2023年7月九州北部豪雨水害支援ニュースNO 9

先日のニュースで被災されたイタリア人の方の訃報をお知らせ致しました。厳しい暑さと避難生活で体調を崩されている中でしたが、亡くなる前日にお会いした時には回復傾向にあるのではないかと思った翌日のできごとで関係者一同ショックでした。ボランティア仲間とみんなでくらし再建に向けて家財道具を補完できるスペースを確保したり、家の掃除やみなし仮設での環境改善など、一日でも早く生活再建ができるように活動を進めてきました。けれでも悲しい結果になってしまいました。

 当センターでも阪神・淡路大震災当時では、誰にも看取られずに亡くなる「孤独死」をなくそうと仮設でのイベントや見守り活動をしてきました。阪神・淡路大震災で仮設住宅での「孤独死」は233名、復興住宅ができた2000年以降の孤独死は1364名(2023年1月現在)に上っています。また、災害関連死は912名の方が犠牲になっています。その後の被災地でもこうした悲しい現実は後を絶ちません。

 災害時、普段の暮らしの中にある課題が健在化することが往々にしてあります。今回のイタリア人の方のケースでも、普段からもっと人との交流があれば避けられた事象かもしれません。言葉が通じないことによる人への不信感、日常生活が安心して暮らせる状況ではなかったのではないか?そこへ水害が発生し、そんな日常生活をも破綻してしまいました。彼は会うたび毎回「I was tired」(私は疲れた)とこぼしていました。先日救急搬送で駆けつけてくれた救急隊員の人からも、水害後に状態を悪くしている方が多くなったような感じがするというお話もお聞きました。

実際に私たちも家屋の片付けに行った先でお話を伺うと、「夜眠れなくなって安定剤を増やした」という人もいました。やはり心のケアや見守り、健康チェックなどの支援も必要だなとあらためて痛感しました。

イタリア人の彼は英語と片言の日本語で関わるごとに少しずつ心を開いてくれているような感じで、私たちの投げかけにも素直に応じてくれるようになりましたが、もっと以前から頼れる“つながり”があれば・・・。ヌケ・モレをなくすセーフティーネットが不可欠です。

ただ最後には誰にも看取られずになくなった「孤独死」をしてしまったのは事実ですが、彼は最後の最後にボランティアと関わったことで「孤立死」(家族や近隣住民との関わりが希薄で、社会から孤立した状態で誰にも看取られることなく亡くなること)ではなかったと思いたいです。それはボランティアにかかわったみんなが感じていることで、阪神・淡路大震災の時にも悔やまれた惨状です。当時、当センターの代表していた林山クリニックの梁勝則(リャン・スンチ)医師は、「孤独死の前には、“孤独な生”がある」と説いた。そのことが私たちの原点です。

 彼の冷蔵庫を掃除した時に、お豆腐とキムチが入っていて、水害前はそれを大好きな豆腐とキムチのチゲにしたり、玄米ご飯を炊いたり、パスタを作ったりしていたそうです。外国人も多い昨今、災害はどんな人にも降りかかる可能性があります。そんなときに、取りこぼされてしまいがちなマイノリティの人たちが普段から安心・安全に暮らせるセーフティーネットが、災害時にも役に立つはずです。 

新しい家族のところに迎え入れられた飼い猫だった「フーフィ」ちゃんは、先住猫に威嚇され、一度は家出をしたもののすぐに確保され、いまは安心できるお部屋をもらって家族のみなさんと暮らしているそうです。(増島 智子)

※私たちの活動は、日本財団「災害発生前後の初動期に関する支援活動」助成のご協力を頂いています

■Yahooネット募金

https://donation.yahoo.co.jp/detail/5240007

■活動支援金のご協力をお願い致します。

・クレジットカードでも寄付ができます。

https://congrant.com/project/ngokobe/605

・郵便振替

口座番号:01180-6-68556/加入者名:被災地NGO恊働センター

・銀行振込

ゆうちょ銀行 一一九支店 当座番号 NO.0068556

 名義:ヒサイチNGOキョウドウセンター

*お手数ですが、備考欄に「2023年九州北部豪雨」と記入して下さい。


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