熊本地震救援ニュース 第76報

 台風12号は熱帯低気圧にかわり、復旧作業が続く九州地方には特に大きな被害を出さずに通り過ぎましたが、これ以上雨の被害を出さないでほしいものです。

 当センターと連携している水俣病被害者互助会の谷洋一さんが熊本地震報告第10報をだしています。その中の報告をかいつまんでお伝えします。
 少し前に、西原村では熊本大学・減災型社会システム実践研究教育センターの渋谷秀敏教授と鳥井真之准教授による「熊本地震の発生メカニズムや今後の状況」、「熊本地震における地震地表断層とその周辺の影響」の講演があったそうです。
 その内容は、西原村は阿蘇外輪山の外側に位置しているが、その中の大峯という山が9万年前噴火し、火砕丘によってできた地域であり、1300年ほどの周期で大きな地震が起こっている。今回の地震は約2メートルの横ずれと2メートルの沈下が起こっているが、これは今回突然起きたものではなく、9万年の間に繰り返し起こり、約50メートル沈下しているといえる。本来は隣接する高遊原台地(熊本空港がある)と同水準だったものが沈下を繰り返してきたと言える。だからと言って、危険という状況ではなく、今後は日奈久断層中部や南部(八代海)地域のほうが強い地震が起きる可能性が高いと言える。ただ、一部地域では山に亀裂が起こっているのなど、住宅再建には向かない箇所もある。というものだったそうです。
住民にとっては裏山の崩壊などはないかなど、切実な疑問や質問がありました。このリスクを踏まえて同住宅を再建するのか?今後の住民の選択が迫られることになります。と谷さんは伝えています。
いくつか移転を希望している集落や世帯があるようですが、住民ひとり一人が熟考を重ねる時間が必要だと思います。もちろん被災者の人にとっては、早く安心・安全に暮らせる住環境が必要だと思いますが、十分な話し合い、考える時間が必要だと思います。

熊本地震レポート52報でも以下のようにお伝えしています。
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2004年の中越地震災害発生後の集落移転について調査・研究していた東北工業大学の福留邦洋准教授(元新潟大学 災害復興科学センター)にお越し頂きました。福留先生は「集落移転は数種類ある。防災集団移転促進事業のみではない。この集落にとって移転と考えるのであれば、様々な選択肢を考えたうえで皆さんの納得する話にした方がよい。大事なことは、話し合いをしっかりして皆さんが納得すること。お互いが何を考えているのかを出し合っていくことが大切。東 日本大震災では、バラバラになってしまったので話し合いがうまくできなかった。家庭の中でも意見も違うこともある。そこも含めて話し合いをすることが大切。」ということをお聞きしました。
先の中越地震で辛い思いをされた被災者の一人は、「大変でしょうが、あせらないで下さい。じっくり考えましょう!」と、その後に発生した中越沖地震の被災者に伝えられました。
この当事者が、当事者に送られたメッセージは、いつまでも教訓とされています。
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被災された方々も、地域のコミュニティを大切にしながら、どうすればいいのかまだまだ答えが出せない状況です。中越の被災者のメッセージを心に留めながら、あせらずゆっくり住民主体のまちづくりを進めていきたいです。
                                                                               (増島 智子)

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