【東日本大震災】レポートNo.275

あれから5年8ヶ月、岩手県の被災地に入った増島のレポートをお届けします。
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「まけないぞう」がつなぐ遠野ものがたり  
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5年8か月が経ちました。徐々に変わりゆく街の姿を眺めながら車を走らせ、作り手さんのもとへタオルと支援者からのメッセージを携え、まけないぞうの回収へ。
 「まさか6年近くも仮設にいるなんてね~」と長い月日の重みを感じます。体調を崩す方もいらっしゃいました。「病気でね、ぞうさんがうまく作れなくて、何度も何度もほどいては作り直すけど、うまくいかないの」と、遠い目をしながら話す作り手さん。「でも具合がよくなったら、作るから」ということでタオルを置いて帰ります。
 また、「6年だもんね。生きるのは辛い、あの時生きてしまったから」と、「これからのことを考えると本当に大変。仮設の時は、同じ境遇の人もいたからいろいろ話せたけど、家を流されただけの人と家族を亡くした人とは話が合わない。復興住宅ではいろいろな境遇の人がいるから話が合わないからしないんだ」と。心の傷はどれほどか想像し難い。
 
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ある作り手さんが「復興したというけれど、心の復興がなければだめだと思う。ココ(新しい土地)には慣れない。回覧もなく、生まれた育った土地にお茶っこしに行くの。心の復興について行政は思っていない。」という言葉がとても重く感じました。「来年の8月には公営住宅が建てられるからよかった。だれ~こんな狭い仮設に5年もいたんだもの」と再建が見えてきた人もいます。
 そんな中で、まけないぞうが確実に心の支えになっています。「津波で着の身着のままできて、たくさんの人に支えられ、ここまで来ました。だから恩返しというか私も人の役に立ちたいという気持ちがあり、まけないぞうは一つ作って100円だけれど、100円より時間よりまけないぞう基金の50円というのは、一つ作ればボランティアになる。いざ災害でボランティアをしようと思っても行くこともできないので、50円基金ならボランティアができる。それにともて魅力を感じた。まけないぞうは心の癒しだし、心の空間を埋めるものにもなった」と話してくれました。
 
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 支えられるだけの被災者が気づくと支える側にまわることができる。それが阪神淡路から20年続けてきたまけないぞうの魅力です。一方通行の支援ではなく双方につながることができる被災地から被災地へのメッセンジャーまけないぞう。各地で元気や勇気を届けています。
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