熊本地震救援ニュース 第71報

<災害時におけるボランティア事情―51>
 今朝午前11時、やっと気象庁は九州地方の梅雨明け宣言をしました。今年は、熊本地震の被災者のことを考えると、この宣言がどれほど待ち遠しかったか?
 さて、九州北部地区からのボランティアバスですが、いよいよ夏休みに向けて熊本支援ボランティアを活性化するために、下記のように大学による被災地へのボランティア派遣にもボラバスを提供することにしました。

 一昨日の16日は、西南学院大学熊本地震学生ボランティアが総勢23名で西原村に行き、活動を展開しました。現場からのレポートを下記に紹介します。(武久真大)
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本日は、「高遊コミュニティセンター」で足湯・縁日お手伝いをするチームと、お花畑開墾・ひまわり迷路づくりチームに分かれ、随時メンバーを変えながら学生21名、職員2名がボランティアバスとして参加しました。以下は、被災者の声です。

・今年は毎年やっていたおまつりの場所が、がれきの集積所になっているから、おまつりはないのよ。実際、ないって聞いたわけじゃないけど、でもきっとない。だから、こうしておまつりがあるのはとても楽しい気持ちになるわ。(保護者さん)
・学校のプールが今年はなかった。だからこうして、水に入れるのは嬉しい。またプールに入りたい。(小学生中学年)
・いま娘は働きに出てるんだけど、今日は保育園も休みだから、ばばが孫の面倒を見てるの。でも家にいさせても退屈するだけだから、じいじがこのおまつりを教えてくれたの。孫も楽しそうでよかった。
・食器はねぇ、2/3が割れたから、まだまだ。もらったガラスの食器も、怖くてまだ箱から出せねぇ。
(お孫さん3人のおばあさん)
・あ!この前の食器の!今日は何してるのー?(足湯とおまつりのお手伝いですー。食器、また明日ここでやるんですけど、あの後足りてますか?)
ぼちぼちってところだねぇ。いやー、また会えて嬉しいよ。こうしてまた来てくれたんだねぇ。(若いお母さん)
・今日は知らない子もたくさんいるな。外の子も来てるんだ。そうかそうか。(高遊地区の区長さんの1人、碇さん)

◎足湯を受けられたのは、主に水遊びをしたかった子どもさんの層(でも、お湯がいい!という子どもさんもいました)と、子どもが遊んでいるのを見ている保護者さんの層が多く、高齢の方はいないという年齢層の若い珍しい足湯の場でした。だいたい15名ほどに足湯できました。予報に反して昼からは晴れていた西原村ですが、ひさしの下でやっていた日陰で、お湯に浸かりながら皆さんリラックスされていました。お子さんも水をかけてきたりもせず、水の感触を楽しんでいたのと、大人と同じく手をもまれたことが嬉しかった子もいるようです。
また東京の団体さんが仕切られた縁日全体では130食のかき氷が出た、ということなので、来場者の方もそれくらいの数になると思われます。
ボランティアを受け入れる側の反省点として、支援者側の情報共有の甘さがあったように思います。というのは、はじめは素手でお花を植えるだけ、と聞いていましたので、足湯や子どもたちの遊び相手に備えて軽装備で構いません、と言ってしまっていたのですが、蓋を開けると鍬や電動草刈機が出てくる始末。鍬はともかく、おいおい、電動草刈機のような機械は元々の話と違うやんけ、と西南の職員さんと顔を見合わせる一幕も。
また到着早々、足湯の準備もさせてもらえずに、花畑に植えるメッセージプレートを書いてもらいます!メッセージ動画も撮ります!ということになり、学生の中には「いや、俺、西原村とか知らないし。初めて来たし。」とぼやいている子もいて、事前にこういう企画趣旨でお花畑をつくります、と聞いていれば、調べ、考えてきてもらうこともできたのかな、と申し訳なくなりました。

