「平成30年7月豪雨」災害レポート―NO27

避難所生活が長引くなか、足湯以外にもマッサージの方や美容院のカット、コーヒーサービス、大道芸などのたくさんのボランティアも来てくれています。
美容師さんたちは広島市内に関わらず北部や西部など遠方からも来てくれました。「広島県美容業生活衛生同業組合」の方たちが来てくれました。美容師さんも避難所でのカットは初めての方もいらっしゃったのですが、「とてもやり甲斐を感じた」という声を頂きました。

髪の毛のカットは、大好評でした。水害から1ヶ月が過ぎ、みなさん伸びてきた髪が気になり始めていました。「いつも通っていた美容室が水害に遭ってお店を閉めてしまったの、だから助かるわ~」、「この子は、月に一度髪を切りに行っていたので、よかったです。」「シャワーもできるの??気持ちいい~」「一番にしてもらおうと思って待ってたんだよ」とみなさんとても喜んでくれました。

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それにしても、被災者の方の笑顔が印象的でした。
「あ~さっぱりしたぁぁ。」「ずっと気になっていたから、よかった」などの言葉とともに、顔が明るくなり、キラキラと輝くように笑顔があふれました。当たり前の生活が失われ、これまでできていたことができなくなるなかで、その当たり前のことができた瞬間の笑顔はとても素敵でした。

避難所では、少しずつ新しい住まいに引っ越す人が出てきて、残された人は不安になっている人もいます。でも、新しい住まいからまた避難所に遊びに来る人もいます。「息子がね、Aさんに会いたがって、家にいても退屈で、Aさんは亡くなったおばあさんに似ていて、おばあさんっ子だったからね」と、Aさんにくっついて離れません。みなさん不自由な中にも、普段の生活とは変わらないような人間関係がそこにあります。
みなさん「水害前は全然知らなかったし、挨拶する程度だったけれど、避難所に来て仲良くなった人たちと、離れるのは淋しい」と話す人もいます。小さなコミュニティが出来上がっています。せっかくできたコミュニティが維持できれば被災者の方の負担も減るはずなのですが・・・。

これから、また新しい環境で生活が始まります。同時に自宅で避難生活を続けながら、土砂の撤去や家の片付けをしている方もいます。今後とも被災地に関心を寄せてください。どうぞよろしくお願いします。
(増島智子)

「平成30年7月豪雨」災害レポート―NO26

神戸からの高校生限定ボランティア・バスのリベンジ版が50人になりましたので、公募は締め切ります。高校生パワーは凄いですね!先生もお手伝いをして実現しましたが、そもそもは高校生独自の発意で生まれたものです。こういう次世代を担う若者を支援し続けたいものです。
お盆明けから広島に入って活動をしいている増島からレポートが送られてきましたので以下に紹介します。                     (村井雅清)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
まもなく2ヶ月近くが経とうとしている広島の被災地では、まるで砂漠のような光景だった被災地もだんだんと道路が見えはじめ、家屋の土砂の搬出も進んできています。
一軒のお宅の土砂撤去を行いました。ボランティアのみなさんと一緒に荷物を出す人、泥をかき出す人、自然にその現場で調和がとれて、あっという間にきれいになっていきます。被災者の方も、「いままでぼちぼち一人で土砂出しをしていたのが、みんなに手伝ってもらったら、あっという間に終わって、助かる。今日一日でこんなで進むとは・・・」と、喜んでおられました。大量の土砂を前に立ちすくむ被災者にとって、ボランティアの人たちの力は大きな支えとなります。

避難所では、足湯をしながら被災者のつぶやきに耳を傾けています。「あの時は、土砂に使って数時間も過ごしたのよ」、「ロープを使って助けられたのよ」、「死んでも地獄、生きても地獄は俺のためにある言葉だ」、「生きるのもしんどいよ」など悲痛な言葉が聞こえてきます。
「生活が変わったこともあって、体重が3㎏も増えてしまったの」(70代女性)
「体育館で寝ているけれど、足音や室外機の音が水害で家にいた時、山から流れてくる石の音や水の音に聞こえてなかなか眠れないのよ」(60代女性)
「災害があった時に、隣の家の壁が崩れて、それで土砂の入ってくる量が少なくて助かった。戦争以来の怖い思いをした。」(92歳男性)
など、不安な胸の内をはなしてくれています。

