【東日本大震災】レポートNo.258

6月に、再び岩手県に入った増島のレポートをお届けします。
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「まけないぞう」がつなぐ遠野ものがたり  6月7日
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 この日は快晴の中、いつもお世話になっている釜石の不動寺さんへ高田の作り手さんとお邪魔しました。新緑が眩しいくらいに美しいこの季節の沿岸までのドライブは最高です。
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 作り手さんのお一人は年明け早々、仮設の部屋のなかで転倒して肩にヒビが入りしました。地元の病院では対応できないということで、娘さんのいる東京の病院で手術をしました。けれど、検査をしたり、1000人も患者さんが手術を待っていて、こちらに戻るまでになんと4ヵ月もかかってしまいました。大の仲良しのお二人は久しぶりの再会にとても喜んでおられました。作り手さんは「やっぱ田舎はいい!都会のマンションの部屋は鍵かけて、外にも出られず、まるで牢屋だった」と生まれ育ったところが本当に愛おしいように話してくれました。彼女はかさ上げするもとの土地に自力再建をしようと、ずっと仮設で暮らしています。
高台_s.jpg
 相方の作り手さんは、少し年上ですが、避難所からずっと一緒に過ごしていた人がいなくなり、いつも電話をかけてたりしていて、とても寂しい時間を過ごしていました。機会があって東京に行くことになり、わざわざ怪我したお友達に会いに行ったそうです。彼女は「東京まで会いに行ったんだから、ほんと寂しかった、帰って来てくれてほんとよかった」ととても喜んでいました。そして、彼女はこの秋ごろにできる復興住宅へ入居する予定です。
そうなると、立地は近いのですが、お二人が自分の都合で頻繁に会うことはできるなくなります。それが寂しい限りです。彼女は「復興住宅なんか入ったら、もう部屋からでないよ」と。マンションという住まい方は、沿岸の人たちにはやはり合わない気がします。
高田復興住宅_s.jpg
 そうこうするうちに、釜石のお寺に到着しました。まずは、お参りを。。。
中にお邪魔すると、なんと可愛らしいぞうさんたちがお出迎えです。なんと娘さんが手作りで作ってくれたそうです。
お参り_s.jpg
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お二人とも、お寺さんに久しぶりに来れて、とてもうれしそうです。いつも物資やタオルをご寄付いただき、「まけないぞう」の販促にも力を入れてくれています。副住職さん手作りのお昼をごちそうになりました。そして、今回高野山開創1200年という年にあたり、高野山真言宗の本山(和歌山県)の金剛峯寺において、「まけないぞう」を販売してくれました。そのお便りをみて、「これなら帰って家族に自慢できるな!」と嬉しそうにお便りを読んでいました。いつか高野山に訪れたいと二人の夢は膨らみます。
お昼ご飯_s.jpg
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 帰り際には、なんと境内に流れる清水のほとりに、「みず」、「しどけ」という岩手ならではの山菜を収穫。ボランティアさんに手を引かれながら、大の仲良しさんに退院祝いにと夢中で採ってくれました。
山菜_s.jpg
退院祝い_s.jpg
久しぶりの再会に話も弾み、とても清々しい一日を過ごしました。今日も一日感謝です。
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 ~まけないぞう一言メッセージ~
 今年で震災から4年が過ぎました。まだまだ高台移転が決まらなく仮設で生活しています。震災直後に「まけないぞう」さんに会えて、心の支えに毎日頑張って作っています。全国の皆様に喜びをと思い、自分も癒してもらいながら生活しています。これからもよろしくお願いします。
(2015年6月15日 女性 大船渡市赤崎)