隙間は歯ブラシを使ったり、刷毛で全体の砂をはらったりしました。土が付いたままにしておくと、カビが生えてくるので大事な作業です。
 作業用ゴーグルとマスクを付けているにも関わらず、目や口に砂が入ってきます。大きなお宅なので作業する範囲も広い。「気が長い作業だなぁ」と意識が遠くなりそうでした。でも、木材の土が落ちて床裏が綺麗になっていくのは爽快です。つめたい床下の土に寝そべるのは気持ちがいいですし、徐々に床下作業にはまっていきました。
 別の作業では、床下にある泥を掻き出して土嚢袋に入れます。そして、トラックの荷台にのせ、ボランティアセンターへ運び撤去していきます。
 また、「搬出」と言う作業では、被災者のご自宅から出た災害ゴミを集積所に運びます。水没した家電製品や、建築材料の石膏ボードが入った土嚢袋などなどを集積場のゴミ山に投げ入れます。冷蔵庫のような大きな家電もあって、なかなか骨が折れます。
 こういった話をすると「体力のある人じゃないとできないんでしょー」と言う人も多いと思いますが、そんなことはありません。実際、体力のいる床下潜りは現役世代が活躍しています。割合的には中年男性のボランティアが多かったですが、女性の方もリーダーでビシバシ仕切っている方がいました。
 また、浸水した家の壁を洗う作業があるのですが、70代のおじいちゃん・おばあちゃんがブラシで壁を綺麗にしていました。文句も言わず。
 力仕事でなくても被災者の方と話すだけで立派なボランティアです。体力に自信の無い方でも出来る事があるので、気負わずに参加して下さい。
  ボランティアは報酬を求めません。もちろん有償ボランティアというものもありますが、「奉仕」という意味で考えると報酬を期待して行うものではありません。そして、感謝の言葉を期待して行うものでもない。
 どこまでいっても、「自己完結」なんだと思います。楽しいと感じるも、ただ働きだと思うも自分次第です。そういうはっきりしているところが素敵だと思いました。加えて、報酬を求めないからこそ、相手のためにしてあげようという純粋な思いを持てるのだと思います。そんな風の通った気持ちよさがボランティアの魅力だと感じました。
 平日の仕事に疲れ、休日にテーマパークで遊ぶのもいいと思います。家でゆっくり休むのもいいと思います。でも、そこでボランティアをしてみるのはどうでしょうか。現代は日常のあらゆる行動に金銭がついてまわります。しかし、ボランティアは金銭から離れた世界でした。職場とは違う空気感に浸ってみるのもいいと思います。アルバイトさえしたことが無い私が偉そうには言えませんが、あの空気感は確かです。
 ここまで言うと、ボランティアがさも聖人君子しかできないことのように聞こえてしまいますが、違います。ボランティアという行動が私たちをお金の呪縛から解放してくれるのです。損得勘定を抜きにして他人を思う、そんな子どもの頃には当たり前にあった純粋な感情を思い出させてくれるのです。
 今まで私はボランティアに青臭いイメージを抱いていました。100%の善意でやっていたとしても、自分がいい事をしているという自己満足でしかないとも感じました。でも、実際にやってみて純粋に「楽しかった」です。そこには他人に無償の愛をそそぐ気持ちよさがありました。善意ですることが青臭くても、楽しかったら関係ないと思えるようになりました。所詮は外からの見え方を気にしていただけだったのです。

 最後に、おもやいボランティアセンターで出会った方を一人紹介します。モウリさんという男性です。以前は自動車の整備士をしていた方ですが、熊本地震を機に退職しボランティア生活が始まったと話していました。現在は貯金を切り崩しながらの生活らしく、マイカーで寝泊まりしています。タバコをよくスパスパ吸っているモウリさんは、優しい笑顔をしていました。
 短い一生です。せっかくならお金に縛られず、真っすぐに人を思う人間でありたいです。そんな人生経験の「資産家」に私はなりたいです。

■おもやいボランティアセンタークラウドファンディング
https://congrant.com/project/ngokobe/1095

■Yahoo募金受付中
https://donation.yahoo.co.jp/detail/5240002/

■活動支援金のご協力をお願い致します。
・郵便振替
   口座番号:01180-6-68556/加入者名:被災地NGO恊働センター
・銀行振込
   ゆうちょ銀行 一一九支店 当座番号 NO 068556
 名義:ヒサイチNGOキョウドウセンター
*お手数ですが、備考欄に「2019年8月豪雨」と記載してください。

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