熊本地震救援ニュース 第20報

<災害時におけるボランティア事情-1>
 いよいよ大型GWも明日で終わりますが、GW後のボランティア減少にまた悩まされることになるでしょう。GW中駆け足で、被災地を訪問してきました。熊本学園の画期的な取組(一般避難所で障害者も一緒に避難)、熊本城の崩落現場とそのまん前の二の丸パーキングが被災者とボランティアの車中泊に解放されていたこと、益城町総合体育館の大規模避難所に圧倒されたこと、西原村の風当地区の家屋倒壊は30件のうち27件が全壊、同じく益城町馬水の家屋倒壊の惨状、阿蘇山麓の牛舎が潰れ牛が圧死、布田川断層帯と日奈久断層帯とが合流して地表に出ているところなどなどを見てきました。これからの暮らし再建の困難さを想像すると愕然とします。
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 一方、GW前からボランティアのありようについて、メディアはいっせいに報じ、GW中も毎日報道されている状況です。話題の柱は、ボランティアの受け入れ制限のこと、そして危険家屋などの片づけをボランティアができるか、否か?などでした。益城町の家屋倒壊 の多い地域の通り沿いで拠点を設け、瓦礫片付けなどのボランティアをしている日本財団のKさんの話では、「我々はボランティアが安全に作業をできるような環境をつくることが目的で、大型重機を投入して一気に片付けるという業者のようなことはやらない。それがモットーだよ!」ということで、21年前の阪神・淡路大震災からお世話になってきた私としては、“目から鱗”で久しぶりに「Kさん語録」に1ページが増えたという、心地よいひと時をすごしました。
 被災者にとっては、応急危険度判定は終わっても、被災判定(全壊、大規模半壊、半壊、一部損壊)が確定し、罹災証明が発行されなければ落ち着かないというのが現実です。
瓦礫片付けと一言で言っても、被災者のこうしたもどかしくも、複雑な心境にも気遣いながらの活動が必要で、いつも災害後の非常時であっても、「暮らしに仮はない!」ということを念頭に置きながらの活動に徹したいと思う。
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 西原村の山西サテライトでの活動に一つに、以下のような粋な配慮をされた活動がありましたので紹介します。
 -山西地域のある神社の参道が倒壊し、災害前まで毎日ここの参道の掃除していたおばあさんがいました。この方は、それが日課だった。しかし掃除が出来なくなったのでしょんぼりしていたところ、ボランティアさんが集めて来たニーズから、コーディネーターのMさんがそれに注目し、「じゃあ、参道の片付けに行こう!そしておばあさんと一緒に参道の掃除をしましょう。」とその日の活動メニューが成立します。このMさんは「がれきの撤去だけで被災者の希望が見えるわけではない。対話を重ね、支え続ける姿勢が大切」(神戸新聞、2016・5・7)と話しています。

<被災者のつぶやき>
一人暮らし。子ども夫婦も熊本市内で被災。神経性胃炎でキリキリ痛む。不安でご飯もあまり食べられない。いつまでこの生活をしないといけないのか。今日からり災証明の手続きが始まったらしいけど、それが終わらないと妹のいる福山にはいけない。色々時間がかかるからね。平屋の村営住宅は賃貸で危険度判定は黄色紙だけど、水が出ないと帰れない。便秘で6日出ていなかったけど昨日出た。今日病院に行くつもり。(70代女性)

こうして積もるストレスが体調悪化の引き金になる可能性が大であることにも注意しなければならない。

*トピックス
熊本地震の被災建物 「危険」判定に焦りと嘆き
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201605/0009058829.shtml
(2016年5月7日 神戸新聞)

熊本の復旧工事、国が肩代わり 大規模災害法を初適用
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016050601001847.html
(2016年5月7日 東京新聞)

熊本地震救援ニュース 第19報

熊本の被災地に入っているスタッフからレポートが届きました。

 昨日3日は、益城町の布田川断層帯と日奈久断層帯の重なる地形を観た。あらためて自然の驚異を目の当たりに実感したが、さらにその布田川断層帯の上に建っていたいた家、家がほとんど全滅という地域を訪ねて回った。ここは14日の発災後、高野山真言宗のご支援で頂いたカセットコンロなどを届けた馬水地区の公民館とその周辺だ。新築販売したところの建売住宅や最初の震度7では、まだ家は建っていたがその後の地震で倒壊した家、前震の時は車庫に止めていた2 台の車は無傷だったのに、道路に転がっていた大きな石のために車を出せなかったために2度目の本震でグシャッとつぶれたという家・・・・。どれもついこの前までは普通の暮らしをされていた営みが壊された光景ばかりであった。阪神・淡路大震災のあと、しばらくして国道2号線沿いを観た時の衝撃と同じものだっ た。そんな中で残念ながら亡くなられた方もおられる一方、奇跡的に助かったという人もおられる。なんと無情なのか?と思わざるを得ない。
(馬水のこの公民館は、指定避難所ではなかったために発災後4日までは食料が届かなかった。なんとか無事だった公民館に避難した住民は自主運営をせざるを得ない状況になった。)

