「平成30年7月豪雨」災害レポート―NO30

広島で活動してきた柚原さんのレポート3回目を紹介します。なお、柚原さんは今日から1週間ほど、また広島県坂町を中心にサポートに行きます。

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一緒にボランティア活動をさせて頂いた地元の方とお話する機会があったのですが、「被害が起きたすぐから今まで毎日ボランティア活動をしとる」という建築業でお仕事をされているお兄さんがいたり、「広島県出身で自分の家は被害にあわんかったけど、でも何か手伝いが、と思ったけ〜」と駆けつけてこられた方など、多くの方々が早く元の生活に戻れるようにと願っている姿を目の当たりにしました。

さて、たまたまシャワーを浴びに仮設のお風呂に入りに来られたおばさんとお話していたときに、「うちには1回ボランティアさんが入ってくれたけれど、まだ片付けが終わっていないけ〜、手伝って欲しいんよ。外に出してある布団と、家の中のプラスティック製の引き出し型ケースの場所を移動したいんよ」。翌日ご自宅へ行かせて頂くと、1か月半が経つのに、そのケースには泥水が入ったままの状態でした。「それが終わったら、この本棚にある大きい百科事典を出して欲しいけ〜」「その次は、、その次は、、、」と。まだまだ片付けが終わらない中の焦りと、週末に親戚の方が手伝いに来てくださるとは言うものの、ご夫婦で毎日こつこつやられていてもなかなか終わらず、ボランティアも順番待ちでなかなか来ない現実があること、奥さんは「今日は朝からめまいが少しするのよね。熱くないのに汗もでるし。」と話される。「えっ、これって熱中症の症状じぁない?!」と心配しつつ、なんとかできないのかという思いと今できることをすることしかないのかなという気持ちで胸がいっぱいになりました。                        (柚原里香)

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「平成30年7月豪雨」災害レポート―NO29

前号に続いて柚原里香さんのレポートを紹介します。今号は呉市天応地区での活動です。

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天応地区の中でも被害が大きいところへ行かせて頂いたときには、耳と目が不自由なおじいちゃんが、毎日避難所から道がないようなでこぼこの道を坂の上のご自宅まで登り、ボランティアさんが来てくださるからと、ふらふらになり、汗で服がびしょびしょになりながら泥だしをされていました。ボランティアさんが入っていたのですが、いつ終わるか分からないくらいの状況だったので、私たちも泥だしを手伝わせて頂きました。私も少しでも土砂を取り除きたいと無我夢中で泥かきをしてしまい、周りが見えなくなってしまい一緒に活動したボランティアさんのペースをも崩してしまいました。現地はとってもとってもひどい状況ですが、なんとかしたいという思いが強すぎても、毎日毎日泥かきをされているおじいさんを反対に疲れさせてしまっていること、被災された方のペースに合わせること、被災された方の気持ちになって考えることが大事だということを身をもって感じました。

あるご自宅で、家にある家財道具を出す作業のお手伝いをさせて頂きました。タンスやピアノなど泥に浸かったものを業者さんにもって行ってもらうように、家の中から外へ出す作業のお手伝いや、引き出しに入っているものを残しておくかどうするかの分けるお手伝いなどです。「水に浸かっているからもういらないわ。」と言われるお母さんの言葉を聞きながら、今のこの状態だったらいらないかもしれないけれど、その後少し落ち着いたときにはと考えてしまい迷ってしまったり、大切なものが泥だらけになったり、水に浸かってしまっているものを見ながら、辛いだろうなと思ってしまったり、一緒に作業をする中で、とっても複雑な気持ちになりました。             (柚原 里香)

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「平成30年7月豪雨」災害レポート―NO28

「平成30年7月豪雨」災害が発生してから、まもなく2ヶ月が過ぎる。嬉しいニュースで、愛媛県宇和島市の仮設住宅への入居が始まった。いわゆる新たな生活への第1歩を踏み出した。もう一つ嬉しいニュースがある。広島県江田島市では、市独自の支援策として床下浸水の被災者にも5万円の義援金を分配するという、これまでにはなかった自治体独自の支援も動き出したのだ。一方で、多くの被災者は今後の見通しが立たず不安のるつぼの中で日々暮らしているが、こうした話題が元気になるきっかけになって欲しいと願う。ともすれば逆効果で「取り残され感」に覆われ、より精神的に落ち込んでしまう方もおられるのが現実だが、だからこそこのような事例に見習って、他の自治体も積極的、かつ大胆な支援策を発表して欲しい。
さて、被災地はまだまだボランティアの手が足りないようだ。発災以来、当NGOは広島に拠点をおき活動を続けているが、その現場に先日来応援に行ったボランティアさんがレポートを送ってくれたので数回に分けて紹介したい。