避難所から仮設住宅へと生活のフェイズがシフトし、支援者が展開していく活動も地域に拠点を作ったり、新しい人脈づくりをしたりと変わっていく最中で混乱もしやすいかとは思いますが、(センパイ)ボランティアが(シンジン)ボランティアに、ボランティアさせることで満足してしまっている「ボランティア」になっていないか、少し足元を見つめなおさないといけないな、と心を引き締めたいと思いました。

*なお、同大学は次回派遣を8月中旬に予定しています。

◎こうしたボランティア・バス企画に、ご支援くださいましてありがとうございます。また、ボランティア・バス企画を提案していきますので、今後ともよろしくお願い致します。

熊本地震救援ニュース 第70報

<災害時におけるボランティア事情-50>
 熊本地震から3ヶ月が経ちました。亡くなられた方は49人、関連死は10人となりました。亡くなられ方には心よりお悔やみ申し上げます。また、被災者の方には心よりお見舞い申し上げます。そして、県内の避難所にはまだ13市町村で4592人(14日現在)が避難されています。
 仮設への移行が少しずつ進んでいますが、梅雨に入り九州各地で豪雨が続き、思うように復旧作業も進まないどころか、大雨により各地でがけ崩れや土砂崩れなどの2次災害が起きています。被災者に追い打ちをかけるような災害続きで、被災者の心労も絶えません。
 ちなみに、被災地での「危険」とされた住宅の敷地が約2700件に上ることも判明しました。

 現地にいるスタッフの鈴木が被災者の方から聞いた言葉を紹介します。
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「見てみなっせ。畦が全部くえて(崩れて)もうファイトも出ません。これを見てると。もう何の気力も出てきませんです。上もほれ、くえとるでしょ。水が上からこっちに流れるけん、どうしようもなかです。」

 6月からの雨は、地震による傷跡にしみ込み、いたるところで大小様々な崩落が見られます。

「でも、ウチ(みなし仮設で入居しているお宅)にいても缶詰と同じで、何も仕事がないから結局毎日ここの畑に来たら、仕事がたくさんあるから。」

仕事とは、生き方、生き様の意であることを教えられました。
住む土地に生かされていることを痛感する毎日です。
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 震災から、3ヶ月が経ち当然のことではありますが、被災地はそんなすぐには復旧も復興も進まないという事実をつきつけられる言葉です。阪神・淡路大震災で、高齢者向けのグループハウスをつくった園田苑の中村大蔵さんが「仮設住宅はあくまでも『仮設』。生活に『仮』はない」と言いました。そんな言葉を思い出すような被災者の方の言葉が心に響きます。
 あたりまえだった生活を奪われた人たちにとって、そんな当たり前の生活や暮らしを取り戻すには時間がかかるとともに、その土地に生きる、生きようとするひとり一人の生き様があるのでしょう。私たちに求められているのは、そのひとり一人に寄り添うことです。
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◎引き続きご支援をよろしくお願い致します。
「熊本地震」活動支援金を募集しています。
 郵便振替 口座番号:01180-6-68556/加入者名:被災地NGO恊働センター
 *お手数ですが、通信欄に「熊本地震」と明記下さい。
銀行から振り込む場合は、
 ゆうちょ銀行 支店番号:一一九(イチイチキユウ)店/店番:119/当座0068556/受取人名:ヒサイチNGOキヨウドウセンター

(なお、「熊本地震」支援活動の一部は、公益社団法人Civic Forceからのご支援を戴いてパートナー事業として展開しております。)

熊本地震救援ニュース 第69報

<災害時におけるボランティア事情-49>
 九州では、立て続けに雨雲が流れ込み、各地で大雨が降り続いています。被災地では家屋の片付けや屋根の補修が思うように進まず、不安な日々が続いています。