避難所も徐々にではありますが、新しい住まいへの移行が始まっています。土砂がなくなり始め、次のステップに向けてのあらたな不安も出てきています。
「仮設ってどんなところ」
「せっかく避難所で仲良くなったのに、新しい住宅では一人だから淋しい」
「いつまで避難所におかしてもらえるのかな?家はまだなおってないし」

他にも避難所ではなく、2階で生活をしている在宅の方もおられます。もちろん家の修理は済んでいないので、トイレやお風呂、食事などはできず不便な生活を強いられています。
被災地はまだまだ、みなさんのご支援を必要としています。今後とも長い目で被災地を応援してください。
(増島智子)

 

「平成30年7月豪雨」災害レポート―NO25

台風19号、20号のW台風で、特に西日本の水害被害者のみなさんは大変不安な思いをされたことと思います。他方、7年前にも被害に遭った和歌山県熊野川の氾濫による被害も出ています。ただ今回の台風災害については、“雨降って地固まる”といいましょうか、「大阪北部地震」の経験、そして「平成30年7月豪雨」での経験が教訓となったところもあり、避難も早く、また自治体やマスコミも「明るいうちの避難や点検」を再三再四呼びかけていたようです。またそれに呼応するかのように、JRはじめ交通機関の対応、百貨店や飲食店なども前倒しで早い目に閉店も目立ちました。日本人は働きすぎとよく言われるが、こういう時には思い切って休み、結果的に何もなければ、「何もなかってよかった!」という習慣をつける必要があるように思います。とにかくいのちを守るには、早く避難するしかないとも言えます。
しかし、一方で残念ながら浸水被害にあったり、土砂災害にあったりした地域もあるようなので、これを機会に誰もが真剣に災害そして減災と向き合うということを実践しなければならないでしょう。

さて、そろそろ夏休みも終わりになろうかとしています。下記に示すように高校生ボランティアは24日に倉敷市真備町へのボランティアを企画していましたが、残念ながら台風20号の影響で中止になりました。しかし、ラッキーなことに高校生にとって夏休み最後の日が8月31日で金曜日ということから、リベンジとして31日にボランティア・バスを走らせることになりました。また下記のように、島根―広島便(19日)、山口―広島便(21日)は無事に終了し、大分県日田市の「ひちくボランティアセンター」―宇和島便は9月1日にボランティア・バスを出します。こうして公益社団法人Civic Forceさんはじめみなさまのご支援のおかげで、砂漠に1滴の水にしかならないかも知れませんがコツコツと被災地にボランティアを派遣しています。残念ながらもう被災地では、ボランティアセンターを閉所するというところも出てきましたが、まだまだボランティアを必要としています。従って被災地から「もういいよ!」と言われるまで、要望があればボランティア・バスを出し続けます。最低20人を集めて頂ければ、バスは出せますので是非手を上げてください。バス代はこちらで負担致します。必要であれば引率者も手配いたします。ご遠慮なく村井までご一報下さい。(村井:090-3160-3816)

■ボランティア・バス今後の予定
①KOBE高校生豪雨災害ボランティア・リベンジ編(参加者は高校生に限定)
募集中!!(高校生に限ります。)
日時:2018年8月31日(金)6時30~19:00頃
集合・解散場所 JR住吉駅南2号線沿い(東灘区民センターうはらホールすぐ南側付近)活動場所 岡山県倉敷市真備町
*いづれも問い合わせは被災地NGO恊働センター村井まで(090-3160-3816)

②募集中(募集締め切りは出発日前日の正午まで)
日時:9月1日(土) 大分県日田市―愛媛県宇和島(途中フェリー移動)
*主催 ひちくボランティアセンター
*受付 090-8884-3570 河井まで。

