前号で触れた「市民とNGOの『防災』国際フォーラム」は、-くらし再建へ「いま」見すえてーというテーマで議論を続け、10年間は毎年発表する都度の宣言で、被災者支援の提言をしてきました。私たちが被災者(地)と向き合う時は、常に被災者の暮らし再建を最も優先的に取り組んできました。25年前は、暮らし再建を緊急課題として取り上げ、そのためには「とにかく住まいが必要!」ということで、公的支援の必要性をアピールしました。(阪神・淡路大震災後に被災者生活再建支援法が施行されましたが、阪神・淡路大震災の被災者には遡及適用がなされませんでした。)
住まいは“仮”であっても、暮らしに”仮“はないということは、本来ならば避難所生活でも、在宅避難生活でも、仮設住宅での生活でも、暮らしは「雨・露」が凌げればよいというものではありません。誰もが「健康で、文化的な」生活ができなければいけないということなのです。とは言え、住まいが仮である以上十分な生活ができるかということを考えると、難しいのが現実です。そういう現実から、「仮の暮らし」と表現するのは已むを得ないかも知れませんが、復興計画の中でのこの表現を被災者が目にすれば、どんなに辛いことなのかを想像して欲しいものです。
11月末から12月初めにかけての被災地入りで、やっと仮設住宅に入れた球磨村に住んでいたHさんを訪ねて、いろいろお話を聞いていた時に、「ゆっくり風呂に入れたのは4カ月ぶりですわ!」と、笑顔で話されていたのが印象的でした。こうして災害前の暮らしに少しずつ取り戻されるのだなあ・・・・・と。Hさんご夫婦はほぼ毎日のように午前中は自宅に戻り、水害に遭った家財道具の水洗いや雑巾がけなどして、使える物は再利用できるようにしています。全壊の自宅の1階にあるガレージで、ストーブを置いて、簡単な昼食をとっているようです。見るのも辛い無残な姿を残したままの全壊の家を前にしての片付けも、ひょっとすれば“災害バネ”というか少しずつ元気になっていく要因なのかも知れないなぁ、と思うようになるのです。特にHさんの場合は、いろいろな思い出が刻まれていたようです。暮らしに仮がないというのは、このご夫婦のように、一歩一歩元の暮らしに戻るように日々を暮らしていることを想像すると、毎日が“仮”ではないことがわかります。Hさんご夫婦の姿を見ていると、2007年の能登半島地震の被災者が仮設住宅で暮らしていて言われた言葉を思い出します。
―仮設住宅の暮らしは不便だ。生まれ育った場所は、地震で更地だらけ。
見たら涙が出るわ。もうすぐ自宅の“はなれ”で住めるようになる。―
(能登半島地震から97日目の7月1日、足湯ボランティアによる聞き取りから引用)
この方は全壊の自宅から離れた仮設住宅に住んでいるより、不自由でも自宅の“はなれ”に住んで、少しずつ家の再建を見守る方が元気になるということでした。「暮らしに“仮はない」とは実に名言だと思いますね。
(続く・村井雅清)
*お詫び:当センターのFBで、前号のレポートで紹介した神戸宣言と25年目のシンポジウムによる鼎談のテープお越しの冊子の表紙を添付するのを忘れていました。今号でHさんの被災家屋のガレージの写真と共に貼り付けますのでご容赦下さい。
〈〈新年のお年玉として、お米を届けたいと思います。〉〉
復興計画という話題がなされるように、被災地は復興への足音が聞こえてくる段階に入ってきたように感じます。全国から送られてくるおいしいお米を味わいながら、じっくりと将来のことを考えて下さることを切に願います。まだまだお米は喜ばれます。コロナ禍で誰もが大変な生活を余儀なくされておられる中でのお願いはほんとうに申し訳ないのですが、当センターが責任をもって、援助の届きにくい人たちを優先し、かつ必要な被災者に届けたいと思いますので、少しでもいいですからお米を提供して下さいませんか。何卒よろしくお願いします。
【送り先】
〒652-0801 兵庫県神戸市兵庫区中道通2-1-10 TEL078-574-0701
「被災地NGO恊働センター」まで
(注)現金でもお受けしていますので、下記の方法でお申し込みください。その場合通信欄に「お米代」とご記入ください。
■活動支援金のご協力をお願い致します。
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・郵便振替
口座番号:01180-6-68556/加入者名:被災地NGO恊働センター
・銀行振込
ゆうちょ銀行 一一九支店 当座番号 NO 0068556
名義:ヒサイチNGOキョウドウセンター
*お手数ですが、備考欄に「7月豪雨」と記入して下さい。