 西原村では、木造仮設50戸、プレハブ仮設252戸の計302戸が完成し、順次引っ越しが進んでいます。雨の晴れ間をぬうように引っ越しされているようです。
 引っ越した被災者の方は、「やっぱここは落ち着くわ。一晩寝て、今日で2晩目だよ。やはり6人で狭いし、息子たちは自宅(全壊)で寝てます」と。他の方は、「やっぱ狭いね。3人で4畳半2間だもの。外に水道はないし、どうなることか。でもしてもらっているから、我慢しないといけないね」とあきらめ模様です。また、別の人は「孫が泊りにきてね。押し入れのところが、ドラえもんみたいで、めずらしがってそこに泊まっていったよ」、「車がないとお年寄りは買い物が不便よね。近くにスーパーもないし」と話してくれました。仮設生活が始まったばかりで、みなさんほっとしながらも不安と期待に心が揺れています。
 西原村では、買い物ができるように仮設住宅にお店を作る予定をしています。50戸に1つの集会所も建設されています。今後ボランティアも関わりながら、住み心地のよい仮設生活ができていくといいなと思います。
 19日には当センターのスタッフわかばちゃんが開く「わかばmeeting」の人たちや西原村社会福祉協議会とともに仮設でサロンのお手伝いや食器市を開催する予定です。

 そんな中で、7月10日の読売新聞「簡易住宅を『仮設』認定 大規模災害で初」という
ニュースが飛び込んできました。記事には「熊本地震で被災した農畜産業者らを対象に内閣府が、自宅敷地内に設ける簡易住宅「ユニットハウス」を災害救助法に基づく仮設住宅として認めることが9日、 わかった。同法の適用により、設置費用は国と市町村が負担する。農作業や家畜の世話などで自宅を離れにくい被災者の声に応えた。大規模災害で簡易住宅を仮設住宅とするのは初めてという。」ことが書かれていました。
 すでにボランティアがモデル的に敷地内に簡易住宅を建てている動きもあります。このような建物を仮設として災害救助法で支援してくれれば、被災者にとっても安心して自宅を再建できるのでしょう。
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 これは、前から私たちも提言していました。昨年の常総市でも半壊家屋が多く、大工さんを待ちながら、いまだに応急修理の水周りだけ工事が終わったまま、不自由な生活をしている人もいます。水害で半壊でもほとんど家財道具は水につかり、一階の天井近くまで水が染み込んでいる家屋が多く、農家や広い敷地ではそこで仮設があればどれだけ被災者の方が救われるかと感じていました。
 熊本地震では、半壊でも仮設に入居できるようになり、敷地内にユニットハウスが認められれば、仮設と同じもので、お風呂も台所もつけることができれば、特に農家の人は地元を離れずに住み慣れた環境で生活を続けることができます。もっと災害救助法を柔軟に運用し、被災者に寄り添った制度を認めてもらいたいです。
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熊本地震救援ニュース 第68報

<災害時におけるボランティア事情-48>
 今年に入って初めての台風1号が観測されています。とても勢いが強いそうで、九州から本州でも大雨の影響が懸念されています。これまでも、屋根のブルーシートのことを何度も訴えていますが、これから台風シーズンを迎える九州では、心配の種は尽きません。被災者の方にとっては、余震や雨など心休まるときがありません。
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 今回、屋根だけではなく豪雨により被災各地で土砂崩れが発生し、地震で被害を免れた方でも土砂が家屋に流入し避難生活を余儀なくされた方もいらっしゃいます。「台所にいきなり土砂が流れてきた」という被災者の方に足湯をさせてもらいました。

 また、今回の地震の後に出産され、3人のお子さんを抱え、新築されたばかりの自宅の前の石垣がこの大雨で崩れかけた方もいらっしゃいます。それでその石垣にブルーシートを張り、2次災害を防ぐ処置を施しました。
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 地震により、地盤が緩んでいるところへ、雨水が染み込みいつ崩れてもおかしくないような状態の危険個所が各地に点在しています。

