奥能登地震2023・5被災者支援活動レポート-18

前号でも述べたように、災害に遭って高齢の父親と障害を持つ息子さんとの二人暮らしの住宅が損傷した場合の暮らし再建には課題が山積する。Mさんの場合は用意できる資金の範囲での修復のみになるので、損傷した息子さんの部屋の修復のみを優先された。でも建築士の長谷川さんが細かく住宅の中をチェツクしたところ、息子さんの部屋以外に一部屋根の損傷とトイレ周りが喫緊の課題だと指摘されました。

一方Mさんは、昨年と今年の9月末と手術をされています。後者の患部は完治していません。まだ完治するまでには時間がかかりそうです。ただ、Mさんは年齢の割には、大変元気です。私がいろいろお話を聞いているときに、お客さんが来られ、座っていたところから「スっ!」と立ち上がったので正直びっくりしました。また老人会の会長もされており、結構忙しいようですが病み上がりでもあるので心配です。

こうした83歳の父親と50歳代の障害を持つ息子さんの二人暮らしという家庭が、災害で被害を受けた場合、従来の支援制度だけでは不十分で、プラス別用の支援策がいるということが新たな課題として浮かび上がってきます。

東日本大震災(2011)以来、仙台から始まりその後熊本地震(2016)、鳥取県中部地震(2016)、西日本水害(2018)、熊本県球磨川水害(2021)などで注目されてきた「災害ケースマネジメント」という取り組みがあります。これは、災害後の住宅再建では損傷した建物の再建のみを考えていました。しかし、建物が再建されても、暮らしそのものが再建されなければ不十分です。そこで、仙台で先駆的な取り組みをされた研究者と弁護士たちが加わり、例えば寝たきりの高齢者が同居している場合には、福祉制度がプラスされなければ、元の生活に戻れないということを提言され、被災地での実践が始まったのです。  

ただ、ここで言う福祉制度というのは、平時に福祉制度としてサービスの提供をされている、例えば手すりをつけるとか、段差を解消するとかという範囲を超えていない事例が多いのです。

具体的には、前述したようなMさんのお宅の場合は、建物の修復に追加の支援金が必要となるのです。自治体によっては、これまでの災害ではバリアフリー対策を組み入れたら十数万円の支援金が加算されるというケースはあったものの、屋根の一部修復やトイレ周りの改造になると、数十万円では済まないのが現実です。全国社会福祉協議会の『ボランティア情報』(2023・8月号)の特集の中で、「4、災害ケースマネジメントの必要性」として、「現代においても、社会的脆弱性をかかえる高齢者や障害者、生活困窮者が避難所や仮設住宅に取り残される傾向があることから、福祉的支援と住宅再建をセットにした災害ケースマネジメントの実施が求められます。」と書かれています。まさに、Mさん宅のケースはこれに当てはまるのです。今後の大きな課題です。                             (顧問 村井 雅清)

*なお「奥能登地震2023」の活動は、公益社団法人Civic Forceとのパートナー協働事業として実施します。           

■活動支援金のご協力をお願い致します。
・クレジットカードでも寄付ができます。
 https://congrant.com/project/ngokobe/605

・郵便振替  
     口座番号:01180-6-68556/加入者名:被災地NGO恊働センター
・銀行振込
   ゆうちょ銀行 一一九支店 当座番号 NO.0068556 
 名義:ヒサイチNGOキョウドウセンター
*お手数ですが、備考欄に「奥能登地震2023」と記入して下さい。


投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ:

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です