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私は、8月18日(土)〜8月27日(火)までの約1週間、被災地NGO恊働センターさんが活動されている、主に広島県の坂町小屋浦地区や呉市でのボランティア活動に参加させて頂きました。
久しぶりに降り立った被災地は、暑いなか〝どぶ″のような匂いというか、なんとも言えない独特の匂いがまだ立ち込めていました。暑さは7月よりも少しは軽減されたかもしれませんが、日中活動をするとまだまだ大粒の汗がでてきます。そんな被災地ですが、被害が起きてから約1か月半が過ぎ、現場の風景はだいぶ変わっているように見えました。道路はアスファルトが見え、川が見え、車が通れるところも増えてきています。毎日毎日泥だしなどの活動をされて、少しずつではあるけれども今まで見えていた風景を取り戻しつつあるようです。聞くところによると、直後は1階が全部土砂で埋まっており、1階の屋根のあたりを歩いているような状況だったということから想像すると、「人間の力ってすごいな!」と思いました。

しかし、被害にあわれたお宅へ一歩足を踏み入れると、家財道具は泥まみれで、手つかずのところがまだまだたくさんあり、家の中の泥かき、床下の泥だしなど進んでないところもありました。実際に泥だしのお手伝いをさせていただきました。家の泥だしといっても、土嚢袋に土砂を入れるだけの作業だけではありません。大きい岩のような石が我がもの顔で居座っていたり、なんでこうなっているのか理解ができないように、流木が家の中まで入ってきているのを、バールを使ったりしながら取り出したり、埋もれたタンスの周りの土砂を取り除き、中に入っているまだ着れそうな服を取りだしたりもしました。そして、あるお宅では、お位牌が中に埋まってしまったからと、少しずつ掘り出して、心の中で「どうか出てきますように。」と何度も願いながらの泥だしだったりしました。「こんなものを、と笑われるかも知れませんが、私にとっては宝物のようなものなのです。」と笑いながら言われた言葉が、私の頭から離れなかったひとときでした。-続-
(柚原里香)

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「平成30年7月豪雨」災害レポート―NO27

避難所生活が長引くなか、足湯以外にもマッサージの方や美容院のカット、コーヒーサービス、大道芸などのたくさんのボランティアも来てくれています。
美容師さんたちは広島市内に関わらず北部や西部など遠方からも来てくれました。「広島県美容業生活衛生同業組合」の方たちが来てくれました。美容師さんも避難所でのカットは初めての方もいらっしゃったのですが、「とてもやり甲斐を感じた」という声を頂きました。

髪の毛のカットは、大好評でした。水害から1ヶ月が過ぎ、みなさん伸びてきた髪が気になり始めていました。「いつも通っていた美容室が水害に遭ってお店を閉めてしまったの、だから助かるわ~」、「この子は、月に一度髪を切りに行っていたので、よかったです。」「シャワーもできるの??気持ちいい~」「一番にしてもらおうと思って待ってたんだよ」とみなさんとても喜んでくれました。

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それにしても、被災者の方の笑顔が印象的でした。
「あ~さっぱりしたぁぁ。」「ずっと気になっていたから、よかった」などの言葉とともに、顔が明るくなり、キラキラと輝くように笑顔があふれました。当たり前の生活が失われ、これまでできていたことができなくなるなかで、その当たり前のことができた瞬間の笑顔はとても素敵でした。

避難所では、少しずつ新しい住まいに引っ越す人が出てきて、残された人は不安になっている人もいます。でも、新しい住まいからまた避難所に遊びに来る人もいます。「息子がね、Aさんに会いたがって、家にいても退屈で、Aさんは亡くなったおばあさんに似ていて、おばあさんっ子だったからね」と、Aさんにくっついて離れません。みなさん不自由な中にも、普段の生活とは変わらないような人間関係がそこにあります。
みなさん「水害前は全然知らなかったし、挨拶する程度だったけれど、避難所に来て仲良くなった人たちと、離れるのは淋しい」と話す人もいます。小さなコミュニティが出来上がっています。せっかくできたコミュニティが維持できれば被災者の方の負担も減るはずなのですが・・・。