大工さんの指導のもと、擁壁の上に建つ家がこれ以上崩壊しないように、家屋から擁壁にブルーシートをかけ、被害拡大を防いだ家屋もあります。そのためには、丹精込めた庭木も伐採しなくてはなりません。それで、僧侶でもあるスタッフの鈴木に伐採をするために、そのお宅にあった家を守ると言われている「荒神様」を祀る南天の木にご家族とともにお参りをして、作業にとりかかりました。
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 また、もともと土砂災害の危険区域に指定され、自宅をどうするのか悩みながら、県や国の対応を待ちながらも、再建への道を歩みだそうとしている人もいます。
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 先日6月27日の熊本日日新聞「新生面」で報じられた阪神・淡路大震災時の神戸新聞社説を以下に紹介します。

―1995年の神戸新聞に「被災者になって分かったこと」という社説がある。阪神・淡路大震災が起きて3日目、当時 論説委員長だった三木康弘さん(故人)が書いた▼「あの烈震で神戸市東灘区の家が倒壊し、階下の老いた父親が生き埋めになった。三日目に、やっと自衛隊が 遺体を搬出してくれた。だめだという予感はあった」と社説は書き出されている▼つづられているのは社論というより、全くの個人の体験である。自力ではもちろん、消防団や消防署に頼み回っても父を助け出せない筆者は、無力感にさいなまれる。そして「これまで被災者の気持ちが本当に分かっていなかった自分に気づく」と書いた。社説は大きな反響を呼んだ▼その神戸新聞社を先ごろ訪ね、震災を知るベテラン記者に話を聞いた。烈震で傾いた社屋は解体され、前より港に 近い場所に移っている。神戸市内に残る震災遺構の在りかを尋ねると、「実はあまり残っていないんですよ」と浮かぬ顔になった▼わずかな遺構の一つ「神戸港 震災メモリアルパーク」には、波止場の一部が保存してある。割れて折れ曲がった岸壁を見れば、破壊のすさまじさを感じられる。だが、それも熊本地震を経験 したばかりの身だからではないか、とも思う▼被災しなければ実感できないこともある。それを伝えていくことの難しさは、震災から21年たった神戸の課題でもある。まだ早い、それどころではない、と言われるかもしれないが、熊本でも何を残すか考えておかなければならない。

熊本地震救援ニュース 第67報

<災害時におけるボランティア事情-47>
前号のニュースで、当NGOと共に活動した大工さんの話を紹介しました。今回のような余震が長く続く地震災害の場合は、屋根の瓦がずれることで被害を増大させることが明らかになったが、そのためには大工さんのような専門家がボランティアと一緒になり、適確な指導のもと、ブルーシートがけをすることで被害の増大が免れることもある。そのためには、大工さんのような専門家に災害時のブルーシートがけという仕事に従事してもらうか、ボランティアに即戦力として役に立つような、最低限の研修を受けてもらい、大工さんに準じて、ボランティアの自己責任でブルーシートがけに関わってもらうかという方策を考えることが急務だ。今回の熊本地震の場合、ブルーシートがきちんと張られており、雨漏りがしなければ、補修再建が可能であった被災家屋も少なくなかったようだ。
災害ボランティアセンターが、こうしたニーズにどう対応するかが緊急の課題でもあり、今後につなぐ必要のある課題であると思う。