□すでに終了したボランティア・バス
①日時:8月5日(日) 神戸―倉敷市真備町便(終了)
②日時:8月10日(金)    上に同じ  (終了)
③日時:8月22日(水) 山口県―広島県呉市(終了)
(村井雅清)

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「平成30年7月豪雨」災害レポート―NO24

大阪北部地震発生から2ヶ月が過ぎたが、なんと住宅被害が発災直後の10倍以上の4万4000棟の被害に増大しており、益々暮らしの再建が遠のいている。このレポートで何度も触れてきたが、特に一部損壊の被災家屋については被災自治体独自の支援しかないので、応急修理をして住むにも厳しい家庭があるのが現状だ。政府は是非、もう少し被災者の再建を後押しするような支援メニューを是非提示して欲しい。

さて、「平成30年7月豪雨災害」に遭った「広島土砂災害」は、4年前に77名の尊いいのちを喪って4年になる。当然だが、被災者にとっては何年経っても忘れられないだろう。
しかし、皮肉にも再び広島県内はじめ西日本などには平成最悪と言われる水害が覆い被さった。しかも、亡くなった方々の約50%が救えたいのちではないかという結果が出た。
こうした実態を受けて広島県は被災者から聞き取りをし、「豪雨避難遅れ心理調査」を実施するようだ。この調査に踏み切ったもう一つの理由は、「土砂災害による死者の半数近くが被害の想定されていた「土砂災害警戒区域」で亡くなった」(毎日新聞、2018・8・20)ケースが少なくないからだ。同県は、「どのような方法なら危機感を持って避難してもらえるのか、行動心理学の分野から今回の災害対応を検証していきたい」と。(同紙)
専門家の意見のみならず地域の取り組みで、グッドプラクティスといえる事例も少なくないだろう。同県でも4年前の経験を生かして、今回迅速に避難し犠牲者を出していない地域もある。隣の岡山県倉敷市の自治会でも、消防団が活躍して迅速に非難させたという事例も聞こえてくる。政府のある担当者も「どうしたら逃げてくれるんだろうか?」と天を仰いでいる職員もいる。

敢えて提案したい。発想の転換が必要ではないか?特に要援護者の援助に関しては、政府も2005年から「一人ひとりの救援プランを!」というかけ声で全国的に取り組んできた筈だ。しかし効果が芳しくないことを今回露呈した。広島県が今回実施しようとしている「被災者の聞き取り」の結果を待たなければならないが、ある意味そこに暮らしている住民の一人ひとりの声に耳を傾けるのは行政の姿勢としては基本でもある筈だ。是非、丁寧な聞き取りをして頂きたいと願うばかりだ。
ところで、同県は災害対策本部を廃止し、「災害復旧・復興本部に移行する」と。行政としては、当然の経緯かも知れない。しかし、被災者に暮らし再建には一人ひとり事情が違う。
くれぐれも丁寧に寄り添って欲しい。「復興」というメーセージを発すれば発するほど重荷になる被災者もおられることを忘れないで欲しい。
(村井雅清)

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「平成30年7月豪雨」災害レポート―NO23

日航ジャンボ機墜落事故から33年、多くの遺族の方々が「御巣鷹の尾根」に慰霊に訪れ、さまざまな祈り、言葉、あるいは複雑な想いをもって、亡くなられた方々の供養をされた。

一方「平成30年7月豪雨」災害で、初盆として亡くなられた方々の供養をしたいのは山々だけれど、仏壇も何もかもが流され、お盆を過すこともできないという複雑な被災者も・・・・。岡山県倉敷市真備町のあるお寺は、檀家さん400軒のうち300軒が被害を受けているため、檀家さんへの配慮から供養を中止したという。
お盆だけはゆっくりと休んで頂きたいという思いで、各地のボランティア・センターは休んでおられるところも殆どのようだ。ボランティアの心配りではと拍手を送りたい。
そんな中でも、お墓の掃除や泥出しを淡々としておられた姿が目に焼きつけられた。