これから、また新しい環境で生活が始まります。同時に自宅で避難生活を続けながら、土砂の撤去や家の片付けをしている方もいます。今後とも被災地に関心を寄せてください。どうぞよろしくお願いします。
(増島智子)

「平成30年7月豪雨」災害レポート―NO26

神戸からの高校生限定ボランティア・バスのリベンジ版が50人になりましたので、公募は締め切ります。高校生パワーは凄いですね!先生もお手伝いをして実現しましたが、そもそもは高校生独自の発意で生まれたものです。こういう次世代を担う若者を支援し続けたいものです。
お盆明けから広島に入って活動をしいている増島からレポートが送られてきましたので以下に紹介します。                     (村井雅清)

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まもなく2ヶ月近くが経とうとしている広島の被災地では、まるで砂漠のような光景だった被災地もだんだんと道路が見えはじめ、家屋の土砂の搬出も進んできています。
一軒のお宅の土砂撤去を行いました。ボランティアのみなさんと一緒に荷物を出す人、泥をかき出す人、自然にその現場で調和がとれて、あっという間にきれいになっていきます。被災者の方も、「いままでぼちぼち一人で土砂出しをしていたのが、みんなに手伝ってもらったら、あっという間に終わって、助かる。今日一日でこんなで進むとは・・・」と、喜んでおられました。大量の土砂を前に立ちすくむ被災者にとって、ボランティアの人たちの力は大きな支えとなります。

避難所では、足湯をしながら被災者のつぶやきに耳を傾けています。「あの時は、土砂に使って数時間も過ごしたのよ」、「ロープを使って助けられたのよ」、「死んでも地獄、生きても地獄は俺のためにある言葉だ」、「生きるのもしんどいよ」など悲痛な言葉が聞こえてきます。
「生活が変わったこともあって、体重が3㎏も増えてしまったの」(70代女性)
「体育館で寝ているけれど、足音や室外機の音が水害で家にいた時、山から流れてくる石の音や水の音に聞こえてなかなか眠れないのよ」(60代女性)
「災害があった時に、隣の家の壁が崩れて、それで土砂の入ってくる量が少なくて助かった。戦争以来の怖い思いをした。」(92歳男性)
など、不安な胸の内をはなしてくれています。

避難所も徐々にではありますが、新しい住まいへの移行が始まっています。土砂がなくなり始め、次のステップに向けてのあらたな不安も出てきています。
「仮設ってどんなところ」
「せっかく避難所で仲良くなったのに、新しい住宅では一人だから淋しい」
「いつまで避難所におかしてもらえるのかな?家はまだなおってないし」

他にも避難所ではなく、2階で生活をしている在宅の方もおられます。もちろん家の修理は済んでいないので、トイレやお風呂、食事などはできず不便な生活を強いられています。
被災地はまだまだ、みなさんのご支援を必要としています。今後とも長い目で被災地を応援してください。
(増島智子)

 

「平成30年7月豪雨」災害レポート―NO25

台風19号、20号のW台風で、特に西日本の水害被害者のみなさんは大変不安な思いをされたことと思います。他方、7年前にも被害に遭った和歌山県熊野川の氾濫による被害も出ています。ただ今回の台風災害については、“雨降って地固まる”といいましょうか、「大阪北部地震」の経験、そして「平成30年7月豪雨」での経験が教訓となったところもあり、避難も早く、また自治体やマスコミも「明るいうちの避難や点検」を再三再四呼びかけていたようです。またそれに呼応するかのように、JRはじめ交通機関の対応、百貨店や飲食店なども前倒しで早い目に閉店も目立ちました。日本人は働きすぎとよく言われるが、こういう時には思い切って休み、結果的に何もなければ、「何もなかってよかった!」という習慣をつける必要があるように思います。とにかくいのちを守るには、早く避難するしかないとも言えます。
しかし、一方で残念ながら浸水被害にあったり、土砂災害にあったりした地域もあるようなので、これを機会に誰もが真剣に災害そして減災と向き合うということを実践しなければならないでしょう。

