熊本地震救援ニュース 第57報

<災害時におけるボランティア事情-37>
 去る19日、「くまもと復旧・復興有識者会議」(座長:五百旗部真)が、熊本県の蒲島郁夫知事に、20項目の「熊本地震からの創造的な復興の実現に向けた提言」を提出した。
 同知事は毎日新聞に「(復興のあり方の)一つの先例となることが大事だ」と言われた。発災以来、2ヶ月余りで震度1以上の地震が1770回を超えるという前代未聞の地震災害となり、その上梅雨前線停滞の影響で記録的大雨による被害が、地震被災地に襲いかかるという、過去には類のない甚大な被害となったことからも、まさに「先例となる施策」を実施して欲しいと切に願う。

 「すまいの再建」「経済の再建」を踏まえ、人間復興を最優先する「暮らしの再建」を迅速に実行して欲しい。そのために欠かせないのは、多様なボランタリーな関与であることは言うまでもない。しかし、この20項目の内容を読むと、教科書的にはボランティアの活躍を称賛しているものの、ボランタリーな被災者支援の重要性に触れている部分が少ないと感じるのは気のせいだろうか?
1991年の長崎県雲仙普賢岳火砕流災害、1993年北海道南西沖地震、そして1995年の阪神・淡路大震災と続く災害時におけるボランティアの果たす役割の重要性は、その後の改正災害対策基本法(1995、2013)に記されていることを見ても容易に理解できる。

 阪神・淡路大震災当時、陣頭指揮を取られた貝原俊民兵庫県知事は(佐賀県出身)、発災後3ヶ月後に開催された毎日新聞主催のシンポジウムに登壇され、「ボランティアを国民の財産にすることを考えなければならない」と発言し、その後全国に先駆けて「ボランタリー促進条例」を設置した。NGOにも大変理解のある知事であったのだが、惜しくも2014年11月13日、交通事故に遭い逝去された。鬼籍に入られた後の神戸新聞に紹介された「わが心の自叙伝」において、ボランティアがもたらした「ボランティア元年」の意義を高く評価されていることがわかった。

 さて、熊本の復興に関連する蒲島熊本県知事の発言を拝見していると、どちらかというと被災者の暮らしの再建より、経済再建に重点が置かれているような気がしてならないのだが、取り越し苦労に終わることを願いたい。
 先述の20項目すべての提言に、多様なボランタリーな関与がなければ不十分になることは明らかである。復興基金の設置も謳われているので、同基金のメニューの中に、是非ボランタリー支援の具体化が「先例となる」よう、ダイナミックに入れることを要望したい。(次に続く)                          (村井雅清)

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