「令和6年(2024年)能登半島地震救援ニュースNo.39

自主避難所から、自立避難所へーⅡ

 この金蔵集落には、足湯ボランティアで被災地入りしている大学生たちと訪問した。自主避難所「金蔵集会所」にお邪魔して、短時間だったが自然の尊さを学ばせて頂いた。地震の前は100余名だったが、区長の井池さんが小学生の頃、人口は500名を超えていた。この地域には4カ寺(一時は5カ寺あった)あり、山岳仏教としてこの地を守った。奥能登で最大規模の木造寺、「正願寺」もこの地にある。

 今回の地震では、金蔵で全壊した家はほとんどない。この地方の家の木には“能登ひば”の木が使われている。雪深い山で育った“ひば”を使うので、しなやかで、強い。雪の重さにも耐えられると。しかも、木を切るときには、切る前に木が立っている向きを見て、この木は家のここの柱に使うと決めてから切るそうだ。「新月に切った木は腐らない」と木こりさんから聞いたことがあるが、これも先人の知恵か。自然に逆らわない技だ。

ここでは地震後、毎朝お茶を飲みながら会議をし、お互い元気であることを確認し合っている。会議の後は、これからここに戻ってくる人たちのために、この集落を守っている人たちで在宅避難の様子を確認し、損傷の状況などもチェツクするそうだ。

 前号のレポートで「金蔵米(きんぞうまい)」のことに触れた。金蔵には大きい川がないため、米作りに不可欠な水は雨水だ。今回の地震で亀裂が入っていないかなど点検しなければならないが、雨水を溜めた池が11か所ある。

加えて、金蔵米が美味しい秘密は米が育つ気温と日中の明るさだという。ここでは3月20日が最も寒く、9月1日が最も暑い。こればかりは自然の摂理に逆らえない。  

米が育つには満月の灯りが最適らしい。日差しが強く、日が当たりすぎてもダメだと。米もしっかり寝る必要があるそうだ。満月の優しい灯りが美味しい米を育んでいる。夜は明るいと米も寝られない。人間も同じだ。これが“美味しい”所以だと区長は笑う。しかし、今年は地震で米作りができるかどうかはわからないので心配だ。

 井池区長は、「60過ぎて村のありように口を出すところは、やがて潰れる。若い人が、中心になる村は潰れない!」と断言されていた。これはどの世界でも同じことが言えるだろう。金蔵に来ると人生訓も学べそうだ。金蔵には34歳のベルギー帰りの若者がいる。大丈夫だ!加えて、女性は3時半には自宅に帰す。日没になるまでに‥‥ということだそうだ。女性を大事にしているので、この村は潰れないだろう。

 金蔵(かなくら)には、金蔵寺(こんぞうじ)があり、金蔵米(きんぞうまい)があり、昔は逆から読んで“埋蔵金(まいぞうきん)”という地酒もあったそうだ。(了)

―水津樹紀、楊颸羽(ヨウ シウ)、西受穂乃花、山村太一、村井雅清―

(*前号で、西受穂乃花さんの名前を記すのを忘れました。大変、申し訳ありません。)

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