熊本地震救援ニュース 第48報

<災害時におけるボランティア事情-28>
 今、朝日新聞に毎日「てんでんこ 熊本避難ルポ」という特集記事が出ています。熊本地震後の被災地における避難の状況を伝えています。昨日、今日は熊本市内のある小学校避難所のルポです。学校側としても、これまでも避難所訓練はされてきたようです。しかし、いざ現実になると予想以上の困難が待ち受けています。困難にぶつかった学校関係者が訓練を振りかって「実践的でない『イベント』だったなあ」と言っておられます。しかし、そうした中でも校長先生以下、教員たちが力をあわせて運営にあたり、なんとか難局を乗り越えられたようです。最初は、校長の方針に疑問を感じる教員もいたようですが、一人の教員が「みんなでやりましょう!」という発言をされ、一応前に進みだしたとのことです。
 この事例から私たちが学ばなければならないことは、いわゆる訓練のための訓練になってはいけないということです。いかに実践的な訓練をしておかなければならないかということにつきます。しかし、今回の場合は二度も震度7の揺れが襲うということは予想外と言えるでしょう。もう一つは、運営にあたって一応みんなで合意形成を図るということが大事です。学校避難所の場合、施設の管理責任者は校長か、教育委員会になるケースが多いですが、運営に関しては地域の住民リーダーを中心にと明記されている地域防災計画が少なくありません。この学校もそのようになっていたのですが、「マニュアルでは、緊急の場合は地域リーダーとして避難所を開設するはずの地元自治会役員が姿を見せなかった」ということらしい。いくらマニュアルでそうなっていても、ご自分の家が被害にあっていると、やはりそちらを優先するでしょう。これは想定内です。

 ところで実践に役に立つ訓練と言っても、実際にはなかなか判らないことが多すぎるだろうと思われます。最も役立つのは、平時から他の地域(場合によっは他県)の災害時にボランティアに行って実際に見ておくことが必須だと思います。机上の訓練では限界があるでしょう。そこで、名古屋市天白区の取り組みを紹介しておきます。是非参考にしてください。私が避難所運営ワークショップの講師として数年続きで関わっていた名古屋市天白区は地域の住民リーダが避難所責任者となり、その方に地区の代表者や区行政がサポートすることになっており、この10年間くらい毎年、この住民リーダーを育てるための研修をしてこられました。目的は、誰がリーダーになってもできるようにということです。1学区から毎年3名の研修生が来られます。つまり10年間で30名のリーダー資格者が生まれるということです。これくらい徹底していると、誰がリーダーになってもなんとかやっていけるでしょう。おそらく、ここまでやっているのは全国でもこの天白区くらいではないでしょうか?行政や社会福祉協議会、地域のNPOも積極的に応援しています。
 地域の中からこれだけの担い手が生まれると合意形成も難しくないだろうと想像できます。それはお互いが、避難所運営リーダーになれば大変だろうなぁと分かっているからです。合意形成をスムーズに持っていくには、徹底して話し合うことです。時間がなければ、「とりあえずこうしましょう!上手くいかなければ元に戻ってまた話し合えばいい!」というくらいに構えていれば、できるものです。日本の場合、物事を単純に多数決で決めてきたので、時間をかけての合意形成には馴れていません。でも、やってみれば案外簡単にできるものです。是非一度平時において、実験して見てください。(村井雅清)

*出し惜しみをする訳ではないのですが、長崎便・佐賀便のボランティア・バスのご案内は、あと一両日待ってください!!

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