お盆が明けたら、またボランティアの作業が始まる。お盆が明けたら少しは気温が下がることを期待したい。仮設住宅(みなし仮設を含めて)の入居受け付けも始まったようだ。
被災者にとっては、将来に道筋についてはじっくりと「あ~でもない、こ~でもない」と考えたい方々も少なくないだろう。是非、ボランティアは被災者の想いにも寄り添って欲しいと願う。
(村井雅清)

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「平成30年7月豪雨」災害レポート―NO22

前号で、「住民が一斉避難という表現にハッ!とさせられた。」と書いた。要は、阪神・淡路大震災以後、災害時の要援護者をどのように助けるのか?という一点で考えてきた。それは最優先配慮者が誰なのかということからだった。だから一斉避難という視点はなかった。

さて「ボランティアが足りない!」と繰り返してきた。この対策について、同じように
「ハッ!」とさせるような大胆な発想が必要ではないかと思う。災害後のボランティアについてのことなので、どうしても経験豊富なボランティアが、最近ではプロ的なボランティアが、リーダー的に振る舞い、“若葉マーク”のボランティアをお世話すれば効率よくボランティアが活動できると思いがちだけど、果たしてそうだろうか?と疑問を持つ。
というのは、23年前の阪神・淡路大震災では1年間で137万人というボランティアが国内外から被災地に集まった。その内、なんと若葉マークすなわちボランティアなんてしたことがないという人たちが、6割~7割もいた。評論家の故加藤周一さんは「ボランティアの意義といえば、“多様性”につきる」と評価された。つまり、十人十色の人間としてボランティアが活躍する意義はそこにあると言っても過言ではないだろう。
いや、むしろ支援の対象になる被災者も多彩であることを踏まえると、単純には数字合わせができるものではないが、例えば被災者が100人いても、漏れなく、落ちこぼしなく対応しようとすると100人でも足りないということになる。だからこそ、最低でも考え方も感性も違う多様なボランティアが必要になる。というのが筆者の考え方である。

つい、ともすれば災害後の支援の話なので、いかに組織的に、また効率的に動くことが必須だと考えがちだが、以外に未経験、未組織の人たちが活躍するものだと阪神・淡路大震災では教えられたのだ。こうした過去の実績を踏まえると、今回のような広域大災害の場合はとにかく現場に駆けつけ、できることをやって引き上げるという手法が最も現実的で、かつ結果的には効率もよくなるということだ。

以下の事例は、今回の水害で広島のある地域で被災者同士が工夫して支えあっている風景なのだが紹介したい。ここの被災者たちは紛れもなく初心者ボランティアだ。こうして被災者自身が築くコミュニティの場に、支援に入るボランティアがどのようなお手伝いができるのかも、これからの課題であるような気がする。
「呉のある地域では断水になり、住民が自ら洗濯機を購入し、被災地に設置し被災者のみなさんが洗濯場に集まり、その場が井戸端会議の場となり、結果コミュニティづくりのきっかけを提供したおばあちゃんがいたり、民生委員の女性が地元の福祉施設に掛け合い、お風呂などの提供を持ちかけたり、避難所で炊き出しを提供した人もいます。」
このように災害時のボランティアのあり方も、大胆な発想の転換があってもいいのではないかと関係者に再考を促したい。

さて、何度もこのレポートでお伝えしている被災地へのボランティア・バス派遣だが、山口県、島根県からは以下のように決定したので、該当する人たちがいたら各々の連絡先に申し込んで欲しい。

■日時:平成30年8月19日(日)出雲市総合ボランティアセンター集合
午前6時出発(集合5時40分)、午後7時帰着(運行:フラワー観光)
活動場所:広島県坂町小屋浦地区 、定員:20名(先着順)
※詳細は、〒693-0002 島根県出雲市今市町北本町3-1-2
出雲市総合ボランティアセンター  岸 幹人
電話:0853-21-5801 ファックス:0853-21-1831
メール:volunteer@local.city.izumo.shimane.jp

■日時:8月22日(水)玖珂インターパーキング集合
午前5時出発(集合4時30分) 7時30分着(運行:岩国観光)
活動場所:呉市  定員 20名(先着順)
※詳細は、災害復興支援団体 山口災害救援 事務局
杉本邦夫 080-1932-2934 FAX 0827-84-3457
E-mail  1192tukuroujapan@kpd.biglobe.ne.jp