 丁度、先日6月27日の熊本日日新聞「読者のひろば」に「役に立ちたいボランティア」という投稿があったので以下に紹介したい。

「本震後、ブルーシートが手に入ったころ、宇土の友人宅にボランティアの方が『何かお手伝いはありませんか』と来てくれました、『屋根のブルーシート掛けを手伝ってほしい』とお願いしたところ『屋根に上ることはできません』。もちろんボランティアの方の安全管理もあるでしょうし、この段階では当たり前だと思います。それで、ブルーシートを張る専門のボランティアさんを作ってはいただけないでしょうか。本職の方やそういうお手伝いをしたい方もいると思います。遅ればせながら、私も6月になってやっと時間がとれるようになったので何かボランティア活動に参加しようと思い調べました。すると、熊本市、益城町、阿蘇地区は募集は出ていましたが、大抵の市町村ではボランティア募集は終了していました。『そんなものなんだ・・・』と調べていくと午前9時受け付けであっても、午前8時過ぎには人数が達してしまうみたいで、初参加の私は、多分行っても間に合わないだろうと考えました。がれき撤去では足手まといになりそうですが、草取りでも掃除でも何かないでしょうか。何か出来ることはないでしょうか。もう本当にボランティアは必要ないのでしょうか。益城町を流れる木山川が決壊しました。残念なことに、また多くのボランティアが求められるかもしれません。何かお手伝いしたいです。」

 せっかくボランティアに来ても、待ち時間が長かったり、受付がすぐに終了したり、思うように活動ができずに悶々として帰る人はどこの被災地にも少なからずいると思います。どうしたら、もっと被災者の声に柔軟に応えられる活動ができるのでしょうか?  
                           (村井雅清)

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熊本地震救援ニュース 第66報

<災害時におけるボランティア事情-46>
 地震の影響で屋根の瓦が落ち、応急的にブルーシートをかけていますが、梅雨に入り豪雨により、ブルーシートが雨風にさらされ、残った瓦でこすれ、雨漏りの被害が続出しています。また、梅雨が明けると台風シーズンを迎え、瓦などは強い風により吹き飛んでしまうようなこともあるそうです。そうなると2次災害が心配だと住民さんは不安を募らせています。すでにこの「熊本地震救援ニュース6月2日、6月9日、6月12日号」で関連の記事を書いています。参考にして下さい。
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 兵庫県三木市から来ていた専門家ボランティアの大工の稲見さん(震災復旧のための震災建築物被災度区分判定・復旧技術者)に指導してもらいながら、屋根のブルーシート張を行いました。瓦を落として、その上でブルーシートを張れば、残った瓦がブルーシートと擦れることなく、少しは長持ちします。ただ、そういった専門家ボランティアが不足しているため、ブルーシートを張るのも遅れています。(稲見さんの活躍については本ニュース6月2日から随時紹介しています。)
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熊本地震の場合、半壊以上は家屋の公費解体が認められ、仮設住宅への入居も可能になりました。被災者の方は、解体をするのか、残ったところを活かし、補強して再建するのか悩んでいます。それで、とりあえず自宅の中には家財道具も残っているし、半壊と認定された人も自宅で生活を続けている人はいるのです。家屋の公費解体、自宅の再建、瓦の修理など申請をして工事の着工までは、時間がかかります。例えば瓦屋さんもこの震災の影響で1年待ちとも言われています。公費解体について「熊本市は13日、罹災(りさい)証明書で「半壊」以上と認定された家屋を公費で解体・撤去する制度の予約受け付けを始めた。7月下旬ごろにも順次、着工する。ただ対象物件は1万2千棟超(13日時点)。申請が殺到すれば遅延は避けられない。市の担当者は『業者が不足しないかなど、見通せないことも多い』。 『嘘でしょ?』。大規模半壊と判定された南阿蘇村の契約社員、梅田喜美恵さん(55)は村職員から『解体は1~2年待ちです』と説明され、耳を疑った。」と日本経済新聞(2016/6/15)と伝えています。

被災者の方にとって、手の施しの用のない自宅を手をこまねていて見ているのはとても辛いことです。少しでも前に進むために、納屋を解体し、自宅を解体し、前に進むことが明日への希望にもつながります。ただ何もしないで時間が経つことほど辛い時間はないのです。地震のあとの豪雨により、二重の災害に見舞われ被害が拡大する中で被災者の気持ちを考えると、今後の台風シーズンを控え、被災者への迅速な支援活動のための熊本県や各被災自治体においては、各地からの支援を柔軟に受け入れ、よりスピーディな対応をお願いしたいものです。(台風1号が発表され、心配です。)
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熊本地震救援ニュース 第65報