さて、そろそろ夏休みも終わりになろうかとしています。下記に示すように高校生ボランティアは24日に倉敷市真備町へのボランティアを企画していましたが、残念ながら台風20号の影響で中止になりました。しかし、ラッキーなことに高校生にとって夏休み最後の日が8月31日で金曜日ということから、リベンジとして31日にボランティア・バスを走らせることになりました。また下記のように、島根―広島便(19日)、山口―広島便(21日)は無事に終了し、大分県日田市の「ひちくボランティアセンター」―宇和島便は9月1日にボランティア・バスを出します。こうして公益社団法人Civic Forceさんはじめみなさまのご支援のおかげで、砂漠に1滴の水にしかならないかも知れませんがコツコツと被災地にボランティアを派遣しています。残念ながらもう被災地では、ボランティアセンターを閉所するというところも出てきましたが、まだまだボランティアを必要としています。従って被災地から「もういいよ!」と言われるまで、要望があればボランティア・バスを出し続けます。最低20人を集めて頂ければ、バスは出せますので是非手を上げてください。バス代はこちらで負担致します。必要であれば引率者も手配いたします。ご遠慮なく村井までご一報下さい。(村井:090-3160-3816)

■ボランティア・バス今後の予定
①KOBE高校生豪雨災害ボランティア・リベンジ編(参加者は高校生に限定)
募集中!!(高校生に限ります。)
日時:2018年8月31日(金)6時30~19:00頃
集合・解散場所 JR住吉駅南2号線沿い(東灘区民センターうはらホールすぐ南側付近)活動場所 岡山県倉敷市真備町
*いづれも問い合わせは被災地NGO恊働センター村井まで(090-3160-3816)

②募集中(募集締め切りは出発日前日の正午まで)
日時:9月1日(土) 大分県日田市―愛媛県宇和島(途中フェリー移動)
*主催 ひちくボランティアセンター
*受付 090-8884-3570 河井まで。

□すでに終了したボランティア・バス
①日時:8月5日(日) 神戸―倉敷市真備町便(終了)
②日時:8月10日(金)    上に同じ  (終了)
③日時:8月22日(水) 山口県―広島県呉市(終了)
(村井雅清)

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「平成30年7月豪雨」災害レポート―NO24

大阪北部地震発生から2ヶ月が過ぎたが、なんと住宅被害が発災直後の10倍以上の4万4000棟の被害に増大しており、益々暮らしの再建が遠のいている。このレポートで何度も触れてきたが、特に一部損壊の被災家屋については被災自治体独自の支援しかないので、応急修理をして住むにも厳しい家庭があるのが現状だ。政府は是非、もう少し被災者の再建を後押しするような支援メニューを是非提示して欲しい。

さて、「平成30年7月豪雨災害」に遭った「広島土砂災害」は、4年前に77名の尊いいのちを喪って4年になる。当然だが、被災者にとっては何年経っても忘れられないだろう。
しかし、皮肉にも再び広島県内はじめ西日本などには平成最悪と言われる水害が覆い被さった。しかも、亡くなった方々の約50%が救えたいのちではないかという結果が出た。
こうした実態を受けて広島県は被災者から聞き取りをし、「豪雨避難遅れ心理調査」を実施するようだ。この調査に踏み切ったもう一つの理由は、「土砂災害による死者の半数近くが被害の想定されていた「土砂災害警戒区域」で亡くなった」(毎日新聞、2018・8・20)ケースが少なくないからだ。同県は、「どのような方法なら危機感を持って避難してもらえるのか、行動心理学の分野から今回の災害対応を検証していきたい」と。(同紙)
専門家の意見のみならず地域の取り組みで、グッドプラクティスといえる事例も少なくないだろう。同県でも4年前の経験を生かして、今回迅速に避難し犠牲者を出していない地域もある。隣の岡山県倉敷市の自治会でも、消防団が活躍して迅速に非難させたという事例も聞こえてくる。政府のある担当者も「どうしたら逃げてくれるんだろうか?」と天を仰いでいる職員もいる。