■なお神戸発のボランティア・バスは、8月10日に第2便を実施しますが、残念ながらもう早々と定数に達したので募集は締め切った。
(村井雅清)

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「平成30年7月豪雨」災害レポート―NO21

昨日8月7日、新聞各紙は政府の中央防災会議が、南海トラフ大災害の可能性が高まっていると判断した場合、「政府の呼びかけで住民が一斉避難する仕組みを導入する」ことを発表した。詳しい内容がわからないので、懸念されることも予測されるため軽率にコメントできないが、“住民が一斉避難”という表現に「ハッ!」とさせられた。
というのは、本レポート19号で「救えたいのち」について触れた。2005年頃から災害時要援護者についてかなりの議論が積み重ねられた。以後の災害でも、残念ながら犠牲者は後を絶たないまま2011年東日本大災害を迎え、亡くなった障害者の数が一般の人たちの2倍近くになっていることが明らかになった。阪神・淡路大震災でも同様の数字が出ている。16年間何も変わっていないことを露呈した。こうした現実と向き合い、政府は2013年災害対策基本法を改正し、災害時要援護者の名簿作成を義務づけた。

にもかかわらず今回の豪雨災害では、また多くの犠牲者を出した。しかも救助対象者のリストをつくっていたにもかかわらずだ。しかし、「ハッ!」としたと前述したのはこのことだ。この責任は誰にあるわけではない。換言すれば、誰にでもあるといえる。
だから、「一斉に逃げる!」ということも視野に入れなければならないということに気づいた。これまでは、「災害時要援護者」という言葉に左右されていた。しかし、特に今回のような大災害の場合、災害直後の救急救命期は誰もが要援護者だということだ。しかし、その中でも「避難行動が難しい人」など要配慮者には特により手厚い支援が必要だということになる。平時から、まずはみんなで逃げるということを意識し、その上で要配慮者支援についても考えておくことが急がれるということでないか?

2005年のパキスタン地震のときに被災地の女性グループとの意見交換の場で、女性のリーダーが「私たちは時には弱者となるが、一方で男性よりも強いのだ!だから私たち女性は一人で4~5人の子どもを抱えて逃げることができる!」と言われた。「なるほど、だから女性を最優先で救うことを考えなければならないのか」と気づかされた。また、障害者に寄り添って40年、故大賀重太郎は、24時間寝たきりの方の介護をしていて「この人は体は動かないけど、人の生き方について指南してくれる人なのだ」とあるマスコミの社説で紹介された。つまり、「あなたを喪ってはならないから、最優先で助けるのだ!」というメッセージでもあったことを教えられた。
災害時の要援護というときに、一面的な視点で捉えていたことが“落とし穴”だったかも知れない。あらためて今回の豪雨災害で明らかになった要援護者援助の課題について、しっかりと見直さなければならないことだけは間違いない。
(村井雅清)

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「平成30年7月豪雨」災害レポート―NO20

増島智子の現地レポートを紹介します。以前のレポートで、“思い出守り隊”が作業する大切な思い出の詰まった写真の洗浄ボランティア、保育ボランティア、学習サポートボランティアなどなど、ボランティアが不足する中で、こうした「痒いところに手が届くようなボランティアも求められます。今日の現地レポートは“宝もの探したい”の話ですが、阪神・淡路大震災でも、倒壊した家屋の中から大切なものを探し出すボランティアが活躍していました。多彩なボランティア活動が被災者に寄り添うことで、被災者が笑顔を取り戻したり、
暮らし再建の心の第一歩を踏み出したりされます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この間、避難所では足湯をしたり、家屋の土砂出しをして来ました。神戸で一緒に活動した仲間が久しぶりに東京と香川から駆けつけてくれました!
家屋の泥出しでは、大量の土砂を前にスコップを持つ手も力強く、台所スペースがすっきりしてきました。そして、お位牌がありそうなスペースにも捜索の手が伸びてきます。持ち主のお母さんも、「もう無理よね。でもここにあるかもしれない」と気持ちが揺れますが、土嚢袋を広げたり、時には鍬をもってお手伝いしてくれます。みんなでお位牌を探します。お陰で、次々と泥がなくなり、お母さんも「こんな風になるとリフォームできるかもしれないね~」と思わず笑みがこぼれます。長年住み慣れた家を急に失うということのつらさを感じます。夢なら覚めてほしいと・・・。