<災害時におけるボランティア事情-45>
熊本地震発生以来、この「熊本地震救援二ユース」を呼んで下っている尼崎在住の方から、ボランティア・バスについての感想文を寄せてくださいましたので紹介します。

―6/25・26ボラバス長崎便・佐賀便、無事運行出来たとの事、救援ニュースで拝見しました。連日の大雨で、西原村には避難指示まで出ているとニュースで言っていましたし、もしかして中止かな? そもそも西原村の皆さんや、現地で活動なさっているスタッフの皆さんはご無事なんだろうかと心配しておりました。
 そんな中で、たくさんのボランティアの方々が参加なさっていて、そして被災者の方に喜ばれているに違いない活動内容を拝見して、ほんの僅かですがカンパに協力し気持ちは参加しているつもりの私も、とても嬉しいです。皆様、本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。
 それにしても、最近の避難所での食事が、朝・パン、昼・おにぎり、夜・お弁当だなんて……。兵庫県を始め、現在、日常生活を普通に送っている他の地域が大半なだけに、ショックです。東日本大震災の場合は、あまりに被害が広域で甚大過ぎて、そんな食事が続いたとしても仕方ないとも思いますけど、今回の熊本地震の 被災地域は、九州の中でも一部だけなのに……。―

GW明けに、熊本地震支援のためのボランティア・バスを九州北部(福岡県、佐賀県、長崎県)から走らせることを企画・実行していますが、実に多くの方からのご支援を頂いて来ました。このボランティア・バス企画は、参加者は無料で、この企画に必要な費用は全国の皆様にご協力をお願いし、成立したものです。この感想を寄せて戴いた方のように、「ほんの僅かですがカンパに協力し気持ちは参加しているつもりの私も、とても嬉しいです。」という方々がたくさんおられます。こうした「支えあい」の形がボランティアの参加の機会を広げ、ボランティア活動を多様化させるというしくみが、もっといろいろな分野でも定着すれば、ボランティア活動が活発になります。こうして経済活動が活性化することを「災害時ボランティア経済圏の拡がり」とでもいうのでしょうか?
これからの社会のあり方を考えると、この「災害時ボランティア経済圏」の「災害時」がとれることが理想かと思います。今後ともよろしくお願い致します。

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熊本地震救援ニュース 第64報

<災害時におけるボランティア事情-44>

<現地からのレポート>
被災ママたちもがんばっています。小さなお子さんを抱えながら震災後自ら立ち上がり、ママさんたちに癒しの場を提供しています。道路が寸断され、買い物にもなかなか行けなかったり、第二次避難所で不自由な生活をしている人が多くいます。そんな方たちのいる南阿蘇へ、う回路となる山道を走り抜けました。天気もよく阿蘇山を望む展望台は一瞬地震のことを忘れさせてくれるくらい雄大です。けれども、茶色土がむき出しのところは、地震の爪痕を残していました。
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西原村で被災したアロマ・マッサージをしているママさんに出会い、そのMさんが南阿蘇に子どもたちの服やアロマ・マッサージを提供するボランティアに行っているということで同行させて頂きました。ルナ天文館(オーベルジュ)というところをお借りして、足湯とアロマ・マッサージのコラボでママさんたちに癒しの時間をちょこっと提供させて頂きました。森に囲まれたテラスはそこにいるだけでも、日常を忘れとても癒される空間でした。
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 その会場にはママさんたちが持ち寄った、地元のパン、お野菜、蔵出しベニーモ、手作りの小物が並んでいました。当センターからもいつもご支援頂いている「ラッシュ・ジャパン」さんからご提供頂いた化粧品セットをプレゼントさせて頂きました。身体に優しいものに敏感なママさんたちに喜ばれました。
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 足湯とアロマ・マッサージは、大きなテラスにお庭を望むとても贅沢な空間で提供することができました。参加者のみなさんも心地よさそうに、のんびりしていました。

