前号で、「住民が一斉避難という表現にハッ!とさせられた。」と書いた。要は、阪神・淡路大震災以後、災害時の要援護者をどのように助けるのか?という一点で考えてきた。それは最優先配慮者が誰なのかということからだった。だから一斉避難という視点はなかった。
さて「ボランティアが足りない!」と繰り返してきた。この対策について、同じように
「ハッ!」とさせるような大胆な発想が必要ではないかと思う。災害後のボランティアについてのことなので、どうしても経験豊富なボランティアが、最近ではプロ的なボランティアが、リーダー的に振る舞い、“若葉マーク”のボランティアをお世話すれば効率よくボランティアが活動できると思いがちだけど、果たしてそうだろうか?と疑問を持つ。
というのは、23年前の阪神・淡路大震災では1年間で137万人というボランティアが国内外から被災地に集まった。その内、なんと若葉マークすなわちボランティアなんてしたことがないという人たちが、6割~7割もいた。評論家の故加藤周一さんは「ボランティアの意義といえば、“多様性”につきる」と評価された。つまり、十人十色の人間としてボランティアが活躍する意義はそこにあると言っても過言ではないだろう。
いや、むしろ支援の対象になる被災者も多彩であることを踏まえると、単純には数字合わせができるものではないが、例えば被災者が100人いても、漏れなく、落ちこぼしなく対応しようとすると100人でも足りないということになる。だからこそ、最低でも考え方も感性も違う多様なボランティアが必要になる。というのが筆者の考え方である。
つい、ともすれば災害後の支援の話なので、いかに組織的に、また効率的に動くことが必須だと考えがちだが、以外に未経験、未組織の人たちが活躍するものだと阪神・淡路大震災では教えられたのだ。こうした過去の実績を踏まえると、今回のような広域大災害の場合はとにかく現場に駆けつけ、できることをやって引き上げるという手法が最も現実的で、かつ結果的には効率もよくなるということだ。
以下の事例は、今回の水害で広島のある地域で被災者同士が工夫して支えあっている風景なのだが紹介したい。ここの被災者たちは紛れもなく初心者ボランティアだ。こうして被災者自身が築くコミュニティの場に、支援に入るボランティアがどのようなお手伝いができるのかも、これからの課題であるような気がする。
「呉のある地域では断水になり、住民が自ら洗濯機を購入し、被災地に設置し被災者のみなさんが洗濯場に集まり、その場が井戸端会議の場となり、結果コミュニティづくりのきっかけを提供したおばあちゃんがいたり、民生委員の女性が地元の福祉施設に掛け合い、お風呂などの提供を持ちかけたり、避難所で炊き出しを提供した人もいます。」
このように災害時のボランティアのあり方も、大胆な発想の転換があってもいいのではないかと関係者に再考を促したい。
さて、何度もこのレポートでお伝えしている被災地へのボランティア・バス派遣だが、山口県、島根県からは以下のように決定したので、該当する人たちがいたら各々の連絡先に申し込んで欲しい。
■日時:平成30年8月19日(日)出雲市総合ボランティアセンター集合
午前6時出発(集合5時40分)、午後7時帰着(運行:フラワー観光)
活動場所:広島県坂町小屋浦地区 、定員:20名(先着順)
※詳細は、〒693-0002 島根県出雲市今市町北本町3-1-2
出雲市総合ボランティアセンター 岸 幹人
電話:0853-21-5801 ファックス:0853-21-1831
メール:volunteer@local.city.izumo.shimane.jp
■日時:8月22日(水)玖珂インターパーキング集合
午前5時出発(集合4時30分) 7時30分着(運行:岩国観光)
活動場所:呉市 定員 20名(先着順)
※詳細は、災害復興支援団体 山口災害救援 事務局
杉本邦夫 080-1932-2934 FAX 0827-84-3457
E-mail 1192tukuroujapan@kpd.biglobe.ne.jp
■なお神戸発のボランティア・バスは、8月10日に第2便を実施しますが、残念ながらもう早々と定数に達したので募集は締め切った。
(村井雅清)
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