敢えて提案したい。発想の転換が必要ではないか?特に要援護者の援助に関しては、政府も2005年から「一人ひとりの救援プランを!」というかけ声で全国的に取り組んできた筈だ。しかし効果が芳しくないことを今回露呈した。広島県が今回実施しようとしている「被災者の聞き取り」の結果を待たなければならないが、ある意味そこに暮らしている住民の一人ひとりの声に耳を傾けるのは行政の姿勢としては基本でもある筈だ。是非、丁寧な聞き取りをして頂きたいと願うばかりだ。
ところで、同県は災害対策本部を廃止し、「災害復旧・復興本部に移行する」と。行政としては、当然の経緯かも知れない。しかし、被災者に暮らし再建には一人ひとり事情が違う。
くれぐれも丁寧に寄り添って欲しい。「復興」というメーセージを発すれば発するほど重荷になる被災者もおられることを忘れないで欲しい。
(村井雅清)

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「平成30年7月豪雨」災害レポート―NO23

日航ジャンボ機墜落事故から33年、多くの遺族の方々が「御巣鷹の尾根」に慰霊に訪れ、さまざまな祈り、言葉、あるいは複雑な想いをもって、亡くなられた方々の供養をされた。

一方「平成30年7月豪雨」災害で、初盆として亡くなられた方々の供養をしたいのは山々だけれど、仏壇も何もかもが流され、お盆を過すこともできないという複雑な被災者も・・・・。岡山県倉敷市真備町のあるお寺は、檀家さん400軒のうち300軒が被害を受けているため、檀家さんへの配慮から供養を中止したという。
お盆だけはゆっくりと休んで頂きたいという思いで、各地のボランティア・センターは休んでおられるところも殆どのようだ。ボランティアの心配りではと拍手を送りたい。
そんな中でも、お墓の掃除や泥出しを淡々としておられた姿が目に焼きつけられた。

お盆が明けたら、またボランティアの作業が始まる。お盆が明けたら少しは気温が下がることを期待したい。仮設住宅(みなし仮設を含めて)の入居受け付けも始まったようだ。
被災者にとっては、将来に道筋についてはじっくりと「あ~でもない、こ~でもない」と考えたい方々も少なくないだろう。是非、ボランティアは被災者の想いにも寄り添って欲しいと願う。
(村井雅清)

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「平成30年7月豪雨」災害レポート―NO22

前号で、「住民が一斉避難という表現にハッ!とさせられた。」と書いた。要は、阪神・淡路大震災以後、災害時の要援護者をどのように助けるのか?という一点で考えてきた。それは最優先配慮者が誰なのかということからだった。だから一斉避難という視点はなかった。

さて「ボランティアが足りない!」と繰り返してきた。この対策について、同じように
「ハッ!」とさせるような大胆な発想が必要ではないかと思う。災害後のボランティアについてのことなので、どうしても経験豊富なボランティアが、最近ではプロ的なボランティアが、リーダー的に振る舞い、“若葉マーク”のボランティアをお世話すれば効率よくボランティアが活動できると思いがちだけど、果たしてそうだろうか?と疑問を持つ。
というのは、23年前の阪神・淡路大震災では1年間で137万人というボランティアが国内外から被災地に集まった。その内、なんと若葉マークすなわちボランティアなんてしたことがないという人たちが、6割~7割もいた。評論家の故加藤周一さんは「ボランティアの意義といえば、“多様性”につきる」と評価された。つまり、十人十色の人間としてボランティアが活躍する意義はそこにあると言っても過言ではないだろう。
いや、むしろ支援の対象になる被災者も多彩であることを踏まえると、単純には数字合わせができるものではないが、例えば被災者が100人いても、漏れなく、落ちこぼしなく対応しようとすると100人でも足りないということになる。だからこそ、最低でも考え方も感性も違う多様なボランティアが必要になる。というのが筆者の考え方である。

つい、ともすれば災害後の支援の話なので、いかに組織的に、また効率的に動くことが必須だと考えがちだが、以外に未経験、未組織の人たちが活躍するものだと阪神・淡路大震災では教えられたのだ。こうした過去の実績を踏まえると、今回のような広域大災害の場合はとにかく現場に駆けつけ、できることをやって引き上げるという手法が最も現実的で、かつ結果的には効率もよくなるということだ。

以下の事例は、今回の水害で広島のある地域で被災者同士が工夫して支えあっている風景なのだが紹介したい。ここの被災者たちは紛れもなく初心者ボランティアだ。こうして被災者自身が築くコミュニティの場に、支援に入るボランティアがどのようなお手伝いができるのかも、これからの課題であるような気がする。
「呉のある地域では断水になり、住民が自ら洗濯機を購入し、被災地に設置し被災者のみなさんが洗濯場に集まり、その場が井戸端会議の場となり、結果コミュニティづくりのきっかけを提供したおばあちゃんがいたり、民生委員の女性が地元の福祉施設に掛け合い、お風呂などの提供を持ちかけたり、避難所で炊き出しを提供した人もいます。」
このように災害時のボランティアのあり方も、大胆な発想の転換があってもいいのではないかと関係者に再考を促したい。