 「いまは、第二次避難所で、世帯ごと個別のお部屋だけれども、移動距離が大変で食事やお風呂、洗濯などその度に送迎バスの時間を見ながら移動なので大変です。洗濯もお金がかかるし、お風呂も小さな子どもがいると集中する時間が避けて入るようにしています。」
「家が半壊だけど、とても住めるような状況ではない」
「これからどうなっていくんだろう」などみなさん悩みは尽きません。
そんな話をしている間に、日差しが差し込めるお庭で、足湯のために用意していたバケツとひしゃくで子どもたちの水浴びタイムがはじまりました(^^;)もう、お母さんもあきらめ顔で、子どもたちは笑顔いっぱいに水浴びをしていました。
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◎ボランティアの一コマ
熊本日日新聞(5月21日)に山鹿市の山鹿中学校の3年生のメッセージが紹介されています。

「ちっぽけなこと 2組 池田綾乃」
たった1回で 家 思い出 希望 まるごとのみこんでしまった
こんな時 ここでは 道端でごみを見つけた あそこでは 電気がつけっぱなし
こんなちっぽけなことだけど 私が ごみを拾って 電気を消せば 
地震で心に穴があいて 苦しんでる人たちの 助けにつながると思う 
こんなちっぽけなことだから ごみを拾って 電気を消して 被災地の人の力になりたい

という詩でした。これを読んで、21年前の阪神・淡路大震災で小学校の6年生のメッセージ(以下)を思い出しました。
「きっと神様の罰があたったんや」
「もう、モノはいらん。ぜいたくはいらん」
「水も、電気も、何もかも、ムダに使うとった」
「消防も、警察もこうへん。いざというときは、やっぱり、ご近所さんや」
「これからは、自然をいじめんのやめとこ」

この2つのメッセージは、世代と時間を超えて私たちに大切な何かを伝えているように思います。大人はこの21年前のメッセージと今回のメッセージをどう受け止めていくのでしょうか?

熊本地震救援ニュース 第63報

<災害時におけるボランティア事情-43>
現地活動レポートです。

 被災地に無情の雨が降り続いています。そして夕べの余震と、被災者の方の不安を考えると、もう限界に近いと思います。早く雨が止み、地震がおさまることを祈るしかありません。そんな中で、地震の被害に遭いながらも、以前55号のニュースでお伝えしました。唐芋の出荷が行われました。娘さんが箱をつくり、ばあちゃんが箱詰めをし、じいちゃんが運んで家族で役割分担しながら、出荷作業が進みます。
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 今回の地震で、唐芋の貯蔵庫も被害を受け、傷がついてしまったものはランクが下がってしまいます。けれどもこうして出荷作業をしている時の、じいちゃんとばあちゃんの顔がどことなくたくましく、うれしそうでした。娘さんが「何か仕事があるっていいよね。夜もぐっすり眠れるし。」と話してくれました。「まけないぞう」をプレゼントして、とてもよろこんで頂けました。
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 梅雨の晴れ間に、家の片付けも大忙しです。前回のクルーで途中まで片付けて頂いた瓦や家の片づけを「UP GALAGE」の方々と栃木の仲間のとちぎボランティアネットワークと去年9月の鬼怒川の水害で被害を受けた鹿沼市社会福祉協議会の職員である女性スタッフ2名も参戦してくれました。女性でも「水害の時に鍛えられました!」と重い瓦を一輪車で運んでくれ、大きなムカデやミミズにもたじろぎもせず、作業を進めます。
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 そのお宅には番犬の??ぶんたちゃんがいて、お家を守ってくれています。ボランティアのみなさんのお陰で、片付けもあっという間に終わりました。ぶんたちゃんも家の片付けが終わり、ほっと一息ついて安心したようです。最後にはみんなで記念撮影です。少しずつ一歩ずつ前に!!
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