熊本地震救援ニュース 第49報

<災害時におけるボランティア事情-29>
 先日、「44人屋根から転落」「熊本地震 修理依頼も「1年待ち」」(毎日新聞、2016・6・7)という記事が目に入った。記事によると「熊本地震で被災した自宅の修理中に、屋根などから転落する事故が相次いでいる。需要が急増し、業者に修理を依頼しても「1年待ち」の状態。住民が自ら作業するケースが増えており、被害に拡大が懸念される。」
また「シートで雨漏りを防いでいるが「風雨ではがれるたびに夫が屋根に上り、直している。けがをしないか心配だ」(同紙)という内容。

 今回の熊本地震後の被災者の話で共通するのは、最初の震度7ではまだ建物はかろうじて倒れていなかった。しかし、2度目の震度7で「グシャ!」と壊れたという話です。
 私は連休中に少し高台から被災家屋の状況を見たときに、とにかくブルーシートが目につき、「これから雨が降ると大変なことになるだろうなぁ・・・」と心配した。そもそも危険が伴うので、ボランティアに依頼できないために圧倒的に人手が足りないことは容易に想像がついた。しかも、もっと気になったのは、ブルーシートがかかっていない家屋は被害がないからシートがかかっていないのではなく、屋根の上にあがってシートがけができる人がいないからだろう。例えば高齢者のみの家屋は被害があってもかけられない。そういう被害家屋は、この間約2ヶ月の間雨が降ったときには容赦なく雨漏りがしたのだ。

 私の友人の場合は、シートをかけているものの、対処が遅かったのか約1ヵ月半で和室の天井はカビだらけ、畳にはきのこが生えていたというウソのような話。これでは、例え建物本体の損傷が軽微でも実際にはこのままで生活はできない。この知人は、「全壊」認定なのでとりあえずは仮設住宅での生活ができるが、もし被害認定が「一部損壊」であっても天井や壁がカビだらけ、畳の下の土台は腐りはじめたという場合であればどうなるのだろうかと心配する。しかも雨漏りにより水が浸透し、半年ほどしてから「壁が落ちる」とか、「カビだらけで健康上住めない」とか、「柱はシロアリの巣になってしまい危険度が増す」とか、とにかく被害判定とは関係なく、「人が人らしく、最低限の生活ができる状態でなくなるだろう」ということが予測され、深刻な課題である。もう遅いのかもしれないが、だからこそ今、しかるべき手が打てないのかと考えたくなる。

 この救援ニュース第43号、47号で紹介した専門家による「大工ボランティア」と「一般ボランティア」がセットになれば、ブルーシートがけの張り替えをし、一応雨漏りを防ぐ程度の処置はできるだろう。冒頭の新聞記事に戻ると、屋根の修理を依頼しても「1年待ち」ということはまだ向こう1年は雨漏りを防げないということなのか?これでは被災者は踏んだり蹴ったりだ。せめて素人のボランティアに簡易の講習を受けてもらい、専門家をつけて屋根のシートがけをきちんと対応するというしくみを制度化できないものかと節に訴えたい。
                (村井雅清)

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