(現地に入った増島からのレポートです)
この夏、久しぶりに岩手県を訪問し、東日本大震災から継続している当センターの生きがい支援事業まけないぞうの作り手さんを訪問してきました。
7月中旬神戸を出発し、遠野に向かう途中で豪雨にみまわれ、埼玉県や宮城県などで水害が発生しました。遠野についてからもほとんど雨続きで、8月に入り北陸、東北地方では広範囲に雨が降り続け、広域で且つ局所的に豪雨被害が発生しました。青森や北海道では降り続く雨のために、片付けもままならず、被災された方も眠れぬ夜が続いていました。
当センターでは、岩手県一戸町を視察し、新潟県村上市を経由し、石川県小松市の被災現場で活動を開始しました。これまでのニュースでもお伝えしましたように、2014年の広島土砂災害からつながりのあるコミサポひろしまのみなさんが入ってる小松市中海町の現場に入りました。
一週間ほど家屋の清掃や泥だしなどの活動を終え、一旦神戸に戻る最後の日に、被災地で初めて中海町の町内会長、小松市社協、小松市、地元ボラティア団体、外部支援団体などとの情報共有会議が開かれました。
発災から、3週間近く経っていたので、みなさん疲労の色は隠せません。それでも、地域の被災状況の把握や現在の課題など、顔を見ながらの話し合いは、少しみなさんに安心感をもたらしたような気がします。
まだ、手付かずの家屋もある中、今後の再建に向けて、家屋の再建の仕方や暮らし再建について制度的にも何をどうしたらいいのか、氾濫した梯川の治水についてなどみなさんの不安は尽きません。
会長さんのお話によると、前会長さんからは24時間雨量が200㎜になると、梯川氾濫の危険性があると言われていたそうですが、今回8月4日の雨は7時間で雨量400㎜になってしまい、氾濫したそうです。川底に土砂が溜まり、これまでの想定よりも早く氾濫の危険性が出てきたのです。8月21日も強い雨が降り、氾濫すれすれの状況で会長さんは夜中1時に住民さんに避難するように呼び掛けを行ったそうです。また、いつ川が溢れるかわからない状況での家やまちの再建は、住民さんの心に大きな不安となって立ちはだかっています。すでに家の解体を決めた住民さんもいて、町が存続するかどうか重たい課題を突き付けられています。
一つひとつ丁寧に不安を取り除きながら、みなさんの納得のいく暮らしの再建はとても大切になってきます。
会議では、そろそろ生活再建に向けた意見交流や相談ができる「場」が必要という声を頂きました。弁護士などの専門家による災害時に役立つ制度について相談できる機会を提供したり、現場で活動しているコミサポひろしまなどと住宅再建に関する技術的な相談会、認定NPO法人レスキューストックヤードや地元の大学生などと連携した炊き出し、健康相談、足湯などを展開しながら、住民さんのくらし再建への課題解決に取り組んでいきます。
そんなおりに、2014年の広島土砂災害で被害に遭われた元自治会長さんから連絡を頂きました。
「当地の災害から8年。復興は、ボランティアさん頼りではなく、地域住民が中心になって考え、自分たちで活動・実現していかねばなりません。~中略~砂防ダムや都市計画道路などのハード面の整備は遅れ気味ですが、復旧・復興の現状をご確認頂き、新たな被災地の皆さまにはくれぐれも、焦らず地道に、行政を動かして、復興を進めるようにソフト面での留意すべきことをお伝えいただきたいと思っています。」というメッセージを頂きました。
この“焦らずゆっくりと行政を巻き込んで復興に取り組んでほしい”とメッセージは被災を経験して復興の道を歩んだからこその重たい言葉です。家の再建やまちの復興を早く進めたいのは誰しも思うところです。それでも、あえて”ゆっくり”というのは、慌てず、着実に主役である住民さん自身がみんな納得のいくまちの再建を目指してほしいとの思いが込められていると思います。
私たちボランティアはあくまでも黒子であって、寄り添うことしかできません。「最後の一人まで」をモットーに活動を続けていきますので、引き続きみなさまのご支援よろしくお願いします。 (増島智子)
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