【東日本大震災】レポートNo.248

7・8月集中豪雨災害の広島から戻り、再び岩手県に入った増島のレポートをお届けします。
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「まけないぞう」がつなぐ遠野ものがたり  作り手さん、釜石へ訪問
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  先日、いつもお世話になっている釜石にある真言宗高野山派不動寺の森脇妙紀さんを訪ねました。いつもタオルを各地から集めて、販売にも多大なるご支援を頂いています。いつもお世話になっているということで、陸前高田市の作り手さんと一緒にご挨拶に伺いました。
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 作り手さんのお手製のお煮染めと豆ご飯で、普段のお昼は控えめな作り手さんも食が進みます。やっぱりみんなでわいわいがやがやしながら食べるご飯は格別です。そこへ、相模原から届いたタオルでできたお花が登場です。これは、お供えのお花をわざわざタオルにして、終わったらまけないぞうに作って下さいと、送って下さった貴重な花かごです。作り手さんもこれにはびっくり!どうやって作るのか興味津々。これは特許をとって作ってあるので、作り方は秘密です。「私が死んだらこれにして欲しい!!」と、切実??な訴えです(笑)。妙紀さんも、「その時は私がお供えさせて頂きます」と約束してくれました(笑)。お花が大好きな作り手さんは、仮設でもお花をいっぱい育てています。
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 ここでも話は、今後の住宅のことです。以前のニュースでもお伝えしていますが、復興住宅に移る人、自力再建する人、動物などを飼える復興住宅に移る人など、ぞうさんの作り手さんでも、今後はバラバラになっていってしまう人たちがいます。お一人の方はこの10月くらいにも再建して引っ越しの予定です。冗談半分に「バイバ~イ」という人、引っ越しを言いづらそうにしている人、「また、みんなバラバラだ」と、その言葉のうらに不安と寂しさが見え隠れします。
 大槌町の作り手さんは、「住宅もあと5年先だって~、もうがっくりしちゃうよ。そしたら、10年もここにいるようだよ。」「もうは~、わたしなんて80才になっちゃうよ。家ができた頃には、もうどうなっているか?せめてもう少し若いうちに再建したいよ」「仮設では死にたくないよ。みんなそれを願っているよ」と切実な心の叫びが聞こえてきます。
「土地は決まって9月から着工って言うけど、まだ何にも手をつけてね~。目途がはっきりすれば、がんばれるけど延び延びじゃ、もうやんなっちゃうよ」「お盆前から体調を崩してね。お医者さんには、『ストレスだ!』と言われたよ」と。「それでもなにもしていなかったら、しんどいだけだし、少しでもぞうさんがあるんならやっている方がいくらかましよ」と、先の見えない不安を訴える人がほとんどです。やはり人は夢や希望、生きがいなどといった張り合いがなければ、心も体も弱くなっていくということを、実感します。
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大船渡の作り手さんも、「もうずっと悩んでいる。高台移転か復興住宅。それが一番しんどいよ。復興住宅じゃ畑もできないし。小さな庭でも畑やお花をしたいな。前の家は地震で傾いてしまった。三陸大津波の時に高台移転して、土盛りをしたところだけが今回の地震で沈んでしまったの・・・。あ~悩む。考えすぎて体調があまり思わしくない。」
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【まけないぞう一言メッセージ】
大震災から3年半も過ぎ、ぼつぼつと空き室も出てきます。いつここから出られるのかと一人残るのではないかとか、何もしないと考え不安になります。ゾーさんを作っていると何も考えず、自分の作ったゾーさんでもみんな顔が違うので、一人で笑ったりして心が晴れます。
(2014年9月17日 大船渡市黒土田仮設 71才 女性)