<足湯のつぶやき>
(避難所で足湯をしていると、被災者の生の声が伝わってくる。これを被災者の“つぶやき”と言っている。)
・年老いた母親と息子さんの声。足の太いテーブルの下に6人がもぐり、身を寄せた。
2度目の震度7、助かったと思った。

・二人の息子さん(小学校5年生と2年生)を抱えたお母さん。地震の恐怖がトラウマになり車中泊をしていたら、しばらく子どもが避難所に入らなかった。家の柱はひびだらけ。2階が台所で、恐々上がったら家具がめちゃくちゃ。グラッグラッときて飛び出したから助かったが・・・・。住めるのだろうか。夫と4人 でもう元のように暮らしたい。

・胡瓜とプチトマトを食べてからくちびるが荒れて、それ以来食べていない。ご飯の魚も薬の匂いがしたと言って食べていない。(88歳、女性)

・大阪大空襲の時に比べたら今は贅沢。水害じゃなくて地震のボランティアは意味ないなぁ。赤紙でも入っていける専門的な技術が必要だよね!家を壊して新築するなら、この家は捨ててアパートでも借りる方がお金の面では楽かなぁ・・・・?(95歳、女性)

*引き続きご支援をお願い致します。
「熊本地震」活動支援金を募集しています。
郵便振替 口座番号:01180-6-68556/加入者名:被災地NGO恊働センター
*お手数ですが、通信欄に「熊本地震」と明記下さい。
ゆうちょ銀行 支店番号:一一九(イチイチキユウ)店/店番:119/当座
0068556/受取人名:ヒサイチNGOキヨウドウセンター

(なお、「熊本地震」支援活動の一部は、公益社団法人Civic Forceからのご支援を戴いてパートナー事業として展開しております。)

熊本地震救援ニュース 第18報

顧問の村井が今日から3日間、被災地で活動しますが、そのレポートが届きました。

今日は朝9時から、たつの女性が担う地域防災塾のメンバーと共に西原村西原中学校に足湯に来ています。普段は100人以上が避難生活をおくっておられるのですが、30人くらいの方しかいません。「あれ~?」と思っていたら、昨日から「お泊まり体験」ということで、政府が手配した八代港停泊のフェリーに一泊二日のお泊まり体験に行っておられました。午後1時前に帰ってこられました。それでも午前中から20人の方々が足湯に来てくれました。「昨日もやって貰って、凄く気持ちがよかった!」といわれる人や「えっ、足湯?そんなのあるの?」っと来てくれたり、やはり足湯は人気があるようです。合同でやっているもう一つの「ふくいチーム」の学生さんたちと大忙しでした。他に整体ボランティア、全身マッサージボランティア、散髪ボランティアや音楽ボランティアなどが来ていました。避難所の見守り隊では、福岡県DPAT(心のケアチーム)、熊本県看護協会、日赤医療団、大阪市保健協会、熊本県警察、警視庁など完璧な見守り体制が組まれるようになっています。

※被災者のつぶやき
・家が倒れ、30%~40%倒壊。赤紙を貼られた。逃げる途中、足をはさまれた。ふくらはぎをはさまれた。
・冷え性なのでとっても気持ちがよかつた。あなたの手があたたかいので、よりあったかい見たい(80歳代女性)
・いつもは200人くらいいるんだけど(収容人数400人)、昼間はとても少なくなった。
・午前中、畑にサツマイモの苗植えで汗を書いたので、とっても気持ちがいい。1回目の地震はそうでもなかったが、2回目の地震で家具が全部倒れ、何が何だかわからず庭先の車に瓦が飛んで来たので、必死に逃げて助かった!
・昨日、足湯をやって貰って、疲れがとれ、ぐっすり眠れた。
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熊本地震救援ニュース 第17報

ゴールデンウィークに入り、熊本の被災地には全国から多くのボランティアが駆けつけています。本日、西原村の避難所となっている西原中学校では福井大学医学部の先生や学生からなるふくいチームが足湯ボランティアを行っています。足湯ボランティアは非常に喜ばれており、足湯を受けた避難者の方もホッと一息ついた様子です。