翌日には、埋まったタンスを壊しながら、中の洋服を救出しました。土砂をよけ、荷物を出しての繰り返しです。昔のタンスは、以外に丈夫なのでびっくりしました。こうしてボランティアさんの地味な活動がつながって、少しずつ大切な品や思い出を救出しています。果てしない土砂との戦いですが、確実に進んではいます。
そして、やっとみなし仮設のアパートへの転居が決まり、少しで引っ越しのお手伝いをさせて頂きました。冷蔵庫や布団、電子レンジなどここからまたあらたな生活が始まります。

被災者のみなさんは一部新居が決まり、安堵の表情を浮かべますが、新しい生活への不安と被害に遭った住宅をどうするか心が揺れています。
復旧作業しながら、新しい家の準備などまだまだ心は休まりません。ボランティアの手も全く足りておらず、手つかずの家屋もあります。被災者の皆さんはこの酷暑の中を汗だくでフラフラしながらひとカキひとカキ土砂をすくい、家の外に排出しています。
もっともっとボランティアに来てください。どうぞよろしくお願いします。
(増島 智子、2018年8月3日)

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「平成30年7月豪雨」災害レポート―NO19

「平成30年7月豪雨」災害から、ようやく1ヶ月が過ぎた。「被災地での死者は、岡山、広島、愛媛3県を中心に15府県で225人に上り、平成最悪の豪雨災害となった。」「死者が113人と最多の広島・・・」(神戸新聞、2018・8・6)と、広島は4年前の大規模土砂災害の人的被害をはるかに超えてしまった。災害から1ヶ月にあたっていろいろな検証報道を見ると、そのほとんどが“救えたいのち”と言えるだけに悔しい。そして未だに「3日現在で11府県約2万3000人への避難指示が続き、約3600人が避難所に身を寄せる。」(毎日新聞、2018・8・6)

一方、ボランティアはこの猛暑の中、懸命の作業に従事している。しかし、5日神戸で開かれた兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科での報告会では、「ボランティア不足が課題」と浮き彫りになった。同8月6日付朝日新聞新聞では、「ボランティア不足深刻、被害広範囲・活動内容が制限」という見出しの記事が目に止まる。
被災者(地)にとって深刻な課題であろう。その上で敢えて考えなければならないことは、根本的な問題が何かを掘り下げなければならない筈だ。それは、阪神・淡路大震災後、「ボランティア元年」と称賛され、通称NPO法が成立し、いわゆる「新しい公共」の幕開けとなり、以来23年間全国各地で「災害ボランティアコーディネーター養成講座」など再々開かれ、災害時のボランティアの有効性が説かれてきたにも拘わらずだ?

来る南海トラフ大災害や首都直下地震に対する備えが叫ばれている中、この状態では「ボランティア元年」が築いたボランティア文化が綻びたと言われてもやむを得ない。
忸怩たる思いで、昨日も神戸からボランティア・バス2台を派遣した。まさに“砂漠に1滴の水”に過ぎないかも知れないが、参加されたボランティアは猛暑の中、もくもくと活動し被災地をあとにして帰神された。下は18歳から、上は78歳まで約40人。ほんとに頭が下がる。
次は8月10日(金)に再度ボランティア・バスを派遣する。まだ空席があるので是非申し込んでください。→詳細は、078-574-0701 被災地NGO恊働センターまで。                            (村井雅清)

以下長くなりますが、現地広島市小屋浦地区に入っている頼政代表からのレポートを
紹介します。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

8月3日は小屋浦地区にある「たかね荘」という特養に向かいました。ここは避難所には指定されていませんでしたが、現在は避難者20名ほどを受け入れています。
この避難所では、まだダンボールベットがうまく導入されていませんでしたので、兵庫県立大学のメンバーと共に設置をすることになりました。