さて、何度もこのレポートでお伝えしている被災地へのボランティア・バス派遣だが、山口県、島根県からは以下のように決定したので、該当する人たちがいたら各々の連絡先に申し込んで欲しい。

■日時:平成30年8月19日(日)出雲市総合ボランティアセンター集合
午前6時出発(集合5時40分)、午後7時帰着(運行:フラワー観光)
活動場所:広島県坂町小屋浦地区 、定員:20名(先着順)
※詳細は、〒693-0002 島根県出雲市今市町北本町3-1-2
出雲市総合ボランティアセンター  岸 幹人
電話:0853-21-5801 ファックス:0853-21-1831
メール:volunteer@local.city.izumo.shimane.jp

■日時:8月22日(水)玖珂インターパーキング集合
午前5時出発(集合4時30分) 7時30分着(運行:岩国観光)
活動場所:呉市  定員 20名(先着順)
※詳細は、災害復興支援団体 山口災害救援 事務局
杉本邦夫 080-1932-2934 FAX 0827-84-3457
E-mail  1192tukuroujapan@kpd.biglobe.ne.jp

■なお神戸発のボランティア・バスは、8月10日に第2便を実施しますが、残念ながらもう早々と定数に達したので募集は締め切った。
(村井雅清)

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「平成30年7月豪雨」災害レポート―NO21

昨日8月7日、新聞各紙は政府の中央防災会議が、南海トラフ大災害の可能性が高まっていると判断した場合、「政府の呼びかけで住民が一斉避難する仕組みを導入する」ことを発表した。詳しい内容がわからないので、懸念されることも予測されるため軽率にコメントできないが、“住民が一斉避難”という表現に「ハッ!」とさせられた。
というのは、本レポート19号で「救えたいのち」について触れた。2005年頃から災害時要援護者についてかなりの議論が積み重ねられた。以後の災害でも、残念ながら犠牲者は後を絶たないまま2011年東日本大災害を迎え、亡くなった障害者の数が一般の人たちの2倍近くになっていることが明らかになった。阪神・淡路大震災でも同様の数字が出ている。16年間何も変わっていないことを露呈した。こうした現実と向き合い、政府は2013年災害対策基本法を改正し、災害時要援護者の名簿作成を義務づけた。

にもかかわらず今回の豪雨災害では、また多くの犠牲者を出した。しかも救助対象者のリストをつくっていたにもかかわらずだ。しかし、「ハッ!」としたと前述したのはこのことだ。この責任は誰にあるわけではない。換言すれば、誰にでもあるといえる。
だから、「一斉に逃げる!」ということも視野に入れなければならないということに気づいた。これまでは、「災害時要援護者」という言葉に左右されていた。しかし、特に今回のような大災害の場合、災害直後の救急救命期は誰もが要援護者だということだ。しかし、その中でも「避難行動が難しい人」など要配慮者には特により手厚い支援が必要だということになる。平時から、まずはみんなで逃げるということを意識し、その上で要配慮者支援についても考えておくことが急がれるということでないか?

2005年のパキスタン地震のときに被災地の女性グループとの意見交換の場で、女性のリーダーが「私たちは時には弱者となるが、一方で男性よりも強いのだ!だから私たち女性は一人で4~5人の子どもを抱えて逃げることができる!」と言われた。「なるほど、だから女性を最優先で救うことを考えなければならないのか」と気づかされた。また、障害者に寄り添って40年、故大賀重太郎は、24時間寝たきりの方の介護をしていて「この人は体は動かないけど、人の生き方について指南してくれる人なのだ」とあるマスコミの社説で紹介された。つまり、「あなたを喪ってはならないから、最優先で助けるのだ!」というメッセージでもあったことを教えられた。
災害時の要援護というときに、一面的な視点で捉えていたことが“落とし穴”だったかも知れない。あらためて今回の豪雨災害で明らかになった要援護者援助の課題について、しっかりと見直さなければならないことだけは間違いない。
(村井雅清)

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