先日増島が岩手に入っていた時のレポートの続きをお届けします。
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「まけないぞう」がつなぐ遠野ものがたり 6月8日
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新緑の中、紫陽花を眺めながら沿岸へ車を走らせます。でも沿岸に行くと、その光景の落差に心が折れそうになります。トラックがこれまで以上に行き交い、復興道路や防潮堤、かさ上げといったハード面の復興が進み、被災者の人たちが取り残されているよう気がします。
3月に訪ねたときには、いつ家が建てられるのかわからないと言っていた作り手さんの一人が急きょ自力再建へ向けた動きが始まり、この7月には新築へのお引越しが完了するということでした。新居ができたらそこに飾るためのタペストリーを作っておられました。
また、同じ地域で被災されて高台移転を待つ、作り手さんは来年の4月まで土盛りが終わらずそれ以降に土地の明け渡しがあり、それから家の建築がはじまるそうです。けれどそれはあくまでも予定なので、どうなるかはわかりません。「いつも行政には裏切られているからもう期待していないけどね」とため息交じりのつぶやきが聞こえてきます。
その方の旦那さんは、この3月に心筋梗塞をおこして入院されたそうです。「弱いところは見せないのよこの人は」とお友達が言いました。そんなことに気づけず、必死にがんばっていた彼女の気持ちを思うと、いたたまれない気持ちになりました。
そんな彼女がメッセージをくれました。
「あの日から4年、復興も思うように進まず、家族が思いもよらない病気をし気持ちがしずみがちなり、何もしない日がつづいた時、自分がしっかりしないとと思い、ためしにぞうさんを作って見ました。一つまたひとつそのたびに気持ちが楽になり、がんばれそうな気がしました。ほんとうに(まけないぞうさん)ありがとう。」
まけないぞうが彼女に寄り添っていてくれました。
仮設の統廃合も進みつつあり、せっかく慣れた仮設を引っ越さなければならない状況がくるかもしれないという不安があり、「私たちは仮設から仮設への引っ越しはしたくない、ここを出るときは最後にしたい」とおっしゃっていました。
土盛りは各地で進みつつありますが、小学校が取り壊され、津波でも大丈夫だった家々が移転を余儀なくされ、山の木々が伐採され、巨大コンクリートで街を囲み、これがみなさんが望んだ街並みなのかと思うと、複雑な気持ちになります。
造成作業中に遺跡がみつかり、造成が遅れているようです。