はじめは、「私は布団だけの方が都合がいいんよ」と遠慮していた方もいましたが、
兵庫県立大のメンバーが話をしていると、「じゃあ作ってみてもらおうかな」とダンボールベットを使ってみてくださいました。

避難所の中では、「周りに迷惑をかけるから」「狭くなるとみんなが困るのでは」
という遠慮から様々な支援を遠慮される人が多くいます。

しかし、少し話を聞いてみると被災者の方の気持ちが少しずつ滲み出てくるように思います。
町営住宅への引っ越しのお手伝いをした方は、「ひとまず半年は家賃が無料じゃけえ、その間に先が見えるように頑張るわ」また、別の方は、「やっと家が決まって一安心。ボランティアの方が手伝ってくれて地域の方もよくしてくれるので、少しずつ前向きになってきたよ」というお話をしてくれました。

災害発生から1ヶ月が過ぎた今、みなさん、少しずつ次の生活へと移るステップを踏んでいる中でなんとか前向きに進んでいこうとしている様子が見受けられました。
まだまだ先が見えない不安があるのですが、こうした被災者の方々の後押しをできるように支援を続けていきたいと思います。
(頼政良太)

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「平成30年7月豪雨」災害レポート―NO18

「平成30年7月豪雨」災害発生から1ヶ月を前にして、政府、地方自治体、民間企業、地域コミュニティなど各々の課題が浮き彫りになってきた。気候変動により、つい「異常気象」と言いたくなるほどの気象災害が次々と発生している現実と向き合うならば、あらためておのおのがしっかりした検証が不可欠だと言える。
一方、大阪北部地震後、一貫して大阪に踏ん張ってボランティア活動を展開している人たちがいることを忘れてはなるまい。中でも、壊れた瓦屋根のためにブルーシート張り講習会を続けている。この技術は、もちろん今回の同地震の被災者に喜ばれていることは言うまでもないが、きっと今後の地震災害には役立つことは間違いないと思われるので、大阪はじめ近隣の人たちは是非この研修を受けて欲しいと願う。
(*問い合わせは、070-3149-9333:茨木ベース代表電話)

また、豪雨災害による西日本の被災地では、相変わらずボランティアが不足し、もう1ヶ月になるにもかかわらず、コツコツと被災者自身が片づけをされている姿も少なくないようだ。夏休みに入って各地のボランティアチームが動き始めているようだが、残念ながらまだまだ本格的とは言えない。そうした現実を前にして、当被災地NGO恊働センターは以下のように神戸からボランティア・バスを走らせる。ご協力をお願い致します。
①日時:8月5日(日)JR神戸駅南口集合
午前7時出発(集合6時40分 活動場所:倉敷市真備町
(定員になり応募は締め切りました。)
②日時:8月10日(金)JR神戸駅南口集合
午前7時出発(集合6時40分) JR神戸駅前午後6時半頃着(運行:名鉄観光)
活動場所:倉敷市真備町 定員 15名(先着順)
③KOBE高校生豪雨災害ボランティア(参加者は高校生に限定)
日時:2018年8月24日(金)6:50~19:00頃
集合・解散場所 JR住吉駅南2号線沿い(東灘区民センターうはらホールすぐ南側付近)活動場所 岡山県倉敷市真備町
*いづれも問い合わせは被災地NGO恊働センター村井まで(090-3160-3816)

今後お盆明けから、随時ボランティア・バスを走らせるつもりですので、神戸のみならず周辺の主要駅から「ボランティア・バスを出すなら、私は引率できますよ!」という方がおられましたら是非申し出て下さい。一人の引率者が手を挙げて下されば、最低20人のボランティアを被災地に派遣することができます。是非ご協力をお願い致します。
(村井雅清)

★災害救援金を募集しています。
ゆうちょ銀行一一九(イチイチキュウ)店 当座0068556、郵便振替:01180-6-68556
口座名義:被災地NGO恊働センター
*「201807豪雨」と明記下さい
★クレジット寄付のページ
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