熊本地震救援ニュース 第50報

<災害時におけるボランティア事情-30>

 先日ある勉強会で、参加者の一人が「公的ボランティア」と「一般ボランティア」という表現を使っていたので、災害時になんらかの形でボランティアセンターにつながって活動する人たちは、自らを「公的」という意識をしているわけではなくても、行政や社会福祉協議会に認知を受けて運営しているボランティアセンターに登録して活動するという意味で「公的」と云われる由縁であろうかと考えた。では、公的でない「一般ボランティア」とはどういうボランティアのことなのか?敢えて、公的と対比して使われたので「非公的」という意味合いだろうと思う。つまり、ボランティアセンターに登録せずに、被災地の中の知人や友人を通して勝手に活動する、あるいは直接被災者から要望を聞いて活動するというボランティアのことを「一般(非公的)ボランティア」というとすると、この非公的ボランティアは被災者の役に立っていないだろうか?という疑問がわく。

  阪神・淡路大震災の時、神戸市内にはボランティアセンターは二つしかなかったので、7割近く占めていた初心者ボランティア(=ほとんど非公的ボランティア)は、支援の届かない人や地域に対して寄り添い、活動をしていた。つまり支援の届かない「隙間」にこだわったともいえる。ということは、あまねく平等を原則とする行政の隙間、あるいは「公的災害ボランティアセンター」が見落とすような隙間から聞こえてくる被災者(被災地)の声は、場合によっては見落としてはならない声ではないかと断言できる。東日本大震災でも課題となり、改正災害対策基本法にもつながった「甚大な被災地だからこそ、そこからは声が上げられない。また上げても声が届かない。」という深刻な課題に対して、むしろ柔軟で、自由の効くボランティアの方は寄り添いが可能かも知れない。

  冒頭の勉強会に参加しておられた名古屋のボランティアは、「応急危険度判定で赤紙(危険)、黄紙(要注意)の被災者の要望に応じようとするならば、実質ボランティアセンターに登録せずに活動しなければできない。もちろん自己責任で活動をしていますが、ボランティアセンターを通すと赤紙、黄紙の被災家屋には入れないから。」と言っていた。こういう活動の場合は確かにボランティアセンターでは二次災害の心配があるため、引き受けられないというのが現実である。

 熊本地震発生からまもなく2ヶ月になるが、本格的修理の目処がたたず、雨漏り防止のブルーシートを掛けている被災者は多い。被災者からは本格的な梅雨入りになることから、「そろそろシートの張り替え」と心配する声も出ている。しかし、ボランティアは屋根の上には上がれない。こうして危険家屋での瓦礫片付けや屋根へのシートがけなど、「公的ボランティア支援センター」からはボランティア派遣はできないケースが多いだろう。こういう場合、大工さんや建築士さんがついて行えばボランティアもできる領域が増えるのは間違いない。今回の熊本地震では、被害家屋の多いことからまず「住まい」再建や補修に関連する作業が多い。今後のためにも公的ボランティア、あるいは一般ボランティア問わず、専門家との連携で被災者のお役にたてるような仕組みづくりが急がれる。
                                                                               (村井雅清)

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