武田産業株式会社さまからご提供いただいたノーパンクタイヤ自転車が熊本の被災地に届きました。自転車は西原村、熊本県看護協会、熊本学園で被災者を支援するボランティアらの移動に活用されます。ご提供いただき誠にありがとうございます。

ニュース第13報で紹介させていただきました水俣在住のTさんから以下のようなご報告が届きました。紹介させていただきます。
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避難所では物資は余り気味ですが、個人宅や小さな避難所ではまだまだ物資不足のところもあり、保存できる缶詰や飲料などは必要とされる方がいるので、それらを積み込みました。八代以北の高速道路も開通しましたが、道路が波打っていたり、橋の部分は盛り上がりや陥没もあり、速度は抑え気味に走らなければ危険でした。これらは東日本大震災後の東北道や関連高速道路と同じで、昼間の走行はまだいいのですが、夜間はよほど注意しないと危険です。御船IC以北は一部一車線通行のため渋滞が発生しており、一般道を走行、益城町に向かいました。一般道も道路と補修のため、一方通行個所もあり、渋滞気味でした。
 その後、熊本で立ち上がった被災地障がい者センターや障がい者を訪問、今後の支援体制について意見交換、カンパをお渡ししてきました。また、近くの障がい者労働センターで被災状況や今後の計画、40人ほどいる障がい者の被災状況などを聞いてきました。ここでは障がい者が運営するオレンジカフェが使用不能、菓子など製造部門も大きな被害を受けていますが、できるだけ早い時期に再開し、県外も含めて早い時期に販売を拡大したいとのこと。アパートや家が壊れた障がい者も多く、仮設、市営住宅など住居の確保など大変な状況が続いています。
 熊本学園大学は最大850人いた避難者も、今日は60人ほど、障がい者や高齢者も10人ほど日減っていました。市内は電気、ガス、水道などライフラインが復旧、自宅に戻られた方も多いようです。学園大では、次々に閉鎖される避難所が多い中、縮小はするが避難者がいる限り、支援は続けるとして活動は続けるとのこと。支援物資はあり、今後は住宅再建など生活支援への移行が必要なことになりそうです。
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※今回のご紹介している活動を行っているTさんはじめ水俣ほたるの家には当NGOからわずかながら活動支援の寄付をさせていただきました。

*引き続きご支援をお願い致します。
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0068556/受取人名:ヒサイチNGOキヨウドウセンター

(なお、「熊本地震」支援活動の一部は、公益財団法人Civic Forceからのご支援を戴いてパートナー事業として展開しております。)
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熊本地震救援ニュース 第16報

●西原村のボランティアセンターは、29日からボランティアを受け入れていますが、30日の両日共に約200名のボランティアが活動してくれました。受付は、一応午後12時までとなっていることもあって、特に混乱はないようです。しかし、二日目の昨日は予想を外れて、ボランティアが少なかったとのこと。

●<ガテン系ボランティア>
*住家の応急危険度判定がほぼ終わったようなので、当然なのですが、被災者には焦りが見られ、家の週辺のみならず「家の中の片付けの手伝いを」とボランティア要請が来るのですが、「危険」判定の建物には入れないし、「注意」判定でも専門の建築家ボランティアなどのアドバイスの下でなければ入れないというもどかしさがあります。もちろん、それ以上に被災者のストレスもピークなので、辛いところです。重機ボランティアさんも入っていますが、やはりガレキの片付けは最終的には「施主さん」が判断しなければならないことなので、厳しい状況です。
*今は“から芋”の種植えの時期だそうです。ボランティアの手が空いていれば、何人でも応援して欲しいという農家さんの話です。今、調整しているのは地元の農協関係者が間に入ってボランティアの指導をしてくださるようにお願いしています。

●<ほっこりボランティア>
  すでに紹介しましたように、西原村は住民主体での避難所運営が注目されています。またボランティアセンターからのお願いに対して、地域の老人会や民生委員の方々が積極的に手を上げ、協力して下さっています。こういう時は、ボランティアは黒子に徹することだと思いますが、住民のみなさんも疲労困憊の中での活動だろうと容易に推測できます。こんな時には、避難所などで「足湯」をしてあげれば、きっと心身のリラックスになり、ほっこりすること間違いなしです。
*昨日30日は、西原村山西小学校で足湯をしました。被災者のみなさんには大変好評でした。足湯は阪神・淡路大震災から21年間にわたって被災地で実施して来ましたが、ほんとに心身が癒やされるのは実証済みです。
(参加団体は、兵庫県立大学の学生、神戸大学OB/OG、被災地NGO恊働センターなど)

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